スタンリー・キューブリック監督もテクニカル・アドバイザーとして協力
『未来惑星ザルドス』(74)は、『殺しの分け前/ポイント・ブランク』(67)で注目を集め、全米大ヒット作『脱出』(72)でアカデミー賞・作品賞、監督賞候補となった英国の巨匠ジョン・ブアマンが、自ら製作・脚本も兼任、その驚異的なイマジネーションを余すことなく解き放った結果、人類の恐るべき未来を予見してしまったとてつもないSF巨篇。
主演は、初代「007」のショーン・コネリー。弁髪、胸毛に赤ふんどしー半裸で大地を駆けるその雄姿によって、それまでのボンド俳優のイメージを一新した。共演は『愛の嵐』(74)で一世を風靡し、最近でも『DUNE/デューン 砂の惑星』などで活躍中のシャーロット・ランプリング。性を超越したクールな美貌は、まさにキャリア絶頂の美しさだ。
映画化に際し、【生と死】【神と人間】【愛と性】【自然と文明】など、自作『2001年宇宙の旅』(68)にも通じる本作のテーマに興味を抱いたスタンリー・キューブリック監督は、ノンクレジットでテクニカル・アドバイザーとして協力。撮影に『2001年~』の名カメラマン、ジェフリー・アンスワースを抜擢するなど、さまざまな便宜を図ったという。
憤怒の形相で地上に君臨する巨大神像ザルドスの強烈造形、合わせ鏡の無限反射、サイケデリックな投射イメージ、『テネット』でも多用された逆転撮影など、ブアマンとアンスワースが映像表現の原初に立ち返ったトリック撮影も本作の大きな見どころだ。だが、宗教批判と神殺し、永遠の生よりも死を讃える先鋭的メッセージを突きつけるこの作品は、初公開時、一部批評家とわずかな観客を除き、まったく理解されなかった。それから約半世紀、今も評価は揺れ続け、『ザルドス』は世界中で論議が絶えないSF映画史上屈指の問題作として孤高の地位を保っている。
地球温暖化と異常気象、感染症の蔓延、終わらない戦争、ヘイトと差別、激しい格差による社会の分断、そして政治と宗教が癒着した全体主義―すでにディストピアと化した21 世紀に生きる我々の眼に、23世紀のユートピアはどのように映るのだろうか。
新ポスタービジュアルも解禁!
このたび解禁された新ポスター・ビジュアルは、約50年ぶりの再公開のため日本独自にデザインされたもの。「汝らの神を畏れよ」とのキャッチコピーと共に、本作のシンボルである宙に浮かぶ巨大神像ザルドスが迫力満点に配置され、畏れおののく撲滅戦士が馬上からそれを見上げている。
ザルドスの浮遊感、立体感は本作の強烈かつ孤高の魅力を表現し、一度見たら脳裏にこびりつき、夢に出そうな衝撃に満ちている。全世界に様々なパターンが存在する『未来惑星ザルドス』のポスターの中でも、唯一無二の強烈なデザインになったといえるだろう。
『未来惑星ザルドス』
11月4日(金)よりシネマート新宿、ヒューマントラストシネマ有楽町より全国順次ロードショー
©1974 TWENTIETH CENTURY FOX FILM CORPOLATION
【提供】キングレコード 【配給】コピアポア・フィルム