ヴェネチアをはじめ、トロント、ニューヨーク、釜⼭などの名だたる国際映画祭にて上映、さらには第8回平遥国際映画祭ではロベルト・ロッセリーニ審査員賞を受賞した映画『HAPPYEND』が遂に⽇本公開! この公開を祝して10⽉5⽇(⼟)に空⾳央監督とW主演の栗原颯⼈、⽇⾼由起⼑とメインキャストの林裕太、シナ・ペン、ARAZIが登壇し、公開記念舞台挨拶を実施した。
近未来を舞台に現在と地続きのありえるかもしれない未来が描かれ、同時に⾼校⽣たちの話ということもありどこか懐かしさも漂う本作。
制作のきっかけについて聞かれると、空監督は「3.11をきっかけ⾃分の中に政治性が芽⽣え、そこから⽇本の歴史、特に1923年の関東⼤震災時の朝鮮⼈虐殺という歴史を⽬の当たりにしました。構想を練っている時に⽇本でもヘイトスピーチなどが盛んになっていて、近未来でもし地震が起こった際、同じようなことが絶対に起きてほしくないなという危機感を感じながら、その構想の⾻組みに⾃分の学⽣時代に経験したことや感情をふんだんに取り込んで映画にしていきました。」と本作誕⽣のきっかけを明かした。
オーディションで選ばれたメインキャスト5⼈中、4⼈が演技未経験。選んだ理由については空監督が「ほとんど⼀⽬惚れです。」と明かすとキャスト⼀同得意げな表情を浮かべ、会場からは笑い声が。「⼀応演技もチェックしましたが、本当にみんな上⼿かった。何より奇跡的だったのが、5⼈が揃った時に本当に仲良くなりはじめて。⻑年の付き合いかのようになっていたので、微笑ましかったです。」と語り劇中同様に友情を深めたキャストたちを嬉しそうに⾒つめた。
今回が初演技にして主演に⼤抜擢された栗原と⽇⾼。初めてづくしとなった撮影現場の印象について、ユウタ役の栗原は「新鮮な気持ちで臨むことができました。空監督が先程⾔ったように5 ⼈がすごく仲の良い状態で撮影に臨めたので緊張もほぐれて伸び伸び演技ができたと思います」とストレスもなく、良い状態で芝居に臨めたとのこと。コウ役の⽇⾼も「ワークショップの場を設けてもらったり、キャストのみんなと触れ合う機会が多かったのですごく役に⼊りやすかったです。『カメラでかい!』『マイク近い!』みたいなことも含めて、刺激的でした。」と語り、まるで学校に登校するような気持ちで撮影に臨んでいたと明かした。
撮影は夏の神⼾で実施され、舞台となった⾼校では冷房が修理中で使⽤できなかったとのこと。撮影中の印象的なエピソードを聞かれるとアタちゃん役の林は⾳楽研究室の部室で5⼈でDJをしているシーンを挙げ、「夏の室内でめちゃくちゃ暑かったんです。僕すごく汗っかきなので⾐装がビチョビチョになってしまって、カットがかかるたびにドライヤーで乾かしてもらうんですけど僕の“汗(が乾く)待ち”が発⽣してしまって…でも暴れる役柄だったので、⼤変でした。」と撮影中の思わぬハプニングを明かした。
舞台挨拶の最後にはキャストから監督へ⼿紙のサプライズが。栗原が代表して⼿紙を読み上げ「間違いなく素晴らしい俳優⼈⽣をスタートできた」と作品を通してかけがえのない経験をさせてくれた監督への感謝を涙声で伝え、⽇⾼から花束を渡すとキャスト・監督全員で駆け寄り熱く抱擁。空監督は「⾔葉にならない」と涙を堪えながら感謝を述べた。劇中のワンシーンを彷彿とさせる⼀幕に客席からは拍⼿が送られ、温かな空気に包まれたまま舞台挨拶が終了した。
HAPPYEND
10⽉4⽇(⾦)新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ渋⾕ほか全国公開
<STORY>
ユウタとコウは幼馴染で⼤親友。いつもの仲間たちと⾳楽や悪ふざけに興じる⽇々を過ごしている。⾼校卒業間近のある晩、こっそり忍び込んだ学校で2⼈はとんでもないいたずらを仕掛ける。翌⽇いたずらを発⾒した校⻑は激昂し、学校に四六時中⽣徒を監視するAI システムを導⼊する騒ぎにまで発展。この出来事をきっかけに、コウは、それまで蓄積していた、⾃⾝のアイデンティティと社会に対する違和感について深く考えるようになる。その⼀⽅で、今までと変わらず仲間と楽しいことだけをしていたいユウタ。2⼈の関係は次第にぎくしゃくしはじめ...。
出演:栗原颯⼈ ⽇⾼由起⼑ 林裕太 シナ・ペン ARAZI 祷キララ
中島歩 ⽮作マサル PUSHIM 渡辺真起/佐野史郎
監督・脚本:空 ⾳央
配給:ビターズ・エンド