いま再び 精密な夢のなかへ
80年代、アテネ・フランセでの特別上映などに始まり、熱狂的な映画ファンたちに支えられ、日本のミニシアターブームの火付け役のひとつとなったシュミットの作品。昨今でも『ヘカテ デジタルリマスター版』や盟友ライナー・ヴェルナー・ファスビンダーとタッグを組んだ『天使の影』などの上映により、新たなファンを獲得し続けている。
この度、シュミット作品のなかでも一際幻想的で、失われない輝きを放つ二作品『デ ジャ ヴュ』『季節のはざまで』がデジタルリマスターで日本初公開が決定！
『デ ジャ ヴュ デジタルリマスター版』(c) JENATSCH: 1987 T&C Film AG
1987年、カンヌ映画祭で上映され絶賛された『デ ジャ ヴュ』は、ふたつの現実、ふたつの時間が混じり合う極上の耽美幻想映画。タイムスリップものでもあり、時代劇ものでもあり、時を飛び越えるミステリーとしての側面も持ちながら、シュミットの魔法によって美しい夢のような魅力をたたえている。撮影監督はジャック・リヴェット、エリック・ロメールなどヌーヴェル・ヴァーグの作家たちの作品も手がけてきた名キャメラマン、レナート・ベルタ、美術監督はR・W・ファスビンダーの『ローラ』や『第三世代』も手掛けたラウール・ヒメネス。
『季節のはざまで』は古いホテルにて、一人の男が少年時代を追憶する物語。『はなればなれに』『夕なぎ』のサミー・フレイ、名優モーリス・ガレルやシュミット、ファスビンダー作品に欠かせないイングリット・カーフェンと、20世紀ヨーロッパ映画に欠かせない豪華キャストが集い、隅々にまで目を奪われるホテルにて、誰もが大切にしまっているような、甘美な思い出話がつむがれてゆく。
『季節のはざまで デジタルリマスター版』(c) HORS SAISON: 1992 T&C Film AG
今回、『デ ジャ ヴュ デジタルリマスター版』は主人公を演じるミシェル・ヴォワタと、夢幻的な娘ルクレツィアを演じる、ルイス・ブニュエル『欲望のあいまいな対象』で知られるキャロル・ブーケの姿をとらえた写真を、『季節のはざまで デジタルリマスター版』は深く端正な存在感たっぷりに主人公を演じる名優サミー・フレイと、登場人物が集うにぎやかな魅力が詰まった写真が解禁になった。初のリバイバル上映にして、至福のデジタルリマスター版での、ダニエル・シュミット珠玉の2作品の上映が楽しみだ。
『季節のはざまで デジタルリマスター版』(c) HORS SAISON: 1992 T&C Film AG
『デ ジャ ヴュ デジタルリマスター版』
1987年 / スイス / カラー / 97分
脚本：マルタン・シュテール、ダニエル・シュミット 撮影：レナート・ベルタ 美術：ラウール・ヒメネス 音楽：ピノ・ドナッジオ
出演：ミシェル・ヴォワタ、クリスチーヌ・ボワッソン、ヴィットリオ・メゾジオルノ、ラウラ・ベッティ、キャロル・ブーケ
17世紀スイス、グリソン州における独立運動の最大の英雄イェナチュの謎の死を追いかける若きジャーナリストは、ある日イェナチュの姿を発見してしまう。＜既視体験＞に悩まされる彼に、ますます不思議な出来事が起こって…。シュミットの盟友レナート・ベルタによる驚異的な映像美のなか、実在した人物の謎を軸に、ふたつの時代、ふたつの現実が交差するさまを描きだす極上の幻想映画。
『季節のはざまで デジタルリマスター版』
1992年 / スイス・ドイツ・フランス / 92分
脚本：ダニエル・シュミット、マルタン・シュテール 撮影：レナート・ベルタ 美術：ラウール・ヒメネス 音楽：ペール・ラーベン
出演：サミー・フレイ、カルロス・デベーザ、イングリット・カーフェン、アリエル・ドンバール、ジェラルディン・チャップリン、モーリス・ガレル
舞台はスイスの山中に建つ古いホテル。ここの持ち主だった祖父母に育てられたヴァランタンが、ホテルが取り壊されると聞いて記憶をたよりにやってくる。今は無人と化したホテルの中を歩きながら、彼は少年時代の懐かしい記憶の数々を思い出してゆく。『はなればなれに』『夕なぎ』のサミー・フレイが主人公を好演、豪華キャストも一堂に会して綴られる、切なくなってしまうほどに多幸感に溢れた追憶のものがたり。
配給：マーメイドフィルム、コピアポア・フィルム
宣伝：VALERIA
後援：在日スイス大使館
