東京都現代美術館で開催中の⼤規模展覧会「坂本⿓⼀|⾳を視る 時を聴く」は、平⽇でも⻑蛇の列ができるほどの⼈気を集めている。そんな中、1984年にフランス国⽴視聴覚研究所(INA)が制作したドキュメンタリー 『Tokyo Melody Ryuichi Sakamoto』の4Kレストア版が、2026年に劇場公開される。
この作品は、坂本⿓⼀が4枚⽬のソロアルバム『⾳楽図鑑』を制作し始めた時期に、東京でわずか1週間という短期間で撮影された。スタジオでのレコーディング⾵景やインタビューを通して、30代だった坂本が⾃⾝の⽣い⽴ち、価値観、⾳楽哲学、⽂化について語る姿が収められている。また、『ラストエンペラー』(1988)の劇伴制作の様⼦や、坂本が⾳楽を担当・主演した⼤島渚監督作『戦場のメリークリスマス』(1983)の映像、YMOの散開コンサートやプロモーションビデオの映像も含まれる。さらに、かつて新宿にあったアルタや渋⾕のスクランブル交差点など、1980年代の東京の⾵景が⽣き⽣きと映し出され、「坂本の⽬と、彼のポートレートを通して⾒た東京の⾳」(レナード監督)を体感することができる貴重な作品となっている。
本作を監督したのは、ニューヨーク⽣まれのマルチメディア・アーティスト、エリザベス・レナード。彼⼥はジェリー・ルイスやシャンタル・アケルマンのポートレート撮影を⼿がけ、アンディ・ウォーホルやポール・シュレイダー監督作『三島由紀夫の四季』(1985)の撮影現場にも関わった。1983年、カンヌ国際映画祭で『戦場のメリークリスマス』のプレミア上映を観たことが、このドキュメンタリー制作のきっかけとなった。
完成後、本作は1985年のロッテルダム映画祭、ロカルノ映画祭、サンパウロ国際映画祭で上映され、⽇本では同年6⽉9⽇に第1回東京国際映画祭でのみ公開された。その後、VHSとDVDが発売されたが⼊⼿困難な状況が続いていた。しかし、最近になって倉庫に眠っていた16mmフィルムが発⾒され、修復を経てデジタル化が実現。
今年1⽉17⽇、坂本の誕⽣⽇に開催された「坂本⿓⼀|Birthday Premium Night 2025」で特別上映が⾏われた際には、チケットがわずか2時間で完売。多くのファンの熱い要望に応え、ついに2026年、劇場での⼀般公開が決定した。
この公開決定に合わせ、展覧会「坂本⿓⼀|⾳を視る 時を聴く」では、本作の場⾯写真を使⽤した特報版フライヤーを限定配布中。
坂本⿓⼀ | ⾳を視る 時を聴く
会期:2024年12⽉21⽇〜2025年3⽉30⽇
会場:東京都現代美術館
(東京都江東区三好4-1-1)
開館時間:10:00〜18:00
※⼊場は閉館の30分前まで
休館⽇:⽉曜⽇
『Tokyo Melody Ryuichi Sakamoto』4Kレストア版
2026年全国公開
出演:坂本⿓⼀、⽮野顕⼦、細野晴⾂、⾼橋幸宏
監督:エリザベス・レナード
配給:エイベックス・フィルムレーベルズ
©Elizabeth Lennard