カバー画像:クリスチャン・ベール/『ダークナイトライジング』(2012)より ©2012 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved. BATMAN and all related characters and elements are trademarks of and © DC Comics.
バットマンが初めて映画化されたのは1943年。その時のタイトルも『The Batman』でした。そして2022年の『THE BATMAN-ザ・バットマン-』に至るまで、約80年にわたって、9人の役者が実写版バットマンを演じています。ここではその歴史を、バットマンの見た目=バット・スーツの変遷に注目しながら振り返ってみましょう。
1940-1960年代
初期3作品でイメージが確立
1939年にコミックでデビューしたバットマンは1943年に連続活劇映画『The Batman』として映画化。当時は第二次世界大戦下だったため日本人の破壊工作員と戦うという設定でした。バットマン役は当時23歳のルイス・ウィルソン。1949年には続編『Batmanand Robin』が作られます(主演はロバート・ローリーに変更)。両作ともモノクロでコスチュームもいかにもタイツっぽい。そして耳がかなりとんがっているのがポイントです。
ポップカルチャー史におけるバットマン人気を高めたのは1966年から放送されたバットマンのTVドラマ・シリーズ。映画版も公開されています。先の映画版のマスクは頭巾のようでしたが、このドラマ版は耳の部分が短くなり、より仮面ぽさが増しています。
またコミックのヴィランたちがかなり原作に近いルックスで登場。アクション・シーンでは〝POW!〞のようなコミックでの擬音が表示され、ポップな世界観が特徴です。バットマンに欠かせないバットモービルや秘密基地感たっぷりのバットケイブもこのドラマでイメージが確立しました。
1980-1990年代
ダークで始まり、ポップに回帰
1980年代にバットマンを再び映画化しようとの声があがってきます。しかし当時のバットマンのコミックは、アダルト層を意識したダーク・ヒーロー路線。映画もこの要素を取り入れます。そうして生まれたのがティム・バートン監督×マイケル・キートンの『バットマン』(1989)。アダム・ウェスト版バットマンのポップなイメージとは真逆の暗さがポイント。バット・スーツも全身タイツからボディ・アーマーとしてデザインされます。
映画は大ヒットとなりこのコンビで『バットマンリターンズ』(1992)が作られますが、前作以上にバートンの趣味性が出て〝ヒーロー物〞というより、〝奇怪な怪人たちの群像劇〞になってしまいます。
映画会社はもう一度バットマンをヒーロー物として軌道修正しようとバートンを降板させ、監督はジョエル・シュマッカーに交代。バットマン役もヴァル・キルマー(『バットマン フォーエヴァー』(1995))、ジョージ・クルーニー(『バットマン&ロビン Mr.フリーズの逆襲』(1997))に。シュマッカー版はアダム・ウェスト版のテイストを意識しポップな仕上がりになっています。バット・スーツについてはシュマッカーのこだわりでなぜか〝乳首〞があるのです。