細野晴臣からのコメントも到着
この度解禁されたメインビジュアルは、今もなお色褪せず、新鮮な驚きと発見を私たちにもたらすサタジット・レイ作品の特徴を端的に表している「古典はいつも新しい」というキャッチコピーとともに、各作品の魅力的な場面写と監督の名前が、印象的に配置されている。 また全体を彩る親しみやすい淡い色調は、サタジット・レイ作品の格調の高さとともにカジュアルさも感じさせるデザインとなっている。
メインビジュアルとともに解禁された予告編では、『音楽サロン』の一際印象深い音楽が鳴り響くと、デジタルリマスターによって美しく蘇った上映作品の映像がテンポよく次々に映し出される。レイの音楽に注ぐ情熱と好奇心を感じさせる『音楽サロン』をはじめ、女性の社会進出における問題や宗教的偽善や盲目的な信仰を風刺する、インド社会に対するレイ監督の鋭い批評的な視線も感じさせる構成になっている。
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youtu.be再度、『音楽サロン』のサウンドトラックが流れるなか、音楽家の細野晴臣による「数年前、銀座エルメスで上映された『音楽サロン』を見て以来頭から離れない。没落貴族が開催する音楽サロン。その中で自由自在に歌う歌手は魔法使いなのか、喜びの波が溢れ出た。」というコメントも映し出される。
<上映作品>

COPYRIGHT 1956/ALL RIGHT RESERVED ANJAN BOSE
『音楽サロン』
(1958年/原題:Jalsaghar/英語題:The Music Room/100分) 日本劇場初公開 製作・監督・脚本:サタジット・レイ/原作:タラションコル・ボンドバッダエ/撮影:シュブロト・ミットロ
出演:チョビ・ビッシャシュ、ゴンガポド・ボシュ、カリ・ショルカル
世界中の映画製作者に影響を与えた、レイ監督の芸術性と映像美が際立つ傑作。音楽監督はシタール奏者の巨匠ヴィラーヤト・カーンが務め、演奏会以外の場面でも有名演奏家が多数出演している。

COPYRIGHT 1963/ ALL RIGHTS RESERVED RDB ENTERTAINMENTS
『ビッグ・シティ』
(1963年/原題:Mahanagar/英語題:The Big City/136分)
ベルリン国際映画祭 銀熊賞(監督賞)受賞 監督・脚本・音楽:サタジット・レイ/原作:ノレンドロナト・ミットロ/撮影:シュブロト・ミットロ
出演:ママドビ・ムカルジ、オニル・チャタルジ、ヘレン・チャタルジ
レイ監督が初めてネオリアリズムへの挑戦を試みた作品であり、物語は1955年当時のコルカタの日常を描く。貧しい下層・中流階級を襲う社会経済的な苦悩に焦点を当て、それを主人公女性の自立を通じて表現している。

COPYRIGHT 1964/ ALL RIGHTS RESERVED RDB ENTERTAINMENTS
『チャルラータ』
(1964年/原題:Charulata/英語題:Charulata/119分)
ベルリン国際映画祭 銀熊賞(監督賞)受賞 監督・脚本・音楽:サタジット・レイ/原作:ラビンドラナート・タゴール/撮影:シュブロト・ミットロ
出演:マドビ・ムカルジ、ショウミットロ・チャタルジ、ショイレン・ムカルジ
愛、理想主義、失望、そして悲哀への賛歌である本作。レイ監督が手掛けた中で最も優美な作品であり、監督の創造期と言われる1960年代に撮られた最高傑作のひとつ。

COPYRIGHT 1965/ ALL RIGHTS RESERVED RDB ENTERTAINMENTS
『臆病者』
(1965年/原題:Kapurush/英語題:The Coward/70分)
日本劇場初公開 監督・脚本・音楽:サタジット・レイ/原作:プレメンドロ・ミットロ/撮影:ショウメンドゥ・ラエ
出演:ショウミットロ・チャタルジ、マドビ・ムカルジ、ハラドン・バナルジ
家族、結婚、男尊女卑、階層といった旧来の価値観と、個人の自由や愛、自己決定といった新しい価値観がぶつかり合う。伝統と近代化の岐路に立つインド社会に対するレイ監督の鋭い観察が投影された作品。

