イタリア映画界を賑わせる注目の映画人が来日
国際映画祭をにぎわした名監督の最新作や、イタリア国内で大ヒットを果たした話題作までフレッシュでバラエティーに富んだ貴重な作品が並ぶイタリア映画祭。5月1日、初日を迎えた東京会場では10 名の来日ゲストが登壇する開会式が行われ、会場を盛り上げた。

今年の来日ゲストは、長編2 作目となる『ファミリア』で、主演俳優をヴェネチア国際映画祭オリゾンティ部門最優秀男優賞に導いたイタリア映画の新世代監督の一人フランチェスコ・コスタービレ。トニ・セルヴィッロとエリオ・ジェルマーノのスター俳優が初共演の犯罪ドラマ『シシリアン・レターズ』からはシチリア出身の監督コンビファビオ・グラッサドニアとアントニオ・ピアッツァ。2024 年のイタリア映画を象徴する作品の1つとなった『ピンクのパンツを履いた少年』の監督マルゲリータ・フェッリとその脚本とプロデューサーを務めたロベルト・プロイア。イタリア映画界を代表する名優の一人であり、自身の監督第2 作となる『にもかかわらず』からヴァレリオ・マスタンドレア。さらに『ディーヴァ・フトゥーラ』から、女優・脚本家・監督と多岐にわたる活躍を見せるジュリア・ルイーズ・スタイガーウォルトとプロデューサーを務めたマッテオ・ロヴェレ。昨年のイタリア映画祭に続き2 年連続登壇の最新作『狂おしいマインド』の監督を務めた名匠パオロ・ジェノヴェーゼ。さらにイタリアの配給会社ライ・チネマのCEO パオロ・デル・ブロッコの総勢10 名の豪華な登壇となった。

初めに、イタリア文化会館館長シルヴァーナ・デマイオは「四半世紀という節目を迎えこれまでの歩みを振り返るいい機会となります。これまで実に300 本を超える新作を日本で紹介してきました。これらは新たな発見ができる貴重な機会となっていることと思います。ぜひ今年もお楽しみください」と25 周年を迎えた喜びをイタリア語と日本語の両方で語った。

その後温かな拍手に迎えられ、登壇した監督たちは皆自身の作品の見どころを紹介した。フランチェスコ・コスタービレ監督は「『ファミリア』で描かれる家庭内暴力はイタリアだけのテーマではなく、いろんな国に共通すると思います」と本作に込めた思いを話す。開会式後に監督作『シシリアン・レターズ』の上映を控えたファビオ・グラッサドニア監督&アントニア・ピアッツァ監督は「この映画はマフィアについてのお話です。ただ、血は流れないし、刺激すぎるわけでもない。2 人の男が手紙を通じて連絡を取りながら逃亡するこのお話をどう見てもらえるのかが楽しみです」と笑顔を見せた。パオロ・ジェノヴェーゼ監督は「私の作品は明後日の土曜日に上映されるので、偶然この辺
りに居たら見に来てほしいです」と簡潔に締め、会場を沸かせた。続くヴァレリオ・マスタンドレア監督は「ジェノベーゼの次に話すのはとても緊張する」と冗談めかして前置きしつつ「今日ここにいるのは実に17 年ぶりです!またこの舞台に立てて嬉しい」とイタリア映画祭2008 年の上映作『考えてもムダさ』以来2 度目の参加に喜びの様子を見せた。

開会式前に上映されていた『ピンクのパンツを履いた少年』のマルゲリータ・フェッリ監督と脚本とプロデューサーを務めたロベルト・プロイアは「上映後のQ&A では愛に満ちた質問をたくさんもらえてうれしいです。ぜひご友人に共有してください」と楽しいひと時を振り返る。ジュリア・ルイーズ・スタイガーウォルト監督とプロデューサーを務めたマッテオ・ロヴェレは「『ディーヴァ・フトゥーラ』は1980 年代、イタリアにはじめて誕生したポルノ界をテーマにしました。ポルノの隆盛と衰退が描かれています。この作品のテーマは魅力に満ちていますが、世に出すには大きな挑戦となりました。明日のQ&A がとてもたのしみ」と翌日行われるトークイベントに期待している様子。最後に、「ライ・チネマ」CEO のパオロ・デル・ブロッコは日本語で「わたしはパオロ・デル・ブロッコです!」と挨拶し盛り上げ、「いままでライ・マチネでたくさん制作してきた作品を日本でも多くの観客にみていただけることが本当にうれしい」と喜びを表した。
巨匠から若手まで、多種多様な12 作品(新作11 本&旧作1 本)が6 日間にわたり、作り手たちの思いを感じながら、最新のイタリア映画の今を垣間見ることのできるイタリア映画祭。来日ゲストと触れ合いながらユーモア溢れる日々になりそうだ。