カバー画像:Photo by John Nacion/Getty Images for Paramount Pictures
殺人マスコット人形が再び劇場に帰ってくる!
今年の東京コミコンでこれから公開されるいくつかのホラー映画の紹介をしました。ひとつはブラムハウスが贈る『ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ2(フナフ2)』。有名作品の続編なので皆さんご存じでしょうが、閉店になったいわくつきのピザ・レストランで、店のマスコット人形たちが襲い掛かってきます。この機械仕掛けのマスコットたちのデザインが可愛いのでそのギャップがポイントです。
愛するペットが豹変!殺戮満載のアニマル・スリラー
もう一つの作品は『おさるのベン』。これまたかわいいタイトルですが、黄色い帽子のおじさんが出てくるような楽しい映画ではなく、緊張感あふれるワンシチュエーションのアニマル・スリラー。『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』をプロデュースしたウォルター・ハマダと、「クワイエット・プレイス」シリーズのパラマウント・ピクチャーズが手を組み、監督・脚本を『バイオハザード:ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ』のヨハネス・ロバーツが担当しています。家族のようにかわいがっていたペットのチンパンジーのベンが狂犬病にかかり、飼い主家族や友人たちに襲い掛かります。チンパンジーというのは愛嬌がありますが、ものすごい力と牙を持っており攻撃されたら危険。閉鎖空間(海沿いの別荘)でティーンたちがベンの犠牲に。このベンによる殺戮シーンがスプラッター全開。ベンが豹変してからは80−90年代の殺人鬼ホラーを思わせる展開に。さらに嚙まれたら自身も狂犬病に感染するリスクがあるのです。2年前に公開されたUFOホラー『NOPE』。ここではチンパンジーによる惨劇事件のエピソードが盛り込まれていて、恐怖した方も多いのではないのでしょうか?愛する家族がモンスター化するせつなさはゾンビ映画とかに通じますが、本作をみて思い出したのが日本映画の『震える舌』。これは娘が破傷風にかかった家族の物語ですが、病気に悶え苦しむシーンが『エクソシスト』級にショッキング。破傷風も本作の狂犬病もフィクションで出てくる未知の病気とかではなく現実にあるからより恐ろしい。
デスゲームの元祖的作品を再映画化したSFサスペンス

『ランニング・マン』主演のグレン・パウエルと監督のエドガー・ライト
Photo by John Nacion/Getty Images for Paramount Pictures
また『クジョー』という映画では狂犬病にかかった巨大なセントバーナード犬が母子をピンチに陥れます。この『クジョー』はスティーヴン・キング原作でしたが、キング原作の新作映画も公開を控えています。それが『ランニング・マン』。グレン・パウエル出演でエドガー・ライトが監督。近未来、貧富の差が極限まで行ったアメリカにおいて『ランニング・マン』というリアリティ・ショー番組が大人気。これは90日間、ハンターと呼ばれる追手から逃げられたら億万長者。ただしハンターに見つかったらその場で殺される。低所得層の人々は一攫千金を夢見て命がけのこの番組に参加し、その様子が中継されるというデスゲーム。日本でも人気のTV番組「逃走中」と『ハンガー・ゲーム』を足したような内容です。この『ランニング・マン』はもともとキングが1982年にリチャード・バックマン名義で発表した小説。なので本作こそ昨今人気のデスゲーム物の元祖ともいえる作品なのです。さらのこの原作は1987年にアーノルド・シュワルツェネッガー出演で一度映画化されています。その時の邦題は『バトルランナー』でした。87年版はシュワちゃん出演ということでアクション色が強く、シュワちゃん演じる主人公は罠にはめられた元警官。キン肉マンとかに出てきそうな追手たちをシュワちゃんがまさにバトルして倒すみたいな内容でした。グレン・パウエル版はより原作に近く、家族のためにお金が要る主人公がこのゲームに参加。どう戦うか、ではなくどう逃げるかに重きがおかれています。キング原作ではありますがホラーというよりSFサスペンスです。しかしここで描かれる世界は、本当に嫌なデストピアで、いまの社会ってひょっとしてこの方向に向かっている?と思わせる怖さはあります。なお1982年にこの小説が発表された時、物語の舞台設定は2025のアメリカだったのです。


