『百円の恋』『愛の渦』『アンダードッグ』などの東映ビデオが2021年6月に立ち上げた新たな才能を発掘する新プロジェクト【TOEI VIDEO NEW CINEMA FACTORY】。本プロジェクトの第1回製作作品が『神回』『17歳は感じちゃう』の2作品に決定した。

第1回【TOEI VIDEO NEW CINEMA FACTORY】のテーマは「青春映画」。約3か月の応募期間で、 309本の企画と脚本の応募があったとのこと。多数の力作が集まる中、中村貴一朗監督・脚本の『神回』、北村美幸監督・脚本の『17歳は感じちゃう』の2本が選ばれた。

『神回』は、文化祭の打ち合わせの5分間をタイムループしてしまう学生の物語。プロジェクトリーダーの佐藤現氏は「学校という閉鎖空間の中で人間の様々な感情を炙り出した脚本が見事でした。映像表現も含めて斬新な切り口の作品になりそうです。」と講評。また、審査員を務めた足立紳氏は、「ループものというアイデア自体には斬新さはないけれど、次どうなるというハラハラドキドキ感と登場人物がそのループの中で年齢を重ねていくというアイデアが面白くグイグイ読まされた」と講評している。

一方、『17歳は感じちゃう』は、教師への思いを募らせる農業高校生を描いた作品だ。 佐藤氏は「日々、動物たちの生と死に向き合いながら、自らの恋愛には衝動のままに突き進むヒロインがとても魅力的で、スクリーンで動く彼女を早く見たくなる脚本でした。」と講評。足立氏は「農業高校が舞台の女子高生たちの話で、登場人物たちがみんなちゃんと血の通った人間たちでとても魅力的だった」とコメントしている。

両作品は2022年春以降に順次製作に着手し、劇場公開を目指していく。プロジェクト自体も続いていくとのこと。作品紹介、監督プロフィール、講評の全文などは下記をご参照いただきたい。

『神回』 監督・脚本:中村貴一朗

高校2年生の樹は夏季休校中に高校で文化祭の打ち合わせをしていた。しかし打ち合わせが始まると5分後には、また5分前の打ち合わせ開始時に戻ってしまうことに樹だけ気づく。5分間の抜け出せないループに樹の精神は混乱を極め、物語はあらぬ方向へと加速していく。

画像1: 東映ビデオの新プロジェクト第1回製作作品は『神回』と『17歳は感じちゃう』に決定

監督・脚本
中村貴一朗

1984年生まれ。 2004年、ニューシネマワークショップにて 16㎜ の短編映画を監督。07年ソニー PCLに入社後、数多くの映像の企画演出を務める。15年、長崎県端島(軍艦島)の世界遺産登録検討のためのプレゼンテーション映像「GUNKANJIMA Traveler in Time 」の企画演出を担当し、国内外のアワードを多数受賞。2021年10月、短編映画「命乞い」が完成。

講評/第1回特別審査員 (脚本家・映画監督・小説家)足立紳氏

ループものというアイデア自体には斬新さはないけれど、次どうなるというハラハラドキドキ感と登場人物がそのループの中で年齢を重ねていくというアイデアが面白くグイグイ読まされた。物語の大半が人のいない学校の校舎内で進むが、この脚本を読んでいると、放課後の校舎に一人で取り残されてしまったような(そんな経験はないのに)、妙に居ても立っても居られない不安感とか焦燥感に駆られる。校舎内という絵変わりのなさも作者の狙いなのだと思うが、全体的に明確なビジョンが感じられて、とても完成度の高いシナリオだと思った。

『17歳は感じちゃう』 監督・脚本:北村美幸

農業高校で畜産を学ぶ瑠璃は日々、動物たちの生と死に向き合いながら、教師の森に想いを寄せている。森への情熱を募らせた瑠璃はある日、森の家へ押しかけて強引に思いを遂げようとするが・・・。

監督・脚本
北村美幸

1963年生まれ。 1993年にAV制作会社に入社。以降、フリー期間を含め約20年間にわたり主にアダルトビデオの製作、監督に携わる。近年は、映像に関する仕事から離れていたが、初心に立ち返り、本シナリオを執筆。本シナリオは、2020年の城戸賞二次審査を通過した作品の改訂稿。

講評/第1回特別審査員(脚本家・映画監督・小説家)足立紳氏

農業高校が舞台の女子高生たちの話で、登場人物たちがみんなちゃんと血の通った人間たちでとても魅力的だった。とりわけヒロインは生命力に溢れていて、文字面からでも肉感的な魅力も漂ってきて、ずっとこのヒロインを観ていたいなあと思わせるものがあった。作品自体を覆っている生命力と家畜を殺して食べる農業高校の場面とがもう少しリンクしたりするともっと面白くなるような気もしたが、どこかに少しだけ遠慮のようなものが感じられた気もした。そういう意味でも、この面白いシナリオはさらに面白くなる可能性も感じた。

東映ビデオプロジェクトリーダー 佐藤現プロデューサー 総評

キャリアも年齢も多種多様なクリエイターの方々から実に309本もの企画と脚本をご応募いただきました。まず、ご応募いただいた皆様に深く感謝を申し上げます。

この「TOEI VIDEO NEW CINEMA FACTORY」は、所謂コンテストではなく、あくまで選定した作品を共に製作していくプロジェクトですので、製作が決定した作品以外、応募者、内容、評価などの情報は一切公表いたしません。ただ、心を揺さぶられる傑作、力作が数多くあり、選考委員一同、厳正な審査、協議を重ね、悩みに悩み抜いた上で、2作品を選定させていただいた事はお伝えしておきたいと思います。

「神回」はタイムループという既に洋画、邦画ともに数多くの作品が存在するジャンルに挑みつつ、凡庸な青春ストーリーに止まらず、学校という閉鎖空間の中で人間の様々な感情を炙り出した脚本が見事でした。映像表現も含めて斬新な切り口の作品になりそうです。

一方、「17歳は感じちゃう」は農業高校で畜産を学ぶ女子高校生を主人公に据えた等身大の物語です。日々、動物たちの生と死に向き合いながら、自らの恋愛には衝動のままに突き進むヒロインがとても魅力的で、スクリーンで動く彼女を早く見たくなる脚本でした。

さて、このプロジェクトは、ここからが本番です。必ずや傑作を作り上げて、皆さまの元にお届けしたいと思います。引き続き、当プロジェクトにご支援を宜しくお願い致します。

「TOEI VIDEO NEW CINEMA FACTORY」プロジェクトリーダー 佐藤現

◆TOEI VIDEO NEW CINEMA FACTORY とは

東映ビデオが培ってきた制作能力(人脈)という財産を生かして、新進クリエイターと共に良質な“劇場映画 を作り、それを未来へと継続していくプロジェクトです。企画コンペから、演技ワークショップ、製作、プロモーション、上映まで、全プロセスを新進クリエイターと共に推進していきます。

第1回の今回は募集テーマは「青春映画」で 6月24日より9月30日まで企画募集を行いました。応募作品数は309作品。特別審査員として『百円の恋』 (脚本)で日本アカデミー賞最優秀脚本賞を受賞、 『喜劇 愛妻物語』(監督・脚本)でも数多くの映画賞を受賞している脚本家、映画監督、小説家の足立紳氏を迎えた他、『百円の恋』や『愛の渦』、『アンダードッグ』を手掛けた東映ビデオのプロデューサー陣が厳正な審査を行い、製作に着手する企画・脚本を決定いたしました。

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