鬼才デヴィッド・リンチが遺したカルト作がファン待望の4K版でリリース! その魅力とは?(文・平沢薫/デジタル編集・スクリーン編集部)
カバー画像:『デューン/砂の惑星』より ©1984 DINO DE LAURENTIIS CORPORATION. ALL RIGHTS RESERVED.

砂の惑星デューンを統治することになったアトレイデス公爵の息子ポールは、宿敵ハルコネン男爵に父を殺され、惑星を支配される。砂漠に逃れたポールは、先住民族フレメンと協力して、惑星を取り戻そうとする──。

フランク・ハーバートの名作SF小説「デューン」シリーズは、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督による映画三部作も現在進行中だが、すでに本年1月16日に死去したデヴィッド・リンチ監督・脚本により、1984年に映画化されている。当時のリンチは『イレイザーヘッド』(76)、『エレファントマン』(80)を撮ったばかりの新人監督だったが、映画にはデヴィット・リンチの美学が溢れている。

まず、何よりもビジュアルがリンチ流。すべてのアイテムが、リアリズムではなく、リンチの美学を実現するデザインになっている。先住民フレメンが砂漠で着用するスティルスーツは黒く、表面の凹凸は昆虫を思わせる。女性集団ベネ・ゲセリットは、前頭部の髪を剃りベールを被る。宿敵ハルコネン男爵が爛れた皮膚を治療する部屋は鮮やかなライトグリーンで、飛行装置を付けた男爵が、その中を気球のように飛び回る。本作の鮮やかな色彩は、リンチが次に撮る『ブルーベルベット』(86)へと繋がっていくとも言えそうだ。そんなリンチの映像美学を、4K版でじっくり堪能したくなる。

画像1: 日本公開40周年!デヴィッド・リンチ版『デューン』が高精細な4K UHDで登場!

また、ストーリーは、ストレートで分かりやすい。ヴィルヌーヴ監督版の第1作と第2作にあたる物語が1本で描かれ、主人公が父の復讐を果たす痛快アクションとして映画化。主人公ポールは、後にリンチ監督の『ブルーベルベット』やドラマ「ツイン・ピークス」(1989〜91)の主人公を演じ、リンチの分身と言われるカイル・マクラクラン。共演にはヨーロッパ出身の名優たちが集合、『U・ボート』(81)のユルゲン・プロホノフ、『エクソシスト』(73)のマックス・フォン・シドー、『家族の肖像』(74)のシルヴァーナ・マンガーノらが印象的な人物を演じている。それぞれの配役をヴィルヌーヴ版と比較して雰囲気の違いを見るのも興味深い。

撮影は、リンチと『エレファントマン』で組み、後に『ストレイト・ストーリー』(99)でも組む、故フレディ・フランシス。リンチ自身がカメオ出演し、最初にサンドワームが出現する場面で、公爵と無線で話す香料採掘所の従業員として、まだ若々しい顔を見せているのも見逃せない。

4Kで更なる衝撃!唯一無二のビジュアル

リンチワールド炸裂!奇怪なキャラクターたち

画像: リンチワールド炸裂!奇怪なキャラクターたち

原作小説では「著しく変異していて、もう人間のようには見えない」との噂しか描写されない航海士の異形の姿や、ハルコネン男爵の爛れた皮膚や飛行する姿に、リンチらしさが炸裂。航海士やサンドワームのデザインは『エイリアン』『E.T.』でオスカー視覚効果賞受賞の名手カルロ・ランバルディが担当。

リンチ版の世界観を支える美術&衣装

画像: リンチ版の世界観を支える美術&衣装

円筒形の宇宙船、皇帝の謁見室の壁面の奇妙な紋様など、リンチの美学が冴え渡る美術は『2001年宇宙の旅』でオスカー美術賞ノミネートのアンソニー・マスターズ。ティム・バートン版『バットマン』のボブ・リングウッドによる衣装もユニークかつ華麗。

カイル・マクラクランやスティングほか豪華出演陣

画像: カイル・マクラクランやスティングほか豪華出演陣

リンチ監督作の常連になるカイル・マクラクランやエヴェレット・マッギル、人気ミュージシャンのスティング、『ブレードランナー』直後のショーン・ヤングが初々しい。「チャイルド・プレイ」シリーズのチャッキーの声を務めるブラッド・ドゥーリフも。

リンチ版『デューン』に浸る! 4Kの本編&4時間超の日本初出し映像収録

4/25(金)発売
デューン/砂の惑星 日本公開40周年記念 4K UHD 特別版

〇映像特典
≪Disc1(4K UHD)≫・オリジナル劇場予告編集 ・TVスポット集
≪Disc2(Blu-ray)/約264分≫

(★印:海外版UHD初出 ☆印:海外版DVD初出)

★「The Sleeper Must Awaken」(眠れる者は目覚めよ──メイキング・ドキュメンタリー)
★「Beyond Imagination」(想像を超えて──マーチャンダイジングについて)
★「Prophecy Fulfilled」(実現した預言──TOTO&映画音楽批評家ティム・グレイヴィングのインタビュー)
★ジャンネット・デ・ロッシ(特殊メイク・アーティスト)のインタビュー
★ゴルダ・オッフェンハイム(美術コーディネーター)のインタビュー
★ポール・スミス(俳優)のインタビュー
★クリストファー・タッカー(特殊メイク・アーティスト)のインタビュー

☆「Impressions of Dune」(『デューン』から受けるもの─メイキング・ドキュメンタリー)
☆「Designing Dune」(『デューン』のデザイン──美術監督アンソニー・マスターズの仕事)
☆「Dune FX」(『デューン』の特殊効果について)
☆「Dune Models & Miniatures」(『デューン』のミニチュアモデルについて)
☆「Dune Costumes」(『デューン』の衣装デザインについて)
☆「11 deleted scenes」(削除された11のシーン──ラファエラ・デ・ラウレンティスによる解説)
☆「Destination Dune」(『デューン』の行く先──1983年の特集)

●収録音声:英語/日本語(「金曜ロードショー」版/「日曜洋画劇場」版)
●価格:14,080円(税込)
●発売元:フィールドワークス、是空/販売元:ハピネット・メディアマーケティング

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