人気アメキャラ系映画ライター・杉山すぴ豊さんが、アメコミ・ホラー・SFなど多様なジャンル映画の情報を“深い知識と深い愛”をもってお届けする本連載。今回はこれまでと味付けの異なる「プレデター」最新作、人気ホラーの続編となる『ブラックフォン2』、そして日本のワーナー配給としては最後の洋画となる『WEAPONS/ウェポンズ』について紹介してくれました。(文・杉山すぴ豊/デジタル編集・スクリーン編集部)

SF冒険映画として光る『プレデター:バッドランド』

映画の話ではないですが、この原稿を書いているときに50年に渡って続いてきた特撮アクション・ドラマのスーパー戦隊シリーズが打ち切りになるとのニュースがネットをにぎわせました。スーパー戦隊自体には僕もいくつか思い出があるのですが1985年に放送された「電撃戦隊チェンジマン」という作品にブーバという悪役が登場。このブーバをググるとわかるんですがプレデターに似ているんです(ブーバの方が先)。なので特撮ファンの間でプレデターのモデルはブーバでは?という噂が流れたことがあります。というわけでスーパー戦隊終了の話が出ている中『プレデター:バッドランド』を観てきました。今年一番楽しみにしていた映画の1つで、とてもワクワクしました。

監督のダン・トラクテンバーグは『スター・ウォーズ/帝国の逆襲』で下半身を失ったC-3POをチューバッカがおぶっているシーンにヒントを得て、主人公のプレデターでるデクがアンドロイドのティア(エル・ファニング演じており本当にキュート)のコンビネーションを思いついたそうです。僕自身は大変面白かったのですが、その一方でシュワちゃん出演の、1作目の『プレデター』好きがどう思うか気になりました。というのも今度のプレデターはモンスターというよりヒーロー。従って『ゴジラ』(1954年)の“怖いゴジラ”と他の怪獣と戦うようになった“僕らのゴジラ”ぐらいキャラが違います。だからSF冒険映画として『プレデター:バッドランド』は良く出来ているが、プレデター映画としては違和感を感じるかもしれません。しかし監督のトラクテンバーグは『プレデター:ザ・プレイ』(配信映画)、『プレデター:最凶頂上決戦』(配信アニメ映画)にて、地球の戦士にプレデターが挑戦するという、1作目の『プレデター』の遺伝子、スタイルを継承した作品をちゃんと撮っています。そんな彼だからこそプレデターというキャラの持つ可能性を違う方法で試したのかもしれません。恐らく続編あると思うので今から楽しみです。

終盤の畳みかけが見事!『ブラックフォン2』

続編といえば『ブラックフォン2』。これも観客の予想を超える、かなりひねりある作品でした。前作の兄妹が成長した姿で登場。今回はサイキック能力が高い妹が主役。死んだ殺人鬼グラバーが今度は悪霊となって、兄妹に復讐を仕掛けます。グラバーは夢の中からいろいろ仕掛けてくるので『エルム街の悪夢』のフレディみたいな怪人となりました。エルム街へのオマージュ的なシーンもありますが、グラバーの恐怖というよりグラバーがなぜ生まれたのか?というオリジンを描く作品になっています。血しぶきとびちる殺人鬼ホラーではなく謎解き心霊サスペンスですが、クライマックスのたたみかけは見事です。冬、氷が重要なモチーフになっていて、雪山が舞台の『シャイニング』も思い出しました。最近元気がなかったブラムハウスの復調のきっかけとなる作品です。今回も子どもが重要なポイントです。

今の映画人生があるのは日本のワーナーさんのおかげ

画像: 今の映画人生があるのは日本のワーナーさんのおかげ

『WEAPONS/ウェポンズ』
11月28日(金)劇場公開
配給:ワーナー・ブラザース映画/映倫:R18+
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さて子ども×ホラーといえば『WEAPONS/ウェポンズ』。日本でちゃんと劇場公開されるかやきもきしましたが11月28日(金)スクリーンに登場します。これは期待通りの、いや期待をはるかに上回る傑作でした。少しでも内容を書くとネタバレになるので「面白かった」以上のことは言えないんですが、タイトルの意味、そしてポスタービジュアルになっている子どもたちのポーズがなにを象徴するのかわかった時、(心の中で)なるほど!と叫んでしまいました。本作は日本のワーナーさんが配給を手掛ける最後の洋画だそうです(来年からワーナー洋画は東宝東和さんが配給)。僕はワーナーさんが配給した『燃えよドラゴン』『エクソシスト』『タワーリング・インフェルノ』で洋画ファンとなり、そして『スーパーマン』でアメコミ映画にハマりました。いまの自分の映画人生があるのは日本のワーナーさんのおかげなのです。だからこそ、この『ウェポンズ』を力いっぱい応援したいのです。

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