1988 年に『バカヤロー!私、怒ってます「英語がなんだ」』で映画監督デビューをした堤 幸彦。監督として手掛けた作品は、来年1月7日(金)公開の『truth~姦しき弔いの果て~』で 50 本目となる。この節目ともいえるキリのいいところを記念し、これまで一貫して「真実」に目を凝らし続けた堤監督の、選りすぐりの作品の特集上映が決定!
女性たちの心の内に迫る新作『truth』の前身ともいえる『2LDK』(03)、主人公の深層心理に迫るホラー『EGG』(02)、ほんとうの幸福とは何か問いかける『自虐の詩』(07)、現代社会で見過ごされそうな生活者たちを追った『MY HOUSE』(12)、究極の家族愛を描く『くちづけ』(13)、亡き人たちの語られなかった物語に寄り添う『悼む人』(15)。そして特別な“お楽しみ枠”としてサプライズ作品をもう1作。
笑い多めのポップなエンタメ作家としてのイメージの強い堤幸彦の B 面ともいえる、むき出しの人間味あふれる7作品を集めた。『2LDK』『EGG』『自虐の詩』はこの機会を逃すわけにはいかない貴重なフィルム上映となる。
この度の特集上映開催に寄せて、堤監督よりコメントも到着した。
「堤 幸彦監督映画 50 作公開記念上映会」開催に寄せて
気がつくと66歳で、気がつくと50本の映画を撮っていた。元々はバラエティ番組の出身であり MV やコントが専門であったのに、ドラマや舞台の演出もたんまり経験した。20代からまさに休みなしで走り続けてきたが、コロナでふと立ち止まった。半ば強制的に。
静かになって耳をすますとそこには“仕事ないなら自分たちで仕事を創る!”と強い意志を持った女優たちがいた。業界での44年で初めて見たタイプの意志だった。それで映画『truth』が出来た。紛れもない『自主映画』として。
50本目の節目なんて意味はない。立ち止まってはいられない。これから何歳になっても彼女らの純粋な意志に相応しい作品を生み出せるのか、観客の期待や視線に応えられるかどうかが問われている。でも“記念しよう!”と奇特な人々もいた。半分マジな生前葬のような。せっかくだから過去の忘れがたい作品をまとめて見てみたい。そして今後の、コロナ後の作風を考えればいい。きっと幾つかの私の“古いフィルム”にはその年齢のがむしゃらが映っているはずだ。私に声をかけてくれた女優たちの純粋さと、それは果たして戦えるのか……。
―――映画監督 堤 幸彦
「堤 幸彦監督映画50作公開記念上映会」
2021 年 11 月 27 日(土)~12 月 3 日(金)K‘s cinema にて開催!
『truth~姦しき弔いの果て~』
2022 年 1 月 7 日(金) 新宿シネマカリテ 他 全国順次公開予定