これでもかと本能を刺激！ 命の危険を感じる恐怖感
高い。地面が遠い。ここから落ちたら即死するしかない。そういう場所にいるだけで、本能的な恐怖が込み上げてくる。人間なら誰もが持っているこの高所に対する恐怖の感覚を、これでもかとばかり突きつけてくるのが、この映画。ホラー映画の恐怖感とは別の、命の危険を体で感じる、身体感覚的な恐怖感をたっぷり味合わせてくれる。
舞台は、高さ600mの鉄塔の上。そのモデルは、実在するカリフォルニアで最も高い625mの建造物、支線式鉄塔のサクラメント・ジョイント・ベンチャー・タワー。この高さは、634mの東京スカイツリーにかなり近い。
主人公ベッキーとその親友ハンターはこの塔を登るが、風が吹くと塔が揺れ、見下ろすと地面ははるかに遠く、それだけでもう怖い。なのに、2人が塔から降りようとするとハシゴが崩落し、塔の頂上近くの八角形の盤面に取り残されてしまう。
その盤面も直径約1.5mの八角形という狭さで、体を伸ばして寝ることもできない。どんな行動をする時にも、落下の恐怖が付きまとうのだ。
ストーリーもヒネってます！ 極限状態の人間ドラマにも注目
そんな状況下で繰り広げられる、サバイバルのための試行錯誤も、本作の魅力。塔の周囲に人影は無く、スマホの電波も届かない。2人はそんな状況の中で地上に戻るため、さまざまな知恵を出し合い、危険を承知で行動していく。もし人が見えたらどう行動するか。スマホを使って何ができるのか。次々に出来事が起こり、スリリングでスピード感のあるドラマが展開していく。
そしてもちろん、人間ドラマも見逃せない。ベッキーとハンター、親友2人の心情が描かれ、片方が隠していたことが明らかになり、2人の心が揺れる場面もある。さらにストーリーにはヒネリあり。登場人物の心理に基づいた、ある仕掛けもプラスされている。
ベッキー役は、映画「シャザム！」シリーズで主人公の姉メアリーを演じるグレイス・キャロライン・カリー。ハンター役は、TVドラマ「マーベル ランナウェイズ」の超能力者カロリーナ役のヴァージニア・ガードナー。ベッキーの父親役でTV「ウォーキング・デッド」の悪漢ニーガンことジェフリー・ディーン・モーガンが共演。
監督・脚本は、デイヴ・バウティスタ主演のアクション映画『ファイナル・スコア』（2018）の監督スコット・マン。登場人物は全編を通してほぼ2人のみ、舞台は1箇所のみという、最小限の要素を使って、最大限のリアルな恐怖と感動を味合わせてくれる。
STORY
親友2人が600mの鉄塔登りに挑戦!
ベッキー（左）は親友ハンター（右）と鉄塔登りへ
ベッキーと夫のダン、彼女の親友ハンターが3人でフリークライミング中に、ダンが落下事故で死亡。その1年後も、ベッキーは夫を失った悲しみで落ち込んだまま。ハンターは彼女を元気づけようと、自分の危険な冒険を公開するオンライン配信に彼女を誘う。次の冒険は、使われていない地上600mのテレビ塔の登頂だった。
ハシゴ崩落！ 鉄塔に取り残される！
地上とつながる唯一のハシゴが崩落！
2人は、塔に設置されたハシゴを使ってテレビ塔登りを開始。金属製の塔は老朽化していて2人が登る振動でネジが外れていくが、2人は気づかない。2人は励まし合って頂上まで登り、ベッキーも心の整理がつく。
ところが、2人が塔を降りようとすると、ネジが取れていたハシゴが崩れ落ち、2人は塔の上に取り残されてしまう。
人影なし！ 電波なし！ 絶体絶命！
助けを望めない極限状態！ 2人の命運は？
テレビ塔は町から離れているので、塔の周囲には誰もいない。2人は昼食までに戻るつもりだったので、食料もない。撮影用のドローンを入れたリュックは落として、塔の途中のアンテナに引っかかったまま。スマホで誰かに連絡しようとしても、塔が高すぎて電波が届かない。この状況で、2人はいったいどんな方法を試みるのか!?
商品収録の映像特典でチェック!!
メイキング映像で知る壮絶な舞台裏
壮絶！：実際に鉄塔を建設！リアルへのこだわり
主演2人は地上30ｍでのスタントに挑戦
監督がこだわったのは、CGではない、実写によるリアルな表現。そのために600mの崖を探し、その崖の上に、作中の塔の最上部として高さ30mの塔を実際に建設。主役2人がこの塔で演技して、高さ600mの状況を作り出した。しかも主演2人のスタントは彼女たち自身。2人はハーネスをつけて撮影したが実際に怖かったと語っている。
壮絶！！：灼熱と強風、羽アリ･･･砂漠での過酷ロケ
ハンター役のガードナーは「本当に命がけだった」と証言
砂漠でのロケ撮影のため、撮影環境は過酷。まず高温のため、俳優たちは撮影前にスウェットを着て暑さに慣れる訓練をした。さらに強風のために塔が揺れ、撮影が中断されたこともあり、風速27mを超える強風の際は塔が倒壊しそうになった。また、塔の周辺に大量の羽アリが襲来し、俳優たちが全身羽アリまみれになったことも。
壮絶！！！：思わず言っちゃったFワードをAIで修正
ベッキー役のカリーはセリフ変更なしの優等生!?
こうしてリアルな高所で過酷な撮影をしたせいもあり、撮影中に俳優たちが思わず、青少年には聞かせられない放送禁止用語を発してしまうこともしばしば。そのままでは映画がR指定になってしまうが、再撮影の予算はない。そこで使われたのが最新技術。AIを使って撮影済みの映像の口の動きを作り変え、セリフを変更した。
＼ここもチェック！／
上記で紹介したメイキング映像のほかに、本編と結びつく歌詞も印象的な「'I Have Never Felt More Alive'」のミュージックビデオも収録。こちらもチェックしたい！
Blu-ray＆DVDは7月5日（水）発売
『FALL／フォール』
2023年7月5日（水）発売
Blu-ray&DVD／価格：5,720円（税込）
特典映像：メイキング、ミュージックビデオ、予告編（オリジナル、日本版）
発売元：クロックワークス 販売元：ハピネット・メディアマーケティング
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