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youtu.be“上級国民”の戯れに裁きの鉄槌は降るのかーー
本作は、2024年サンダンス映画祭、ミュンヘン映画祭に出品され話題となった。「ユーモアは危険な時にこそ最高に力を発揮する」という信念を持ち、観る者に笑いと怒りを同時に起こさせる『Davos』(未)の監督デュオダニエル・ヘールス、ユリア・ニーマンの日本初公開作品だ。製作は、カンヌ、ベネチア、ベルリンの世界三大映画祭を賑わせた『パラダイス三部作』『サファリ』のウルリヒ・ザイドル。金持ちのアンタッチャブルさを極限まで誇張し、歯止めがないシステムの結末と、人々が自分の行動に責任を持たない世界の危険性を明らかにする。
主人公はエレガントな億万長者であり、愛情深いファミリーマンで、趣味の狩に情熱を注いでいる。しかし、アマンが狩るのは動物ではない。莫大な富を抱えた一家は“何”だって狩ることが許されるのだ。アマンは狩りと称し、無差別に“人間”を狩り続けている。一方娘のポーラはそんな父の傍若無人な姿を目の当たりにしながら“上級国民”としてのふるまいを着実に身につけていく。ある日、ポーラは父に“狩り”に行きたいと言い出す。しかし、“上級国民”である彼を止められるものは何もない。何者も彼らを止めることはできない。他人の言葉でも、ジャーナリズムの証拠でも、民主主義の法律でも。今あるのは自由だけだ。限界も不可能もなく、暴力もない。富を持つ者は自由に好きなように行動し、誰にもどうすることもできない。マキャベリストの家族研究では、金持ちが親切で与えるふりをするのと同じくらい、恐ろしく暴力的になりうるという。恐ろしいほど不快なこの物語は私たちのすぐ隣にある物語なのだ。

この度解禁されたポスターでは、大富豪の父と娘が何かに向け銃を構えているシーンが収められている。その銃口の先にいるのは、獣なのか?はたまた人なのか?「連続狙撃事件の容疑者は大富豪“上級国民”は裁かれるのかー」と衝撃的なコピーが載せられている。予告編では、娘のナレーションで始まり、厳しい決断を迫られる父は自然が好きで、気分展開にしばしば郊外へ出向き、“狩り”を行っている。上機嫌で山道をサイクリングしながら雄叫びを上げるアマン。そして山中に轟く銃声と人の叫び声。個人所有のヘリで移動し、お金の達人と呼ばれる大富豪。彼が行う“狩り”は時に目撃者もいるのだが、巨万の富を手にしたアマンを咎めるものは誰もいない。どんなに一般市民が吠えても、記者が迫っても、彼は意に介さない。記者に「僕はなんでもできる」と言い放つ。上級国民である彼に裁きの鉄槌は下るのか。最後に「やっちゃった」と娘が言い放って終わる。彼女は何をやってしまったのか。本編が気になる映像となっている。
『我来たり、我見たり、我勝利せり』
6月6日(金)ヒューマントラストシネマ有楽町、ヒューマントラストシネマ渋谷、新宿武蔵野館他全国順次公開
©2024 Ulrich Seidl Filmproduktion GmbH
監督:ダニエル・ヘースル、ユリア・ニーマン
出演:オリヴィア・ゴシュラー、ウルシーナ・ラルデ、ローレンス・ルップ、マルクス・シュラインツァー、ゾーイ・シュトラウプ
配給:ハーク