『雨にぬれた舗道』『イメージズ』『ロング・グッドバイ』を上映
“アメリカン・インディーズの父”“ハリウッドの異端児”など様々な肩書を持つロバート・アルトマン監督。『M★A★S★H マッシュ』(70)で監督としての地位を確立して以降、『ナッシュビル』(75)、『ウェディング』(78)、『ザ・プレイヤー』(92)、『ショート・カッツ』(93)など、そのテーマのみならず、演出、撮影、音響、全てにおいて型破りな作品を半世紀にわたり発表。世界三大映画祭の全てで最高賞を受賞しながらも、国家や固定観念を徹底的にコケにし、度重なる興行的失敗もあってハリウッドを追われ、何度も浮き沈みを経験したが今も多くの映画作家たちに愛されている。5/26(金)より全国順次公開される【ロバート・アルトマン傑作選】では、知られざる傑作『雨にぬれた舗道』『イメージズ』、そして今年公開から50周年を迎えた人気作『ロング・グッドバイ』を上映!
今回解禁されたメインビジュアルでは、繊細かつ戦慄的な演技で観る者を圧倒する『雨にぬれた舗道』主演のサンディ・デニスと『イメージズ』のスザンナ・ヨークの、不穏な表情と射るような眼差しが強烈だ。また、物語に観客をひきこむ案内役の猫とエリオット・グールド演じるフィリップ・マーロウのかけ合いが印象深い『ロング・グッドバイ』の冒頭シーンもセレクトしてデザイン。あわせて予告編も完成。あやうい匂いが香りたつ『雨にぬれた舗道』に始まり、『イメージズ』では名キャメラマン、ヴィルモス・ジグモンドによるエキセントリックな撮影とツトム・ヤマシタの音楽が本作の比類ない<異常な魅力>を確信させる。そして『ロング・グッドバイ』ではジョン・ウィリアムズの名曲「The Long Goodbye」にのせ、異色のハードボイルドである本作のムードをたっぷりと味わうことができる。
妖しい白昼夢に迷い込んだかのような戸惑いと驚き、何度も繰り返し鑑賞したくなる中毒性に満ちた3 作品。常識を軽やかに飛び越えるアルトマンの世界をこの貴重な機会に堪能したい。
◆上映作品
『雨にぬれた舗道』(1969)
ブルジョワの婦人が、自宅に隣接する公園のベンチでずぶ濡れになっている見知らぬ青年を招き入れて、風呂に入れ食事を与えたことがきっかけとなり、二人の奇妙な関係が始まる…。
原作はハリウッド映画の子役から作家に転身したリチャード・マイルズの長編小説。この初期作品で早くもアルトマンは、女性の強迫観念や性的欲求不満を前面に出した主題の選択のみならず画作りの面でも大胆な試みをおこなっている。
『イメージズ』(1972)
ロンドン在住の女性児童文学作家が、ある晩正体不明の女からの不気味な電話を受けたのをきっかけに、幻聴や幻視に悩まされ始め、周囲の男性たちのアイデンティティが区別できなくなり、ついにはドッペルゲンガーと対峙するにいたる。ヨークの演技(カンヌ国際映画祭最優秀女優賞を受賞)、ヴィルモス・ジグモンドの撮影、ジョン・ウィリアムズとツトム・ヤマシタの音楽も賞賛された。
『ロング・グッドバイ』(1973)
レイモンド・チャンドラー小説の私立探偵マーロウを現代によみがえらせた、寓話的フィルム・ノワール。原作からかけ離れた探偵像と結末の大改変に公開当時は非難轟々だったが、歳月を経てカルト映画に。グールド演じる飄々とした可笑しみのある猫好きのマーロウ、探偵を取り巻く個性的な面々、ジグモンドの冒険心溢れる撮影、奇抜で魅力的な楽曲使用など、繰り返し観たくなる魔術的作品。