杉山すぴ豊
アメキャラ系映画ライター。雑誌や劇場パンフレットなどにコラムを執筆。アメコミ映画のイベントなどではトークショーも。大手広告会社のシニア・エグゼクティブ・ディレクターとしてアメコミ映画のキャンペーンも手がける。
現代ホラーの名門ブラムハウスもアメコミ映画を!?
アメコミ映画がマーベル、DCなら、ホラー映画の大御所は『透明人間』(2020)、『ハロウィン』(2018)、『M3GAN/ミーガン』(2023)のブラムハウス。そのブラムハウスがなんとアメコミ・ヒーロー映画に乗り出します。
それは『スポーン』! そう90年代にアクション・フィギュア・ブームを巻き起こした魔界ヒーロー! 原作者のトッド・マクファーレン自身がいまの時代にあった映画版を作ると公言して、ジェイミー・フォックス出演で準備しているとの噂でしたが、製作はブラムハウスになる模様。
社長であるジェイソン・ブラム自身が2025年の公開を目指していると発表しました。ホラー映画に強いスタジオがスポーンを作るのは「あり」だし、ここは『パージ』(2013)とか『ザ・ハント』(2020)とかバイオレンス物も上手いので期待です。
アメコミ好きの夢実現ロン毛のスーパーマン
さて公開からもう一月以上たっているので、ネタバレOKかと思いますが『ザ・フラッシュ』。主人公のバリーがマルチバースの大変動を見届けるクライマックスに、ロン毛のスーパーマンが登場しますよね。よーくみるとニコラス・ケイジ。そして巨大な蜘蛛の怪獣と戦っている。
つまりマルチバースの1つの中にこのスーパーマンが活躍する世界がある、ということですが、このシーンを試写で観た時、本当にうわ!と声をあげてしまいました。ここはDC映画について詳しい方なら誰もがビックリしたと思います。
実は1990年代後半にティム・バートン監督×ニコラス・ケイジ出演で『スーパーマン・リヴズ』という映画が企画されていました。
リヴズ=LIVESとちょっと不思議なタイトルですが、もともと1992年にスーパーマンが死ぬという衝撃のコミック“デス・オブ・スーパーマン”が発表され話題を呼びました。
これをベースに死んだスーパーマンが最後に復活するという“スーパーマン・リボーン”という映画の企画が持ち上がり、さらにブラッシュアップされ『スーパーマン・リヴズ』となったわけです。
ニコラス・ケイジがスーパーマン・スーツを着たテストショットまで作られていたのですが、製作費等の問題で結局キャンセルになりました。この映画のクライマックスは巨大な蜘蛛のロボットとスーパーマンのバトルでした。
従ってアメコミ好きの間では幻の映画となっていたわけですが、それをこういう形で見せてくれたわけですね。すごくマニアックですが素敵なファン・サービスです。
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驚きの連続! あのバットマンも復活
『ザ・フラッシュ』においてもう一つの驚きはエンディングでのジョージ・クルーニーの復活。彼は『バットマン&ロビン Mr.フリーズの逆襲』(1997)でバットマンことブルース・ウェインを演じていました。
この作品は必ずしも評判のいい映画ではなく“失敗作”とみなされています。本作の低評価でバットマン映画は打ち切りとなり、2005年の『バットマン ビギンズ』までお休みとなります。
ちなみに僕はこの映画がとても好きで、自分のいだいている“昼はプレイボーイ“というブルース・ウェイン像に一番ジョージ・クルーニーが合っている。ただジョージ・クルーニーのキャリアにおいても黒歴史的に語られる作品なので、この出演にはビックリ!
もっとも彼が最近出演したコメディ『チケット・トゥ・パラダイス』(2022)でバットマン・ネタをやっていたので、もしかしてクルーニーはバットマンの過去、もう水に流している?とも思っていた矢先の登場でした。
というわけで『ザ・フラッシュ』は驚きの連続ですが、もうすぐ公開の『トランスフォーマー/ビースト覚醒』でも「えええ!!??」と声に出したくなるすごい展開が待っています(笑)。それについては来月解説しましょう。
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さて今月は7月19日からサンディエゴ・コミコンが開催されています。ずっと続いている例の脚本家のストライキやこの原稿を書いている時点で俳優組合のストライキの可能性もあって映画やドラマがらみのパネル(プレゼンテーション)がぐっと減りそうなんですが、とりあえずネタを拾いに行ってきます。皆さんをワクワクさせるニュースを見つけてきますね。
『ザ・フラッシュ』
公開中/配給:ワーナー・ブラザース映画
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