世界的な巨匠である大島渚監督の逝去から10年という節目の年に、国立映画アーカイブでは2023年4月 11日(火) より 企画上映「没後10年 映画監督 大島渚」 を開催する。

戦後の日本社会に尖鋭な問題を提起し続けた大島の映画人生を、作品上映を通して俯瞰する。大島が自ら体系的に遺した膨大な作品資料や個人資料をもとに構成される展覧会とも連動して、計45作品(34プログラム)を上映する大規模な回顧特集となる。

大島の足跡をたどる作品群の上映

若き日に松竹撮影所で生み出された鮮烈な『青春残酷物語』(1960)や『日本の夜と霧』(1960)、自ら興したプロダクション「創造社」を基盤に次々と送り出された『絞死刑』(1968)、『少年』(1969)、『儀式』(1971)といった問題作、そして世界をセンセーションに巻き込んだ国際的合作『愛のコリーダ』(1976)や『戦場のメリークリスマス』(1983)――絶えず映画の自由を追い求め、作品ごとに主題やスタイルを刷新しながら、映画の常識を破る冒険者として活動した大島渚の足跡を、作品上映を通じて振り返る。長篇デビュー以前に松竹撮影所で大島が手がけた『明日の太陽』、脚本を担当した『月見草』や『どんと行こうぜ』(いずれも1959)も取り上げる。

画像: 『絞死刑』(1968年)

『絞死刑』(1968年)

画像: 『少年』(1969年)

『少年』(1969年)

唯一の連続テレビドラマ全13話を一挙上映

1964~65年にTBSで放送された『アジアの曙』全13話は、大島渚が手がけた最初で最後の連続テレビドラマ。大正初期、中国大陸に渡って袁世凱を打倒する第二革命に参加した唯一の日本人・中山峯太郎を主人公として、革命軍の仲間たちの群像劇が描かれる。テレビ局と外部プロダクションの提携による本格的な長篇ドラマの潮流は、当時“テレビ映画”と銘打たれており、大島が創造社メンバーの脚本家たちや俳優たちと協働して取り組んだ初めての作品となった。ソフトや配信などがなく貴重な上映の機会だ。

画像: 『アジアの曙』©大島渚プロダクション 協力:国際放映

『アジアの曙』©大島渚プロダクション 協力:国際放映

本特集の会期中に、トークイベントを開催。
【対象回】
・4月11日(火)15:00の回『少年』
トークゲスト:小山明子(俳優)/聞き手:樋口尚文(映画評論家)
・4月11日(火)18:30の回『わが映画人生 黒澤明監督』
トークゲスト:大島新(映画監督)/聞き手:樋口尚文(映画評論家)
・4月15日(土)15:30の回『御法度』
トークゲスト:成田裕介(映画監督)/聞き手:樋口尚文(映画評論家)

上映作品

『月見草』(1959)、『明日の太陽』(1959)、『どんと行こうぜ』(1959)『愛と希望の街』
(1959)、『青春残酷物語』(1960)、『太陽の墓場』(1960)、『日本の夜と霧』(1960)、『飼育』(1961)、『天草四郎時貞』(1962)、『KYOTO, MY MOTHER’S PLACE』(1991)、『小さな冒険旅行』(1963)、『私のベレット』(1964)、『ユンボギの日記』(1965)、『アジアの曙』全13話(1964-65)、『悦楽』(1965)、『白昼の通り魔』(1966)、『忍者武芸帳』(1967)、『日本春歌考』(1967)、『無理心中 日本の夏』(1967)、『絞死刑』(1968)、『帰って来たヨッパライ』(1968)、『新宿泥棒日記』(1969)、『宵闇せまれば』(1969)、『少年』(1969)、『東京战争戦後物語』(1970)、『儀式』(1971)、『夏の妹』(1972)、『愛のコリーダ』[デジタル修復版](1976)、『愛の亡霊』(1978)、『戦場のメリークリスマス』[デジタル修復版](1983)、『マックス、モン・アムール』(1986)、『御法度』(1999)、『わが映画人生 黒澤明監督』(2002)

上映企画と連動して、 展覧会「没後 10年 映画監督 大島渚」を開催。

展覧会名:没後10年 映画監督 大島渚
会期:2023年4月11日(火)~8月6日(日) ※月曜日および5/30(火)~6/1(木)休室
会場:国立映画アーカイブ 展示室(7階)

主催:国立映画アーカイブ 特別協力:株式会社大島渚プロダクション 監修:樋口尚文
▼世界的な巨匠である大島渚監督の逝去から10年、『大島渚全映画秘蔵資料集成』(2021年)の編著者である樋口尚文氏を監修に迎え、同書にも収められた監督旧蔵の貴重な資料や国立映画アーカイブの所蔵品を一堂に集めることで、その映画人生を貫く挑戦的な知性と行動の足跡を明らかにします。

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