レジェンドの共演を形にし、香港映画の未来も見据える監督が語る！
フェリックス・チョン監督
『ゴールドフィンガー 巨大金融詐欺事件』で監督・脚本を務めるフェリックス・チョン。『インファナル・アフェア』シリーズでは脚本を務めたフェリックス・チョン監督が、20年ぶりにトニー・レオンとアンディ・ラウに共演してもらうという自身のアイディアを形にした。チョン監督にいきさつを聞くと、「トニー・レオンとアンディ・ラウは、相性が抜群にいいんです。二人が共演する時は、ただ互いに見つめ合うだけで緊張感が走ります。二人に脚本を送った時、彼らから来た最初の質問は、互いが共演者なのではないか？ということでした」と、それぞれに共演することを伝えずに脚本を送るという策士ぶりを見せていたようだ。
凄腕詐欺師vs執念の捜査官の、15年にも及ぶ長い戦いを描いた本作の着想のきっかけについて「子供時代の思い出が発端になりました。幼い頃、周りの大人たちが突然塞ぎ込み、悲惨な状態になっていったことが何度かありました。いつの間にか友人や遊び仲間たちの家族も不運に見舞われていました。成長した時に、それは長年にわたり異なる金融危機が起こっていたからだということを学びました。好奇心から、その世界についての情報をたくさん読んで研究しました。そして脚本家になった時、そうして得た情報を物語にしたいと思ったのです」と語る。自身の幼き頃の思い出も想起しつつ、長年形にしたいと監督も戦ってきた渾身の一作でもあるのだ。また「企業犯罪というコンセプトは至ってシンプルですが、そのプロセスはとても複雑です。多くの関係者が登場し、とても複雑に絡み合っています。こういった内容をドラマ映画の形態で表現できるまで単純化することが最大の課題でした。これらのアイデアを言語化および可視化する過程では、取捨選択を行い、登場人物たちの関係性を分かりやすくして表現しなければなりませんでした」とも話し、制作過程で感じた難しさも吐露している。また、インタビューの中でチョン監督は、インスピレーションを響を受けた作品にオーソン・ウェルズの『市民ケーン』を挙げている。
本作には次代の香港映画界を担う多くの若手俳優を起用した。「若手俳優たちの世代が好きなんです。彼らの中には傑出した俳優がたくさんいるので、一緒に仕事をする機会を探っていました。この映画では4人の受賞歴を持つ若手俳優たちが共演しています。それぞれの演技スタイルが異なる彼らは、撮影中全く怖気づくことなく切磋琢磨し合っていました。それぞれが尻込みをすることなく、お互い勇気を持ってぶつかり合い、新しいことを試して意見交換をしていました。このことだけでも、観客のみなさんに彼らの演技を楽しみにしていただく価値は十分にあります。新人俳優たちは、大作に出演するチャンスがないのが普通ですが、本作はまさしく大作であり、俳優たちを鼓舞し、向上させることができる作品です。より多くの観客がこの作品で彼らの才能を評価し、認めてくれることを願っています」と若手へのエールを送り、レジェンド二人の周囲には新星たちを配置する盤石の布陣を敷いたことを明かした。
香港映画のこれまでと未来をも体感できる一本にもなっている『ゴールドフィンガー巨大金融詐欺事件』はいよいよ本日より公開となる。トニーとアンディのゴールデンコンビ、そして二人をよく知るフェリックス・チョン監督が送る20年ぶりの三位一体コンビネーションをぜひ劇場で！
『ゴールドフィンガー 巨大金融詐欺事件』
1月24日（金）TOHOシネマズ日比谷ほか全国公開
©2023 Emperor Film Production Company Limited All Rights Reserve
＜STORY＞
イギリスによる植民地支配の終焉が近づく香港。身ひとつで入国した野心家の男、チン・ヤッイン（トニー・レオン）は、悪質な違法取引を通じて徐々に香港に足場を築いていく。そして80年代株式市場ブームの波に乗ると、資産100億ドルの嘉文世紀グループ立ち上げに成功、時代のレジェンドとなる。一方、汚職対策独立委員会（ICAC）のエリート捜査官ラウ・カイユン（アンディ・ラウ）は、チンの陰謀に目を付け、その後15 年間にも及ぶ粘り強い捜査への道のりを歩み始めていた。人命も価値を失うほどの大金が動く、マネーゲームの代償を負うのは果たして誰なのか。そしてチンとラウの駆け引きの行方はいかに—。
監督・脚本：フェリックス・チョン
出演：トニー・レオン、アンディ・ラウ、シャーリーン・チョイ／サイモン・ヤム、カルロス・チェン、マイケル・ニン、フィリップ・キョン、アレックス・フォン、タイ・ボー、チン・ガーロウ
配給：カルチュア・パブリッシャーズ
