<新潟国際アニメーション映画祭について>
多彩な作品、そして仲間との出会いが魅力
ーー新潟国際アニメーション映画祭ならでは、の魅力はどんなところだと思われますか?
「アニメーション」と言ってもジャンルは様々。映画祭ごとに、上映作品はいろいろな傾向があるものですが、新潟はプログラムが多彩で、コンペ作品もエンターテインメントとアートがどちらにも偏らずに選ばれているのが魅力的です。どんなアニメーションが好きな方もきっと好きなプログラムがあるはず。そして、そこから新しい作品にも出会うきっかけになるはず、というところです。それはゲストも同じで実にいろいろな国から色々なゲストが訪れていて、いろいろな仲間との出会いがあるのも魅力です。

松本紀子氏
ーー国際的な映画祭として必要不可欠なものは何だと思われますか?
いろいろな国からの作品や人を招くことはもちろんですが選ぶうえでの視点が多角的であることかな、と思います。
ーー映画祭には多くの若者も関わってくださっています。アニメーションの仕事を目指す若者たちにメッセージをお願いいたします。
アニメーションは、おそらく国境をまたぐのに一番有利な映像ツールです。それを生業にする面白さを「直接」誰かの話を聞いたり会話したりして感じられるのが映画祭。是非そのチャンスを生かして、いろいろなヒントをゲットしてください!
<コンペ審査員として>
多岐にわたる作品の審査は楽しみでもあり、難しさも感じる
ーーどういった点を重点的に審査したいと思もわれていますか?
この映画祭の良さである「多岐にわたった作品」群を審査するのが楽しみですが、難しいっ!とも思っています。ただ、審査員の中で私だけがプロデューサーですので、その目線での意見、オーディエンスに何を伝える作品であるかということをしっかり考えて話をしたいな、と思います。視点の違う審査員同士でしっかり話をできそうなこともめちゃくちゃ楽しみです。
ーー世界のアニメーションの現在地(今までとこれから)をどのように捉えていますか?
時代の変化の速度はますます速まっているので、「現在地」をあまり意識しないように気をつけています。時流は読みつつも、あまりそこに流されないことが大事かな、と。アニメーションは作るのに時間がかかるので、いま読んだ「いま」が完成するころには「過去」になるのは間違いないので。
ーー日本のアニメーション業界をどのように見ていますか?
日本のアニメーション業界は「アニメ業界」として非常に成熟し、成長し続けていますし、それが世界で認められるものになっていると思います。いま、世界中に「アニメファン」がいる現実は本当に素晴らしいと思います。そこから、労働環境も含めてどのように世界のスタンダードに近づけていくのか。その独自性と魅力を守れるのか、がここからの勝負ドコロだと思います。私もそこで面白く挑戦しながら仕事をしていきたいなと思っています。
<ドワーフについて>
“らしさ”に囚われず、常に新しい挑戦を
ーードワーフが目指すアニメーションとは?こだわりを教えてください。
きちんと面白い作品を作ることにこだわっているつもり!です。(笑)Stop-motionの作品はとかく手法にフォーカスされてしまいがちですが、きちんと面白い物語を魅力的なキャラクターで紡ぐことを大事にしています。ただ「これがドワーフらしい」みたいなことに囚われないように、常に新しいチャレンジをしていきたいとも思っています。そこもこだわっているポイントかもしれません。
ーー今年映画祭では『ドワーフ特集』も行われますね。トークゲストに、共に作品を作られている⻄野亮廣さんを迎えるとのことですが、どんなお話になりそうでしょうか?
西野さんも、いろいろなことをアップデートしている人なので、まさに、いま何を話すべきか相談中です。いままで、いろいろな裏話をしてきましたが、もう少し未来に向けた広い話ができるといいな、と思っています。
ーー昨年夏に行われた「ひろしまアニメーションシーズン」でもドワーフが取り上げられていましたし、今大変に注目を集めていることについてどう思われていらっしゃいますか?
ちょうど20周年の節目、そしていろいろな作品のリリースのタイミングでもあったので注目していただけたのだと思いますが、これからも作品から注目していただけるように頑張っていきたいと思っています。アニメーション、特にコマ撮りは作ることに時間がかかり、たくさん作ることが難しいように思われがちなので、そこを打ち破る努力もせねば、そして、たくさんのものをきちんとリリースして行かねば、ですね。
PROFILE
松本紀子(ドワーフ プロデューサー)
広告映像業界からキャリアをスタート。1998年の「どーもくん」2003 年「こまねこ」が転機となり、ドワーフの立ち上げに参加。タイムレスに楽しめる高品質なコマ撮りのコンテンツの制作で、日本のスタジオとしては、いちはやく配信のグローバル・プラットフォームとの仕事を始めた。Netflix シリーズ「リラックマとカオルさん(2019)」「リラックマと遊園地(2022)」が話題に。 現在はコマ撮りやキャラクターを強みとしながら、その常識を超え、手法や会社の枠にとらわれない新しい才能や技術を使った作品を企画し、更には日本の枠を飛び越えて制作することを目指している。最新作は2025年度米アカデミー賞のショートリストになった堤大介監督(元ピクサー)の短編映画「ボトルジョージ」と、パイロット版で業界の度肝を抜いた「HIDARI」(長編企画進行中)。
<第3回新潟国際アニメー ション映画祭 開催概要>
2025 年3月15日(土)~20日(祝・木)開催
場所︓新潟市⺠プラザほか
公式サイト: https://niigata-iaff.net/
<イベント上映>
《ドワーフ特集》 3 ⽉ 18 ⽇(⽕)18:00 より ⽇報ホールにて開催
上映作品:『ボトルジョージ』、『こまねこのかいがいりょこう』
トークゲスト:⻄野亮廣(『ボトルジョージ』原案・脚本・製作総指揮/CHIMNEY TOWN)、松本紀⼦(ドワーフ プロデューサー)

『ボトルジョージ』
監督:堤 ⼤介(Bottle George/2024年/13分)
©CHIMNEY TOWN
『こまねこのかいがいりょこう』
監督︓合⽥経郎(Komaneko -A New Journey-/2024年/50分)
©dwarf・こまねこフィルムパートナーズ ©dwarf