COPYRIGHT 1965/ ALL RIGHTS RESERVED RDB ENTERTAINMENTS
『聖者』
(1965年/原題:Mahapurush/英語題:The Holy Man/67分)
日本劇場初公開 監督・脚本・音楽:サタジット・レイ/原作:ラジシェコル・ボシュ (ポロシュラム)/撮影:ショウメンドゥ・ラエ
サタジット・レイ レトロスペクティブ2025
7月 25日(金)Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下にて開催
出演:チャルプロカシュ・ゴーシュ、ロビ・ゴーシュ
コメディ映画の体裁を取りつつ、宗教的偽善や盲目的な信仰を鋭く風刺し、狂信的信仰を戒めている。『臆病者』と同じく、本作でも伝統と近代化に対するレイ監督の鋭い考察が光る。

COPYRIGHT 1966/ ALL RIGHTS RESERVED RDB ENTERTAINMENTS
『主人公』
(1966年/原題:Nayak/英語題:The Hero/117分) ベルリン国際映画祭 審査員特別表彰 日本劇場初公開 監督・脚本・音楽:サタジット・レイ/撮影:シュブロト・ミットロ/編集:ドゥラル・ドット
出演:ウットム・クマル、ショルミラ・タクル(ヒンディー語読み:シャルミラー・タゴール)、ニルモル・ゴーシュ
映画俳優である主人公アリンダムの危機や内省を通して、映画業界の問題(軽薄な娯楽作品の量産、商業主義、そして腐敗したビジネス慣行)を巧みに批判した作品。

COPYRIGHT 1979/ ALL RIGHTS RESERVED RDB ENTERTAINMENTS
『エレファント・ゴッド』
(1979年/原題:Joi Baba Felunath/英語題:The Elephant God/122分)
日本劇場初公開 監督・原作・脚本・音楽:サタジット・レイ/撮影:ショウメンドゥ・ラエ/編集:ドゥラル・ドット
出演ショウミットロ・チャタルジ、ショントシュ・ドット、シッダルト・チャタルジ
レイ監督自身による小説「探偵フェルダーシリーズ」を元に映画化された第2作目。主人公の探偵がその高い分析力と洞察力で事件を解決に導く、エンターテイメント性に富んだテンポのよい冒険コメディ。
いずれも 提供:JAIHO 配給:グッチーズ・フリースクール

©National Film Archive of India
サタジット・レイ(1921-1992)
1921年5月2日、インドのコルカタ生まれの映画監督、脚本家、作曲家、小説家、カリグラファー、イラストレーター。ベンガル地方屈指の名家・レイ家の出身で、詩人で画家の祖母と、文学者であり画家でもあった父シュクマル・レイの影響を強く受けて育つ。コルカタ大学では経済学を専攻し、その後、ノーベル文学賞にも輝く詩人ラビンドラナート・タゴールが創設したサンティニケタン大学に進学し、タゴールから深い芸術的・思想的影響を受ける。1942年からはイギリス系の広告会社にて広告デザイナーとして活動する傍ら、映画への情熱を育む。1949年には「カルカッタ(コルカタ)・フィルム・ソサエティ」の創設に参加。同年、ジャン・ルノワールが『河』の撮影のためインドを訪れた際に彼のアシスタントを務め、またヴィットリオ・デ・シーカやルキノ・ヴィスコンティらのネオレアリズモ映画に触発され、自らの映画制作を決意する。1951年に処女作『大地のうた』の制作に着手。1955年に完成させ、翌年カンヌ国際映画祭でベストヒューマンドキュメント賞を受賞。その後も、オプー三部作として知られる『大河のうた』、『大樹のうた』を完成させ、名声を不動のものとする。その生涯で30本を超える映画を制作し、インド映画界のみならず世界中の映画人に計り知れない影響を与えた。彼の作品は人間の本質に迫る深い洞察と、詩的な映像、音楽のセンスによって、今なお色褪せることがない。