約40年にわたってハリウッドを中心に映画記者活動を続けている筆者が、その期間にインタビューしたスターは星の数。現在の大スターも駆け出しのころから知り合いというわけです。ということで、普段はなかなか知ることのできないビッグスターの昔と今の素顔を語ってもらう興味津々のコーナーです。今回は新作『ホーンテッドマンション』(2023)に出演のジェイミー・リー・カーティスについて。(文・成田陽子/デジタル編集・スクリーン編集部)

成田陽子
ロサンジェルス在住。ハリウッドのスターたちをインタビューし続けて40年。これまで数知れないセレブと直に会ってきたベテラン映画ジャーナリスト。本誌特別通信員としてハリウッド外国人映画記者協会に在籍。

スーパースター・カップルの2世俳優としてホラー映画『ハロウィン』で有名に

画像1: 筆者とジェイミー

筆者とジェイミー

『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』(2022)の税務署員役で今年のオスカー助演女優賞を受賞したジェイミー・リー・カーティスはホラー映画の絶叫娘、新作『ホーンテッドマンション』(2023)では不気味なマダム役などなど、変人、奇人ぽい役で人気があるが、『ワンダとダイヤと優しい奴ら』(1988)や『ブルースチール』(1990)、アーノルド・シュワルツェネッガーと共演した『トゥルーライズ』(1994)の頃はセクシーでスマートで勇ましい女性の役を得意としていたのである。

最新作『ホーンテッドマンション』については、

「私が演じるマダム・レオタはロシア人らしくて、昔の王族が着るような豪華な衣装を着て、豪邸のエントランス・ホールでポーズする場面には興奮したわね。

スター登場って感じでいかにも占い師の謎めいた感じが出ていて。クリスタル・ボールの中で私の頭が浮かんでいるのもホラー要素たっぷりだったでしょう!

今64歳だけれど年取ってきて本当に良かったって感謝の日々よ。知的刺激の地平線を広げて、私なりの独学と遅くなってからの頭脳の発達、もっともっと創造性のチャンスが出て来て、『エイジングの贈り物』の美しさにひれ伏しています。

重要でないことは気軽に無視し、『今を生きる』を毎日実行しているの。役柄も広がって良いことづくめなのですから、年を取ることを怖がらず、逆に楽しみにして生きていくと良いですよ!」

とヤングを力づけ、シニアに希望を持たせてくれるのである。

ご存知のようにジェイミーは1950年代のスーパースター・カップル(ちょっと前のブラッド・ピットとアンジェリーナ・ジョリー以上の人気)、トニー・カーティスとジャネット・リーの間に生まれ、有名なビバリーヒルズ高校に通って、他のセレブの子供達とかなり不良っぽい交友をし、ジョン・カーペンター監督に誘われて『ハロウィン』(1978)で映画デビュー。

国際ホラー・ファンタジー協会賞を獲得し、以来「スクリーミング・クイーン」(悲鳴女王)のタイトルを持つようになった。

実は英国では貴族院の国会議会に参列することもある一面も持っている?

画像: 1980年代後半の頃のジェイミー

1980年代後半の頃のジェイミー

1984年に俳優のクリストファー・ゲストと結婚、彼の父親は英国の貴族出身で国連外交官でもあり、彼も英エセックス5代目の男爵の称号を持っているためにジェイミーも英国では「レイディー」(令夫人)と呼ばれて、貴族院の国会議会に参列したりとハリウッドの外側でも異例の生活を送っている。

1986年生まれのアニーと1996年生まれのルビーという二人の娘を養女に迎え、ハリウッドでも珍しい安定した家庭を保っている。

初めてインタビューしたのは『ワンダとダイヤと優しい奴ら』の時で、おちょくったり、ふざけたり、気楽な会話の中で突然、的を得た真剣なコメントを投げかけてくる楽しいキャラクターを見せてくれた。

画像2: 筆者とジェイミー

筆者とジェイミー

ツーショットを撮る時にも、ワタクシのほっぺたを指で摘んでキャッキャと喜んだり、突然ダンスの振りをしたり、一時もじっとしていない忙しい30歳のジェイミーだった。

『トゥルーライズ』の頃には少し落ち着いて、ドラッグがはびこるハリウッドの生活がいかに危険なものかを少しばかり話してくれた。

そしてその数年後、彼女がドラッグとオピオイド(強い痛み止め薬)依存症だったことを告白。

「1999年に24年間続いた中毒症を克服しました。もう22年間もアルコールも飲んでいません。長い、苦しい、孤独な戦いでした」

現在は健康一番で俳優組合のストライキに参加したり、娘たちとの時間を大事に過ごす毎日を送っている。

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