ポリス、コップ、警察、刑事ものはアクションからサスペンス、SF、ドラマまでこの世で最も作られているのでは?と思われる人気映画ジャンル。ここではコンビものを除いて、スタンドプレイが得意な名物ポリスや、一匹狼的な刑事などを中心に、いまも人気の高い20世紀の10作をチョイス! 後にシリーズ化されたおなじみキャラや、現在ベテランになった俳優たちの若き日の代表作も。(文・米崎明宏/デジタル編集・スクリーン編集部)
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『ダーティハリー』
イーストウッドの代表作にして映画史に残る刑事アクション
ご存じクリント・イーストウッドが扮する孤高の刑事、ハリー・キャラハンを主人公にしたポリス・アクションの決定版。ハリーは組織に組するような人物と180度異なる性質のため、警官としての規律などもたびたび無視。職務遂行には暴力も時にやむなしという方針で、1作目では変質的な連続殺人犯と渡り合う。大ヒットして、世界的にファンを獲得。シリーズ5作目まで製作された(うち3作目以降はイーストウッド自身が監督)。
『フレンチ・コネクション』
リアリティを重視した演出でアカデミー賞を受賞
『ダーティハリー』と同年に製作されたもうひとつのポリス・アクションの傑作。フランスから密輸された大量の麻薬をめぐる組織とニューヨークの名物刑事“ポパイ”(ジーン・ハックマン)の息詰まる対決。実話を基にしており、それまでの刑事アクションと一線を画すウィリアム・フリードキン監督のリアリズム演出が話題となり、オスカー作品賞などを受賞。ハックマンが続投したパート2ではポパイが仏マルセイユに乗り込んで大暴れ。
『ブリット』
マックィーン扮する刑事がどこまでもクール
サンフランシスコのブリット警部補が、重要裁判の証人保護を上院議員から依頼されるが、その裏にはある計画が隠されていた? 人気絶頂期のスティーヴ・マックィーンが演じるブリットがとにかくクールでかっこいい。さらに急勾配のサンフランシスコの街中でのブリットのマスタングと敵のダッジ・チャージャーによるカー・チェイスもアクション映画史に残る名場面。クライマックスの夜の空港での追跡シーンも見逃せない。
『夜の大捜査線』
白人に媚びない黒人刑事が初めて主人公に
公民権運動が盛んだったころの米国で生まれたヒーロー的黒人刑事ヴァージル・ティッブスの活躍を描く。大都市フィラデルフィアから来た彼は、まだ人種差別が色濃かった南部ミシシッピーで殺人事件に巻き込れる。地元の警察署長らもティブスの有能さに徐々に気づき、態度が変化していく様が当時の風潮とマッチし、アカデミー賞作品賞を受賞。シドニー・ポワチエ演じるティブスは大受けで、彼の単独主演で続編と3作目が製作された。
『ビバリーヒルズ・コップ』
コミカルでシャープなアクセル刑事が人気者に
シリーズ最新作『ビバリーヒルズ・コップ:アクセル・フォーリー』が先日配信開始されたばかりで、またも脚光を浴びる人気コップ・アクション。第1作はデトロイトからLAにやってきた優秀だが独断的な行動もする刑事アクセルが、友人の殺された仇を打つため、画商を隠れ蓑にした麻薬密売人と戦う姿をエディ・マーフィーがコミカルかつ俊敏に演じて大ヒット。当時黒人警官の主人公はまだ少なかったが、これでメインストリームに乗った。
『ダイ・ハード』
ヒーローらしからぬマクレーン刑事が大活躍
妻が勤める会社が所属するLAのビルがテロリスト集団に占拠され、偶然ビル内にいたNY刑事ジョン・マクレーンは、単独で凶悪な一味と戦うことになる。マクレーンは従来のヒーロー的なキャラではなく、自分の不運を呪うようにぶつぶつ文句を言いつつ、ボロボロになりながら機転を利かせ悪人を一掃していく個性的な刑事で、ブルース・ウィリスがまさにはまり役の好演。予想を超える大ヒットを記録し、現在5作目まで製作されている。
『イヤー・オブ・ザ・ドラゴン』
チャイニーズ・マフィアVSはみ出し刑事
NYのチャイナタウンを舞台に、台頭するチャイニーズ・マフィアの新世代ボスとNYPDのはみ出し刑事スタンリー・ホワイトが壮絶な対決を展開する。オリヴァー・ストーンが脚本を書き、マイケル・チミノが監督したバイオレンス・アクションで、ベトナム帰りの主人公ホワイト刑事を当時人気絶頂だったミッキー・ロークが熱演。それまであまり扱われなかったチャイニーズ・マフィアの世界をクローズアップした点も鮮烈な印象を残した。
『ロボコップ』
サイボーグ警官マーフィが悪を撃つ!
サイボーグ警官ロボコップを主人公にしたSFアクション。元は人間の巡査で、犯罪都市と化したデトロイト警察のマーフィが殉職したことから、彼の体を使ってオムニ社の技術により、サイボーグとして蘇った。最初はマーフィの記憶がほぼなかったが次第に自我が戻って来る。ピーター・ウェラーが演じたこのニューヒーローは映画ファンにも愛され、第2弾、第3弾(ここではロバート・ジョン・バーク演)と続き、リメイク版も作られた。
『ブルースチール』
サイコな男と危険な関係に陥る女性警官
後にアカデミー賞を受賞するキャスリン・ビグロー監督と名女優ジェイミー・リー・カーティスが若き日にコンビを組んだサスペンス・アクション。ジェイミーが演じるのは警察学校を卒業しNY市警に配属となったターナー。彼女は初仕事で強盗を射殺するが、その銃を何者かに持ち去られてしまう。銃を持ち去ったサイコな男、ハントはターナーに接近し、交際するようになるが、ターナーはハントが犯人だと知ってしまう…。
『ヒート』
強盗団とLA刑事のプロフェッショナルな戦い
ハリウッドを代表する名優同士、アル・パチーノとロバート・デ・ニーロが本格初共演したマイケル・マン監督のハード・アクションで、現金輸送車強盗団と彼らを追うLA刑事によるプロVSプロの戦いを描く。LA市警のヴィンセントを演じるのはパチーノ。少ない手がかりから主犯格はデ・ニーロ演じるニールと割り出すが…。白昼堂々行われる12分にも及ぶ銃撃戦シーンは映画史に残るほどの完成度。マン監督は続編着手を表明している。