“映画のWOWOW”が開局30周年を記念し、俳優たちと立ち上げたショート・フィルム・プロジェクト「アクターズ・ショート・フィルム2」。このプロジェクトで『あんた』を製作・監督・主演した千葉雄大の特別インタビューをお届け。

アクターズ・ショート・フィルム2とは?

“映画のWOWOW”が開局30周年を記念し、俳優たちと立ち上げたショート・フィルム・プロジェクト。予算・撮影日数など同条件で5人の俳優たちが25分以内のショートフィルムを作成し、WOWOWで放送・配信をする短編映画企画の第2弾。
ルールは以下の4つ。
1.尺は25分以内 2.予算は全作共通 3.原作物はなし 4.監督本人が出演すること

画像1: アクターズ・ショート・フィルム2とは?

俳優だけにとどまらず、音楽番組のMCやWEBラジオを始めるなど多才ぶりを発揮している千葉雄大が、脚本、監督、主演に挑戦。学生時代には「作り手」を目指していたという千葉が、念願の監督デビュー作、制作裏話を語る!

千葉雄大
1989年生まれ、宮城県出身。『殿、利息でござる!』(16)で第40回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。WEBラジオ『千葉雄大のラジオプレイ』(YouTube)が隔週金曜日配信中。学生時代は作り手を目指しており、今作が初監督作品となる。

ーー 監督初挑戦の感想を教えてください。
「すごく楽しかったです。監督も脚本もやりつつ、自分も出演するというルールの中で、普段、役者として参加するときには経験できない作品作りをすることができました。観てくれた方たちがどう感じるのか、反応が気になっていつもよりドキドキしています」

ーー ストーリーはどのようにして生まれたのでしょうか?
「メモ書き程度に普段から書き留めているものを見返して、“何が書きたいか”と考えたときに、ふと思い出したのが小さい頃から抱えていた“違和感”でした。僕は結構、女友達が多くて、幼馴染も女の子です。小学生くらいまでは普通に仲良くできるけれど、中学生くらいになると周りが“男女”の関係みたいな目で見たり、“付き合ってるの?”って言ってきたり。大人になってもそう言われる機会は割とあって、なんかめんどくさいと思っていました。そういうモヤモヤみたいなのが物語の軸になっています」

ーー 脚本を書くうえで難しさを感じることはありましたか?
「自分の頭の中にあることを人に伝えるのは難しいと思いました。自分が分かっていても、書いて伝えないといけないこと、しかも理解できるように書かなければいけない。だけど、自分の中には“分かりやすい感じ”にすることへの抵抗もあったりして(笑)。塩梅は難しかったけれど、みんなの意見を聞きながら書き換えて、最終的には10稿くらいになりました」

ーー 10稿とは、なかなかハードだったのではないでしょうか?
「書き留めていたエッセイに近いものをセリフにして、登場人物に語ってもらうものにするまでの難しさはありました。でも、宿題をやらされている感覚じゃないし、いいものにするための悩みなので、全く苦ではなかったです、むしろそれが楽しかったので、またやりたいという気持ちにもなっています。僕の私小説じゃないので、経験したことを全部そのまま書いているわけじゃないけれど、僕が普段人に見せていない部分やめんどくさい部分は入っているかもしれません」

ーー 伊藤沙莉さんのキャスティング理由は?
「セリフだけどセリフのように聞こえない感じの会話劇にすることが重要でした。会話のキャッチボールも割と早いし、映画の前半では“明るさ”がキーポイントにもなります。そのあたりを考えたときに、伊藤さんがピッタリだと思いました。伊藤さんは基本的に度胸のある人で“とりあえずやってみよう!”というタイプ。僕も同じタイプなのでとてもやりやすかったし、助けられました。一緒に編集作業をしていたスタッフさんが伊藤さんの芝居を“ずっと見ていられる”と言っていたのが印象的でした。

ーー 沖田修一監督が役者として出演されています。
「僕が “沖田監督”と呼んでしまうので、現場は少しややこしくなっていました(笑)。自然に雰囲気に溶け込んでくださる方にお願いしたい役でした。引き受けてくださるか心配だったけれどOKしていただいて本当にありがたかったです。現場では自然に監督目線を学ぶことができました。僕は、監督と役者と頭の切り替えがついていかなくて、“今、どっちやってるんだっけ?”とあたふたすることもありました。NGもたくさん出したので、役者としての僕はダメダメでしたね(笑)」

ーー 千葉さんが感じるショートフィルムの魅力とは?
「『Jam Films』シリーズとか大好きです。割と抽象的なものが多くて、学生時代はそういうところに惹かれました。ショートフィルムはそこで描き切れなかった余白のようなものを、観た方がどう感じ取るのかがおもしろいところ。『あんた』はストレートな内容になっているので、“こういう気持ち知ってる”みたいに感じてもらえたらいいなと思っています」

画像2: アクターズ・ショート・フィルム2とは?

『あんた』
監督・脚本:千葉雄大
主演:伊藤沙莉、千葉雄大

「あたしはいつでもあんたの味方だからね」筆を走らせるスナックの雇われママの男が思いを馳せるのは、キャンプを楽しむ女(伊藤沙莉)と男(千葉雄大)。恋人でもなく、友人というには軽すぎ、でも家族にはなれない。近くにいるのに遠く感じる。ひとりでも平気だと思っていたはずなのに込み上げる寂しさ。一生続くはずだった関係は、男の一言によって徐々に歪が生まれていく……。

2/6(月)午後5:00~ WOWOWにて放送・配信

text/タナカシノブ

ジャケット¥52,800、パンツ¥30,800(DIGAWEL)、シャツ¥35,200(ATON/ATON AOYAMA)、その他スタイリスト私物

スタイリング 寒河江健 

ヘアメイク 堤紗也香 

『アクターズ・ショート・フィルム2』
2月6日(日)午後5:00 WOWOWで放送・配信
監督:青柳翔、玉城ティナ、千葉雄大、永山瑛太、前田敦子(※五十音順)
主演:村上虹郎、琉花・奥平大兼、伊藤沙莉・千葉雄大、役所広司、柳英里紗・三浦貴大(※監督の五十音順)

番組公式Twitter:https://twitter.com/asf_wowow

番組公式インスタグラム:https://www.instagram.com/asf_wowow/

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