INTRODUCTION
サンダンス映画祭のプレミア上映で目の肥えた観客たちを熱狂させ、33スクリーンの小規模公開ながら全米興行収入ランキング9位に食い込んだ快作、それが本作『スプリー』だ。
主演は『ストレンジャー・シングス 未知の世界』のジョー・キーリー。フォロワーを増やしたい一心で殺人を生配信してしまうSNS中毒者を怪演。共演にはサシーア・ザメイタ、デヴィッド・アークエット、ミーシャ・バートン、ララ・ケント、フランキー・グランデら各界で活躍する個性的な顔ぶれが名を連ねた。監督と共同脚本はウクライナの新鋭、ユージーン・コトリャレンコ。本作は監督が長年温めていた企画で、行き過ぎたインフルエンサー文化と麻痺した暴力性への鋭い風刺となっている。
STORY
カート・カンクル(ジョー・キーリー)は「スプリー」というライドシェアアプリの運転手。SNSで注目を浴びての一発逆転を夢見ているが、現実はぱっとしない。そんなカートがライブストリーミングで注目を集める為に思いついたのは、乗客を殺害してその様子を生配信するという常軌を逸した企画。しかし、乗客を毒入りミネラルウォーターで殺害するも全くバズらない。そんな時、彼の車に人気コメディアンでインフルエンサーのジェシー・アダムス(サシーア・ザメイタ)が乗車することになるが・・・。
CHECK POINT1
『ストレンジャー・シングス』ジョー・キーリー初主演作!
1992年、アメリカはボストン出身のジョー・キーリー。演劇を始めたのは姉の影響だそう。名門デポール大学演劇学校の出身で、卒業後は100以上のオーディションを経てCMやドラマに出演するようになり、2016年の『ストレンジャー・シングス 未知の世界』スティーブ・ハリントン役でブレイク!その後もジェシカ・チャットウィン主演の『モリーズ・ゲーム』(17)、A24が手掛けた『Slice』(18・未)など話題作に続々出演。そんな彼の初主演作が、本作『スプリー』なのだ!
人気俳優への仲間入りを果たしたジョーだが、本作ではスターのオーラは封印。どこにでもいそうな青年カート・カンクルを等身大の演技で魅せている。そして、この普通ぽさこそ本作の恐怖を増しているポイント。『ストレンジャー・シングス』のスティーブのように好青年な一面も見せる一方で、軽いノリで次々と乗客たちを殺害していく異常性が観る者に恐怖を植え付ける!
「普通ぽさ」と「異常さ」が同居できているのは、ジョーの演技力があってこそ。終盤には、カートが抱える悲しさを表情だけで表現する場面も。演技のふり幅の大きさにも注目してみてほしい。ちなみにジョーは俳優だけでなくミュージシャンの一面もあり、サイケデリック・ロックバンド「ポストアニマル」のメンバーとしても活動しているほか、「Djo」名義でソロアーティストとしても活躍。そんな彼を意識してなのか、劇中のカートも音楽づくりにも手を出している設定だ。
このシーンに注目!
物語の中盤、ある殺人をきっかけにカートの配信の視聴者数が遂に3桁へ。10人が見てくれるのも稀だったカートは大興奮。「やった!僕をフォローしてるんだね!」と配信者へその喜びをあらわにする。この場面、なんといっても怖いのは、血まみれになりながらのピュアスマイル!人殺しへの罪悪感なんてゼロ。見られていることがとにかく嬉しくてたまらない、SNS中毒者の闇があふれている。
CHECK POINT2
強烈な社会風刺!「Spree=やりたい放題」なのは誰なのか?
「SNSのフォロワーを獲得したい」という承認欲求を満たすために殺人を重ねていくカート。自分のエゴで人を傷つける行動は「異常」としか言いようがない。しかし本作は「狂っているのは彼だけじゃない」と容赦なく突き付けてくる。これは監督が参考にしたと言っている内の1本『タクシードライバー』とも通ずるところ。
相手に無断で動画撮影を始める者、映えのために猛スピードの車から乗り出す者、やらせ動画で荒稼ぎする者、フォロワー数を盾に人を見下す者、画面越しの殺人をフェイクだと思いこみ、通報もせずさらに犯行を煽る者。登場人物全員が狂っているのだ。しかも、それが他人事じゃないのが怖いところ。「あぁ、どこかで見たことあるな」もしくは「自分もそうかも」と思わざるをえない人物造形なのだ。
さらに本作にリアリティをもたらしているのが、そんな登場人物たちを演じるキャスト。カートがすがりつく人気配信者役を、Twitterで14万人のフォロワーがいるジョシュ・オバージェが演じているほか、パリピ役にはアリアナ・グランデの異父兄フランキー・グランデと「The OC」のミーシャ・バートン、さらには、カートと対決することになるコメディアンを「サタデー・ナイト・ライブ」でも人気を博したサシーア・ザメイタが演ずるなど、実際にインフルエンサーでもあるキャストが選ばれているのだ。**配役にまで及ぶこだわりが本作の説得力を強固にし、そして「映画の中だけの出来事じゃない」とその恐怖をさらに掻き立てるのだ。
CHECK POINT3
一視聴者になっているかのような映像体験!
SNS時代の闇を強烈に風刺している本作。監督のユージーン・コトリャレンコは、実際にカートの視聴者になった気分を観客に味わってもらうために「ライブ配信を再現する」というコンセプトで本作を制作した。GoProやスマートフォンで撮影した映像は臨場感にあふれているだけでなく、その生々しさが不気味だ。さらに「生配信」というギミックがスリルを生む場面も!発車したら止まらないジェットコースタースリラーをぜひ楽しんで!
『スプリー』は本日9月3日よりBlu-ray&DVDリリース!
引くほど人気のない動画配信者カート。うだつの上がらない日々を送る彼は、人生を一発逆転させるために、ライドシェアアプリ「スプリー」を用いてバズる企画を思いつく。それは乗客を殺人する様子を生配信するというおぞましい内容だった・・・!
9月3日(金)ブルーレイ&DVD発売、同日レンタル開始
ブルーレイ=5,280円(税込)、DVD=4,290円(税込)
■音声
1.英語ドルビーデジタル5.1chサラウンド(オリジナル)
2.日本語 ドルビーデジタル2.0chステレオ(吹替え)
■字幕
1.日本語字幕
2.日本語吹替え用字幕
■映像特典(約2分)
・オリジナル予告
発売元:カルチュア・パブリッシャーズ
販売元:株式会社ハピネット・メディアマーケティング
提供:カルチュア・パブリッシャーズ/シンカ
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