ゴジラ、ガメラをはじめ、ウルトラ怪獣など、数々のフィギュア造形を手掛けてきた原詠人氏。そのルーツは、なんと1967年発売の別冊スクリーン5月号『怪獣映画大特集』にあった!
『原詠人の世界』怪獣トークショー
・2024年7月27日(土)13時〜
・2024年7月28日(日)13時〜
原氏がゲストお二人を交えて怪獣トークショーをお届けします。(観覧無料)
ゲスト1:ほうとう ひろし(1961年生まれ )は、出版企画兼デザイナー。
東京・板橋生まれ。日本大学芸術学部美術学科絵画課程卒業。
いままで顧みられることのなかった過去の広告やデザイン、写真、記事などをリサーチし、丁寧な修復を経て書籍化することをライフワークとしている。
ゲスト2:樫原 辰郎(かしはら たつろう、1964年生まれ)は、著述家、脚本家、映画監督。
大阪生まれ、大阪芸術大学文芸学科中退。大阪芸大在学中の1984年から1987年頃にかけて、大阪門真市の模型店海洋堂ホビー館のスタッフに加わり、模型の組立や宣伝などに携わる。 1998年に上京して脚本家をはじめ、グルメライター、映画監督、ゲーム、iOSアプリ制作などで幅広く活動。2014年に書き下ろしの単著『海洋堂創世記』を上梓。以降、書籍出版を目的とする著述家活動に軸足を置く。
20代で海洋堂の専属造形師に
「怪獣を語らせたら、自分の右に出る人は居ないでしょう…」そう語るのは、かつておもちゃメーカー「海洋堂」(大阪府)のガレージキッドで怪獣原型師として活躍した原詠人氏(68歳)。8歳の時、祖母から買ってもらったプラモデルのゴジラとの出会いをきっかけに、怪獣の世界にどんどんのめり込んでいったという。
後に独学で技を磨き、20代で海洋堂の専属造形師として約10年間で50種類以上の怪獣模型を担当。その造形力の評価はとても高く、講演会やサイン会に呼ばれるほど注目を集める造形師だった。
この度、『原詠人の世界』を開催するにあたり、原氏に社会現象とまで言われた昭和42年の怪獣ブームを自らの幼少の思い出とともに語ってもらった。

怪獣たちがいっぱい!これらはすべて紙粘土ではなく、古新聞の再利用で出来ている!
昭和42年5月、私の怪獣一日旅行
熱海のホテル後楽園へ向かう。お風呂に入るためです。ホテル内1階に模型各社の展示ケースがずらり。売りはやはり当時大人気の怪獣模型たち!(熱海に到着するや、移動の道なりに大巨獣ガッパののぼり旗が風でなびいている)
私は父にミドリのギララを買ってもらい幸せ気分!ホテルからの帰り道で「今日は車で泊まり、明日は犬山ラインパーク(遊園地)へ行く」と父は言う。
なんと怪獣博へ直行だ!父は私のために大サービス。怪獣好きの私のために旅行を計画してくれたのです!
会場へ着くと12メートルの巨大ゴジラが出迎えてくれました。足元にはアンギラスも横にひれ伏しています。近くにはラドンも。園内の特別催し物会場では東宝、円谷怪獣が上下左右にあばれ動いています。頭のなかは怪獣でいっぱい。シビれちゃって興奮したことを今もはっきりと覚えています。
別冊スクリーン5月号「大あばれ!怪獣映画大特集」との出会い

別冊スクリーン1967年5月号「大あばれ!怪獣映画大特集」
1967年(昭和42年)に発売されたこの本は、子供の私にとって、最強の写真集であり、感動したことを覚えています。
近代映画社と言えば、「スクリーン」「近代映画」の2冊を発売していて、これらの本は、スターを表紙に打ち出し、人気を博していた本です。その会社が“怪獣本”を出すとは驚きました。まさに、怪獣もスターとして仲間入りしたワケです。昭和42年はまさに怪獣人気爆発の年でした。
アイテムとしてはソノシート(レコード)、本、プラモデル、玩具が目白押しの年でした。
この年の怪獣に関する出版物は「スクリーン」以外では、「キネマ旬報」をはじめ、講談社の「少年マガジン」、小学館の「少年サンデー」といった週刊誌、また、大人の雑誌に至るまで、まさに怪獣花ざかりといった社会現象となりました。
近代映画社発行の「大あばれ!怪獣映画大特集」は読み物としても写真集としても最高の読み物でした。とてもなつかしく、素晴らしいものです!
私は怪獣原型師として、サラリーマンを退職後、この特集号に登場した怪獣たちの復活を願って、新聞紙を使用した造形物を制作してきました。
大映のガメラ、ギャオス、バルゴン、大魔神、日活のガッパ、松竹のギララ、東映の怪龍、東宝のゴロザウルス、円谷のレッドキング、ガラモン、ペギラ、ウルトラ怪獣たち!
みなさま、どうぞご覧下さい。

全30作品の他、マニアには堪らないプレミアムなフィギアがお目にかかれる
先人造形師たちへのリスペクトを込めて
「当時、着ぐるみを作っていた造形師が表舞台に出ることはなかったんです。映画のクレジットに名前すら載らない。自分が注目され原型師として活躍できたのは、先人の造形師さん達がいたからなんです」
そんな、先人の造形師達へのリスペクトを込めて作り上げてきた怪獣造形作品が、現在東急プラザ渋谷4階にあるCREAM STUDIOにて展示されている。
原氏が最初に手掛けた約24年前の初期の作品や、制作期間約半年の迫力満点の巨大作品を含む全30作品の他、マニアには堪らないプレミアムなフィギアがお目にかかれるのは、今週末の7月28日(日)まで。27日(土)、28日(日)にはトークショーイベントも開催予定。お見逃しなく。

天地2.5メートル 左右3.5メートルの巨大怪獣は必見!
「原詠人の世界」in東急プラザ渋谷4F CREAM STUDIO
◆会期:2024年7月23日(火)~7月28日(日)
※営業時間 11:00~20:00
◆会場:渋谷東急プラザ4階CREAM STUDIO
東京都渋谷区道玄坂1-2-3 東急プラザ渋谷4F
◆ 協力:㈱クリームエンタテインメント
<お問い合わせ先>
株式会社クリームエンタテインメント

《原 詠人・プロフィール》
昭和31年岐阜県郡上市市生まれ。
怪獣ブームが再来した60年頃、模型メーカーの「海洋堂」で、ゴジラ、ガメラ、ウルトラマン、仮面ライダー等の怪獣フィギュアの原型を約10年間製作。
海洋堂、ボークス、レッズといったメーカーから発売された数々のフィギュアの原型を担当。
1984年公開「ゴジラ」のポスターの影に“原ゴジラ”のフィギュアが使用される。
またCBSソニーの聖飢魔IIのレコードジャケットにデザイン・製作したメガレックスは有名。
現在は新聞紙で1/1の怪獣頭部の製作をしており年に一度岐阜市で展示会を行う。またカルチャー教室では新聞紙を使った造形を教えている。
いくつになっても怪獣に夢中
