『スパイの妻』(20)で、第77回ベネチア国際映画祭銀獅⼦賞(最優秀監督賞)を受賞した⿊沢監督が映画最新作に選んだのは、顔のみえない社会で拡散する、憎悪の連鎖から⽣まれる“集団狂気”を描いたサスペンス・スリラー。
主演は、『花束みたいな恋をした』(2021)、『ミステリと⾔う勿れ』(2023)など数々の⼤ヒット映画に出演し、俳優として⽇本映画界を牽引し、アーティストとしても圧倒的な⽀持を受ける、菅⽥将暉。菅⽥は、本作の出演オファーを即決。『Cloud クラウド』では「ラーテル」というハンドルネームを使い、転売で稼ぐ主⼈公・吉井良介を演じている。
菅⽥は、⿊沢と本作の撮影現場で10年ぶりに再会。初対⾯は、主演作『共喰い』(2013/⻘⼭真治監督)で参加した2013年の第66回ロカルノ国際映画祭で、2022年に57歳の若さで故⼈となった⻘⼭監督から紹介された時以来だったという。今回の発表に際して、菅⽥は「⽣活の中に潜む、怖さとユーモア。 ⿊沢監督の頭の中が毎⽇少しずつ開⽰されていく撮影は、とても楽しく、贅沢な時間でした。 ピュアで歪な⼈間のアクションがたまらない。とにかく完成が待ち遠しい」とコメント。
⿊沢は、「現代⽇本の⽚隅で、時折まったく無⽬的と思われる暴⼒事件が起きることがある。原因を探っていくと、そこにはちょっとした恨みやムシャクシャした気分がインターネットによって集結し肥⼤していくシステムがあるようだ。私はこうした現象がアクション映画の題材になるのではないかと考え、この企画をスタートさせた」とコメント、また主演の菅⽥について「菅⽥さんにお願いした主⼈公吉井良介は、真⾯⽬で⼀途な悪党という、現代⽇本映画ではほとんど⾒かけない⼈物である。キャラクターの分類としては⽭盾しているのかもしれない。しかし菅⽥さんはこの難しい役を極めて繊細に、かつ堂々と演じてくれた」と称賛。
『ヘレディタリー/継承』、『ミッドサマー』のアリ・アスター監督をはじめ、スリラー・ホラー映画の作り⼿を⽬指す世界中の監督たちが、必ずその影響を⼝にする⽇本⼈監督は“Kiyoshi Kurosawa”。90年代にその道を切り拓き、今年第17回 AFA(アジア・フィルム・アワード)の審査委員⻑も務める⿊沢清が、現代映画界の寵児たちのリスペクト魂に応じるかのように、最⾼にスリリングな作品に着⼿した。昨年商業映画デビューから40年を迎えた⿊沢が、サスペンス・スリラー作品に挑むのは、2016年公開の『クリーピー 偽りの隣⼈』以来となる。
初めてのコラボレーションでどのような相乗効果が⽣まれるのか︖ ⿊沢清が撮る、誰も⾒たことがない菅⽥将暉に注⽬だ。本作の撮影は、昨年11⽉25⽇から12⽉22⽇に⾏われ、現在制作中。現代社会に潜む‟集団狂気”を描く映画『Cloud クラウド』は、今年9⽉全国劇場にて公開。