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宇宙船内は逃げることができない恐怖の密室
映画のほぼ全編が宇宙船の中で展開することも多い、SFサスペンス。例えば『エイリアン』もノストロモ号の中で緊迫のシーンが連続し、名作『2001年宇宙の旅』もディスカバリー号内のAIトラブルがメインで描かれていた。宇宙空間を漂うスペースシップの船内は果たして本当に安全なのか? 外に逃げることのできない限定された領域で繰り広げられるサスペンスやスリラーは、独特な恐怖感を引き出し、SF映画でも頻繁に使用されるジャンルに。恐怖の相手はエイリアンや正体不明の怪現象だったり、殺人鬼だったり、人間そのものだったりも?
『イベント・ホライゾン』(97)
7年間消息を絶っていた宇宙船からSOSの発信が送られてきたが…
2040年、海王星付近で消息を絶った巨大な宇宙船「イベント・ホライゾン」が7年後SOSの信号を発信してきた。最後の交信記録には人間のものとは思えない悲鳴と叫び声が残されていたが、救出に向かったルイス&クラーク号のクルーたちは発見したホライゾン号に乗り移る。船内は無人だが、船自体が生きているような感覚で、探索をするうちに隊員らは奇怪な現象に見舞われ、ついには犠牲者も…。ポール・W・S・アンダーソン監督の異色SFホラーで、一見わかりづらい描写も実は奥が深いと、カルト的な人気を持っている。
『ライフ』(17)
火星で採取された未知の生命体が凶暴な正体を見せる
火星で未知の生命体の細胞が採取されたことから6名の宇宙飛行士が国際宇宙ステーションに集合して、極秘調査をすることになった。だがこの生命体はぐんぐん成長をはじめ、凶暴な正体と高い知性を見せ、飛行士たちに容赦なく襲いかかる。そしてこの生命体の目標は地球到達…?『エイリアン』を彷彿させる恐怖シーンが満載のダニエル・エスピノーサ監督作で、ジェイク・ギレンホールやライアン・レイノルズなどキャスト陣も豪華。
『ジェイソンX 13日の金曜日』(02)
連続殺人鬼ジェイソンが宇宙で殺戮を開始する
あの「13日の金曜日」シリーズの殺人鬼、ジェイソンが宇宙に飛び出すシリーズ10作目。不死身のシリアルキラー、ジェイソンが、彼を抹殺する研究を続けていたチームによってついに冷凍保存される。だが400年の時が流れ、有毒物質で汚染され捨てられた地球に、第2の地球からやってきた考古学研究者が降り立ち、凍ったままのジェイソンを発見すると宇宙船に持ち帰り、それを覚醒させてしまったため、再び船内で殺戮の幕が開く。
『パンドラム』(09)
冷凍睡眠から目覚めた宇宙飛行士を待っていた恐怖
人口増大が問題化する22世紀の人類は、地球そっくりの星タニスに移住するため、選ばれた者たちが宇宙船エリジウムに乗り込む。やがて2人の宇宙飛行士が冷凍睡眠から目覚めるが、彼らは記憶障害を起こし、誰も船内におらず、まったく状況把握ができない。船内を探索すると何者かが潜んでいることに気が付く。その正体は? パンドラムとは宇宙船乗員などが不安やストレスなどで発症する精神疾患で、妄想に取りつかれることも。
『ヴォイジャー』(21)
宇宙船内で生涯を終える若者たちの間に起きた反乱
環境汚染で人類滅亡の危機が迫る近未来。移住可能な惑星が発見され、訓練された30人の子どもが探査隊となり、船内で成長して子孫を残し、航行期間86年を経て孫の世代が惑星に到達するという派遣計画が実行される。10年後、本能や感情を抑える薬を飲まされていた一部の若者たちは服用をやめてしまう。そんな中、若者たちをまとめていた世話役のリチャードが不審な死を遂げ、エイリアンが襲ったという説が互いの疑心暗鬼を呼ぶ…。
『スペースノア』(84)
気象衛星乗務員に地上への放射能照射命令が下るが
『インデペンデンス・デイ』のローランド・エメリッヒ監督の西ドイツ時代のデビュー作で、近未来宇宙での恐怖を扱う。ヨーロッパ各国共同で手がけた気象衛星の乗員に、地上への放射能照射の命令が下る。だがこれは気象用技術の軍事転用ではないのかと乗組員の科学者と技術者は疑惑を抱くと、これを機に二人は思わぬ事態に巻き込まれていく…。後に『ディストラクション/地球滅亡』のタイトルでリバイバルされた。