『ケイコ 目を澄ませて』『夜明けのすべて』など作品を発表するごとに国内映画賞を席巻し、本作で第78回ロカルノ国際映画祭インターナショナル・コンペティション部門にて最高賞である金豹賞&ヤング審査員特別賞をW受賞した、三宅唱監督最新作『旅と日々』(原作:つげ義春『海辺の叙景』『ほんやら洞のべんさん』)が11 月7 日(金)より全国公開する。
またこの度、30周年を迎えるアジア最大級の国際映画祭である「釜山国際映画祭」で初めて設けられたコンペティション部門において、9月19日(金)に『旅と日々』の公式上映とQ&Aが行われた。上映後の興奮冷めやらぬ現地の模様をレポート。

公式上映、Q&Aをレポート

画像1: 公式上映、Q&Aをレポート

釜山国際映画祭のメイン会場である「映画の殿堂」の800席が満席のなか、三宅唱監督、主演のシム・ウンギョン、出演の髙田万作が登壇した。アジアプレミア上映に三宅監督は「今日の朝、上映テストをしたときに、映画って生きているんだなと感じました。映画を観ていると、生きているという実感を得られる気がします。そうやって、全身でこの映画を観て感じていただければと思います」、シム・ウンギョンは「初めてこの映画を観たみなさんがどのように感じたのか、聞きたい気持ちでいっぱいです」と30周年という節目に新設された釜山国際映画祭のコンペティション部門でのアジアプレミア上映に期待を膨らませ、髙田万作は「大好きなお二人とこんな貴重な場に立つことができてとても光栄に思います」**とそれぞれ思いを述べ、上映がスタートした。

時折笑い声も響く上映が終わり、場内が明るくなると会場は温かい拍手につつまれ、Q&Aがスタート。まず、「たくさん笑えて、とても幸せな気分になりました」という観客の感想から、三宅監督が映画への想いを述べた。「自分が初めて映画を作ったときの気持ち、あるいは初めて映画館で映画を観たときの気持ち、そういう驚きをみなさんに感じてもらいたいと思ってこの作品をつくりました。それが、劇中劇という構造にするアイデアに結びつきました。この映画は旅についての映画ですが、映画そのものについての映画です。 映画が何か、という答えはたぶん誰にも分かりませんが、不思議な現実だなという驚きを感じることが、僕はとても面白いと思っています」

画像2: 公式上映、Q&Aをレポート

続いてシム・ウンギョン演じる李、堤真一演じるべん造の掛け合いの演出について聞かれると、「原作であるつげ義春さんのマンガがベースにあり、マンガのとおりの台詞もあれば、僕が少し加えたものもありますが、原作自体に、悲しみもありながら、軽やかな笑いもあるんです。それを映画で演じるのはとても難しいんじゃないかと心配していましたが、シム・ウンギョンさんと堤真一さんの2人が、丁寧に、真剣に演じてくださったからこそ、軽やかになったのだと思うんです。 2 人は別に笑いを取ろうなんて思っていません。 役として、本当に人生について考えている。 その姿に、僕も愛着があるし、チャーミングだなと思っています。 今日、みなさんもそれを感じてくれたんだなと思って、もっと2人の会話を書けばよかったなと思ったぐらいです」と原作の持つ力、さらに俳優の存在について語った。

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監督の演出について問われると髙田からは「監督に、劇中映画の登場人物だということを意識してお芝居をしたほうがいいのか、と伺ったときに、そこはよく考えなくてもいい、 とにかく、万作君らしく芝居をしてくれれば、とおっしゃっていただき、すごく自然に、自分らしく臨むことが出来ました」と、オーディションで本作に抜擢された際のエピソードを明かした。

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さらにシム・ウンギョンが本作への想いを「ここ数年間いただいた台本の中で、この映画の台本が一番好きでした。というのも、この物語自体が私の物語のように感じられたからです。誰もが、李のような状況になったことがあると思います。この映画を見ながら、スクリーンの中に入って、自分自身を見つけるための旅を一緒にできればいいな、と思っています。この映画は、私にとって運命のようで、もし、私がいつか自伝を書くとしたら、まさにこの映画のとおりになるだろうと思うくらい、とても親しみを感じました。 そして、これはみんなの物語でもあると思います。」と語った。

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最後には、監督からは「何回見ても楽しめる作品だと思います。是非、また観てもらえたら嬉しいです」、シム・ウンギョンからは「たくさんの方に一緒に旅に出ていただけたことを本当に感謝しています」、髙田万作からは「とにかくたくさんの人に見てほしいです。この映画は観れば観るほど魅力が増していくし、不器用で純粋な登場人物たちに、必ず心を奪われるのではないかと思います」と改めて胸の内を明かし、歓声も飛び交う和やかな雰囲気のなか、イベントは終了した。

『旅と日々』
11月7日(金)TOHO シネマズ シャンテ、テアトル新宿ほか全国ロードショー

画像: 第30回釜山国際映画祭コンペティション部門にて『旅と日々』の公式上映とQ&Aに三宅唱監督、シム・ウンギョン、髙田万作が登壇!

出演:シム・ウンギョン
河合優実 髙田万作
斉藤陽一郎 松浦慎一郎 足立智充 梅舟惟永/佐野史郎
堤真一
監督・脚本:三宅唱
原作:つげ義春「海辺の叙景」「ほんやら洞のべんさん」
配給:ビターズ・エンド
©2025『旅と日々』製作委員会

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