教室でウォームアップするメンバーたち ナショナル・ユース・シアター(ロンドン北部) 2025年4月 Members warming up in the classroom. National Youth Theatre (North London), April 2025 © The Japan Art Association / The Sankei Shimbun
世界の優れた芸術家に贈られる高松宮殿下記念世界文化賞(公益財団法人 日本美術協会主催)の第36回受賞者が、2025年7月15日、ロンドン、パリ、ローマ、ベルリン、ニューヨーク、東京の各都市で発表された。

アンドラーシュ・シフ、ピーター・ドイグなど受賞者が発表

 今年の受賞者には、幻想的な風景画で知られ、写真や記憶をもとに豊かな色彩と独特のタッチで描く画家のピーター・ドイグ、身体と精神の限界に挑む過激なパフォーマンス・アートを通じて、観客との関係性や芸術の本質を探求するマリーナ・アブラモヴィッチ、歴史や周囲の環境との調和を重視し、伝統と革新を共存させた建築を生み出すエドゥアルド・ソウト・デ・モウラ、「音楽の精神性」を重視し、透明感のある音色と深い洞察に基づく演奏で知られるピアニストのアンドラーシュ・シフ、音楽と動きの緻密な関係性を追求するスタイルを確立したコンテンポラリー・ダンス界の重鎮、振付家・ダンサー・演出家のアンヌ・テレサ・ドゥ・ケースマイケルの各氏が選ばれた。

また、同時に発表される第28回若手芸術家奨励制度の対象団体には、ロンドンを拠点に、青少年に演劇のトレーニングや公演の機会を提供し、次世代の俳優育成にも取り組んでいる劇団、ナショナル・ユース・シアターが選ばれた。この劇団は1956年に創設され、かつてダニエル・クレイグ、ヘレン・ミレン、コリン・ファースら後に世界的な俳優となる多くの卒業生を輩出してきたことでも良く知られている。
授賞式典は、25年10月22日(水)に東京・元赤坂の明治記念館で開催される。

第36回 高松宮殿下記念世界文化賞 受賞者
■ 絵画部門 ピーター・ドイグ (イギリス)
■ 彫刻部門 マリーナ・アブラモヴィッチ (セルビア)
■ 建築部門 エドゥアルド・ソウト・デ・モウラ (ポルトガル)
■ 音楽部門 アンドラーシュ・シフ (イギリス)
■ 演劇・映像部門 アンヌ・テレサ・ドゥ・ケースマイケル (ベルギー)
第28回 若手芸術家奨励制度 対象団体
■ ナショナル・ユース・シアター (イギリス)

受賞者の顔ぶれ

絵画部門
ピーター・ドイグ
1959年4月17日 イギリス・エディンバラ(スコットランド)生まれ

画像: ピーター・ドイグ Peter Doig © The Japan Art Association / The Sankei Shimbun

ピーター・ドイグ
Peter Doig
© The Japan Art Association / The Sankei Shimbun

彫刻部門
マリーナ・アブラモヴィッチ
1946年11月30日 セルビア(旧ユーゴスラビア)ベオグラード生まれ

画像: マリーナ・アブラモヴィッチ Marina Abramović © The Japan Art Association / The Sankei Shimbun

マリーナ・アブラモヴィッチ
Marina Abramović
© The Japan Art Association / The Sankei Shimbun

建築部門
エドゥアルド・ソウト・デ・モウラ
1952年7月25日 ポルトガル・ポルト生まれ

画像: エドゥアルド・ソウト・デ・モウラ Eduardo Souto de Moura Photo: Shun Kambe © The Japan Art Association

エドゥアルド・ソウト・デ・モウラ
Eduardo Souto de Moura
Photo: Shun Kambe
© The Japan Art Association

音楽部門
アンドラーシュ・シフ
1953年12月21日 ハンガリー・ブダペスト生まれ

画像: アンドラーシュ・シフ András Schiff Photo: Pablo Castagnola © The Japan Art Association

アンドラーシュ・シフ
András Schiff
Photo: Pablo Castagnola
© The Japan Art Association

演劇・映像部門
アンヌ・テレサ・ドゥ・ケースマイケル
1960年6月11日 ベルギー・メヘレン生まれ

画像: アンヌ・テレサ・ドゥ・ケースマイケル Anne Teresa De Keersmaeker © Anne Van Aerschot Courtesy of Rosas

アンヌ・テレサ・ドゥ・ケースマイケル
Anne Teresa De Keersmaeker
© Anne Van Aerschot
Courtesy of Rosas

第28回 若手芸術家奨励制度
ナショナル・ユース・シアター( イギリス)
選考: クリストファー・パッテン国際顧問(イギリス)

画像: ポール・ローズビー ナショナル・ユース・シアターCEO兼芸術監督 Paul Roseby, CEO & Artistic Director, National Youth Theatre © The Japan Art Association / The Sankei Shimbun

ポール・ローズビー
ナショナル・ユース・シアターCEO兼芸術監督
Paul Roseby, CEO & Artistic Director,
National Youth Theatre
© The Japan Art Association / The Sankei Shimbun

公益財団法人 日本美術協会 The Japan Art Association
高松宮殿下記念世界文化賞 PRAEMIUM IMPERIALE

 公益財団法人 日本美術協会は、1887年(明治20年)に設立された、日本で最も歴史のある文化財団です。東京・上野公園内に上野の森美術館を運営し、美術展を企画・開催しています。代々、皇室から総裁を戴き、初代総裁の有栖川宮熾仁殿下以来、有栖川宮威仁殿下、久邇宮邦彦殿下、高松宮宣仁殿下、そして1987年から常陸宮正仁殿下が総裁を務めている。
 1988年には、協会設立100年を記念して、前総裁・高松宮殿下の「世界の文化芸術の普及向上に広く寄与したい」というご遺志を継ぎ、高松宮殿下記念世界文化賞が創設されました。国際理解の礎となる文化芸術の発展に貢献した芸術家に感謝と敬意を捧げ、その業績を称えるものです。世界の芸術家を対象に、絵画、彫刻、建築、音楽、演劇・映像の5部門で選考が行われ、毎年、受賞者に感謝状、メダル、そして賞金1,500万円が贈られる。
 受賞者の選考は、国際顧問であるランベルト・ディーニ(元伊首相)、クリストファー・パッテン(英、前オックスフォード大学名誉総長)、クラウス=ディーター・レーマン(独、元ゲーテ・インスティトゥート総裁)、ジャン=ピエール・ラファラン(元仏首相)、ヒラリー・ロダム・クリントン(米、元国務長官)の各氏らが中心となり、広く世界に目を向けて候補者の推薦にあたります。その推薦リストに基づき、日本の選考委員会が受賞候補者を選び、日本美術協会理事会で最終決定される。
 また、国際顧問を退任したデイヴィッド・ロックフェラー・ジュニア(米)、フランソワ・ピノー(仏、ピノー現代美術財団理事長)の各氏も、名誉顧問として協力している。
 授賞式典は、総裁・常陸宮殿下、同妃殿下のご臨席のもと、例年10月に東京で開催されます。2020年と2021年は新型コロナウイルス・パンデミックの影響により中止となったが、2022年に再開されました。2025年の授賞式典は、10月22日に開催される。

若手芸術家奨励制度 Grant for Young Artists

次代を担う若手芸術家の育成を目的として、1997年に「若手芸術家奨励制度」が創設された。毎年、世界文化賞受賞者発表と同時に、対象者が発表、表彰される。選考は国際顧問(各国推薦委員会)が順次担当し、選ばれた個人または団体に奨励金500万円が贈られる。

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