数ある音楽映画から、多ジャンルのスタッフが実際に作品を鑑賞し選定!
昨年公開の「アメリカン・ユートピア」は、舞台・音楽・映像を融合した新しいエンタテインメントの形として受け入れられ、また同年夏公開の「サマー・オブ・ソウル」では、レジェンド達の演奏のみならず、詰めかけた観客のファッション、文化的な背景が話題を呼び、それぞれ音楽映画の枠を超え高く評価された。両作品を上映したパルコの映画館には、そんな新感覚の客が来場し、満員御礼・ロングランさらには、リバイバル上映にまで繋がり、結果、全国的に見ても高い動員・興行実績を記録し、作品に大きく貢献した。
時代の中で再評価される作品を掘り起こし、感性のある若い世代にも伝えたい音楽映画をテーマに、音楽・映画・ファッションなど、多ジャンルそれぞれの経験者が作品の候補出し、選定、吟味した上で決定。
画面を通して感じるとてつもない熱気とパフォーマンスから、当時のファッション含めたブラックカルチャーまで、1972年にロサンゼルス・メモリアル・コロシアムで開催された伝説の屋外フェスを捉えた「ワッツタックススタックス・コンサート」、1969年に発表された史上初のロック・オペラ・アルバム『トミー』を映像化した、豪華キャストと斬新すぎる構成で今でもカルト的な人気でファンに支持され続けている「トミー」、1972年「ソウルの女王」アレサ・フランクリンが教会で開催したゴスペルライブを収録した作品で、観客もアーティストも我を忘れ音楽に没頭する映像は圧巻!初鑑賞したスタッフが上映を熱望した「アメイジング・グレイス/アレサ・フランクリン」、キューバの伝説的ミュージシャンたちにスポットを当てた音楽ドキュメンタリーで、葉巻を吸いながら音楽を語る90歳のかっこよすぎる奏者や情緒豊かなハバナの街並みが必見の「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」など、音楽やアーティストの魅力だけにとどまらず、その時代のファッションや文化、パフォーマンスのパワーや熱量が堪能できる作品となっている。
上映作品ラインナップ①
『ワッツタックススタックス・コンサート』
真夏に展開された黒人アーティストのみのコンサートを描いたドキュメンタリー。
1972年8月20日午後3時、真夏の暑い太陽の下、ロス・アンジェルスのメモリアム・コロシウムに10万人の観衆がつめかけた。ソウルの名門レーベルであるスタックス・レコードのアーティストたちのほとんどが出演し、およそ6時間にわたって繰り広げられた伝説の大野外コンサート。
『トミー』
イギリスを代表するロックバンド「ザ・フー」が1969年にリリースしたアルバムで、ロック・オペラというジャンルを確立し、彼らの代表作となった名盤「トミー」を映像化した伝説的ロック映画。ザ・フーのメンバーをはじめ、エルトン・ジョン、エリック・クラプトン、ティナ・ターナーらそうそうたる顔ぶれのミュージシャンたちが出演。さらに、ジャック・ニコルソン、アン=マーグレット、オリバー・リードら名優たちが歌と踊りを披露している。日本では76年に公開され、カルト的人気を集めた。監督・脚本は「肉体の悪魔」「マーラー」の鬼才ケン・ラッセル。
『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』
ライ・クーダーがキューバ音楽の巨人たちと創り上げた同名アルバムが大ヒットを記録し、1997年グラミー賞を受賞。ドイツの巨匠ヴィム・ヴェンダースが、キューバを再訪するライ・クーダーに同行し、メンバーとの交流やステージ映像を交えつつ、彼らの素晴らしい音楽とそれぞれの人生を映し出していく。
『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ★アディオス』
「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」から18年を経て、現メンバーによる最後のツアーを追ったドキュメンタリー。彼らのプロとしてのキャリアの浮き沈みやこれまで歩んできた旅路、さらにメンバーの死にも迫る。前作で監督を務めたヴィム・ヴェンダースが製作総指揮を務めた。
『アメイジング・グレイス/アレサ・フランクリン』
1972年1月にロサンゼルスのニュー・テンプル・ミッショナリー・バプティスト教会でおこなわれたライブの模様をポラック監督がドキュメンタリー映画として撮影。その後、技術トラブルに見舞われて未完となっていたが、その素材をもとに半世紀近い時間を経て完成。音楽史を塗り替えたと言われる幻のライブがスクリーンに蘇る!
『メイキング・オブ・モータウン』
伝説の音楽レーベル「モータウン」の創設者ベリー・ゴーディに初・密着!ジャクソン5、スティーヴィー・ワンダー、スプリームス、マーヴィン・ゲイ、テンプテーションズなど数多くのアーティストを輩出した秘密のノウハウが、遂に本人の口から明かされる。
『ノーザンソウル』
1960年代にイングランド北部の労働者階級の若者たちから生まれた音楽ムーブメント「ノーザン・ソウル」の最盛期である70年代を舞台に描いた青春ドラマ。人気ファッションフォトグラファーのエレイン・コンスタンティンが初メガホンをとり、自身が体験した当時の熱狂をリアルに描き出す。
『SAYONARA AMERICA』
細野晴臣が2019年にアメリカで初めて開催したソロライブの模様を収録したライブドキュメンタリー。アメリカの舞台で軽やかに、自由にギターを奏で、歌う細野の姿を収めるとともに、彼が語る思いなども記録した。監督は「NO SMOKING」に続いて佐渡岳利が務めた。
上映作品ラインナップ②
『77BOADRUM』
国内外で活躍するバンド「ボアダムス」が2007年7月7日にニューヨークで敢行したライブイベント「77BOADRUM」を捉えたドキュメンタリー。ボアダムスのコンセプトを基に77台のドラムで一斉に演奏された圧巻のパフォーマンスを中心に、2日間にわたって行なわれたリハーサルの模様や関係者へのインタビューなどを交える。驚愕ライブパフォーマンスの実態をスクリーンで!監督はこれまで多くのミュージシャンのPVを手がけてきた川口潤。
『はだかのゆめ』
2人組バンド「Bialystocks」で音楽活動も行う映画作家・甫木元空が、2016年の劇場デビュー作「はるねこ」に続いて撮りあげた長編第2作。11月25日(金)からの公開に先駆けて、boidsoundによる先行プレミア上映。高知県・四万十川の流れる地に暮らす一家の物語を、若くして両親を亡くし祖父と暮らす甫木元監督自身の体験を投影しながら描き出す。「うみべの女の子」の青木柚が主演を務め、「三年身籠る」など監督としても活動する女優の唯野未歩子、シンガーソングライターの前野健太が共演。
■boidsoundとは?
爆音上映で知られるboidの音響調整チームが、音楽ライヴ用の機材を映画館に持ち込むのではなく、映画館にあらかじめ備え付けられた機材のみを使って映画一本一本の音を調整。耳ではなく身体全体で音を聴き、感じることを目指し音量を上げ、映画の音響のバランスをとることによって映画と映画館と観客の身体の可能性を最大限に広げる試み。10作品の内、1作品を除き全てboidsound上映。