ジョニー・デップ、マッツ・ミケルセンら歴代最多となる来日セレブに話題が集中したが、マーベル・コミックス、DCコミックスなどのアメリカン・コミックスで活躍中のアーティストやクリエイターが参加した「アーティストアレイ」、バック・トゥ・ザ・フューチャー日本公開40周年記念ショップも登場した出展社ブースなども大いに会場を沸かせた。
そこで今回は、“世界で活躍できる唯一無二の存在となる”という夢を抱くレポーター・若林優美果が、マーベル・コミックスの編集長を務めるC.B.セブルスキーをはじめ、アーティストアレイに参加したクリエイターたちに迫る!
撮影/大西 基

マーベル・コミックス編集長が世界中のクリエイターに求める“たった一つの要素”とは──
C.B.セブルスキー C.B.Cebulski
2017年にマーベル・コミックス編集長就任以来、マーベルの世界観、ストーリー構成、発売するコミック、才能あるアーティストの発掘を意欲的に手掛ける。また、マーベルの出版部門は世界各国の各社と連携してオリジナルプロジェクトの成功にも貢献をしている。
Q. マーベルとして大切にしていることは?
「私が世界中を旅して、様々なアーティストのポートフォリオを見させていただく時、例えば「東京コミコン2025」でもそうですが、私が本当に探しているのは“ユニークなスタイル”です。
多くの方が、マーベルは同じようなスーパーヒーローのスタイルだと思いがちですが、実際はそうではありません。アーティストはそれぞれ異なりますし、私たちはコミックブックがそれぞれ違った見え方になるようにしたいと思っています。
だから、私は常に、“マーベルではまだ見たことのないスタイル”を探しています。ユニークで、オリジナリティがあること。これが一番大事なことです」
マーベル・コミックスの編集長を務めるC.B.セブルスキーが最優先する要素は、“個性”と“オリジナリティ”。彼は画一的なスタイルではなく、世界中から集まるアーティストの多様なスタイルを受け入れ、コミックブックの世界を常に新しく、進化させていこうとしていました。

アイアンマンの父が語る「グローバルな影響」
ボブ・レイトン Bob Layton
1980年代のマーベル・コミック作品で最も知られると同時に、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)に大きな影響を与えた。「アイアンマン」に携わったことで有名になり、ジェイムス・ローズ(ウォーマシン)を含むMCUの有名キャラクターのクレジットを所有。
Q. 日本のポップカルチャーは、あなたの作品に影響を与えていますか?
「私は自分をグローバルアーティストだと思っています。私が関わったアイアンマンのトニー・スターク(キャラクター)の会社もグローバルで、日本にもアメリカにも事務所がある。アメリカと日本がお互いに文化の影響を受けているんです。
日本の文化の例として、実は「ガッチャマン」の表紙を描いたことがあります。私たちは時代の変化を大切にし、今でも時代と合わせるように努めています」
トニー・スタークのキャラクターデザインに大きく関わったボブ・レイトン。彼の作品世界がグローバルな影響を受けていること、そして日本の代表的なアニメーション作品にも関わっていたという事実は、両国の文化交流の深さを物語っています。

スパイダーマンの魂を描き出すマエストロ
ウンベルト・ラモス Humberto Ramos
「バットマン」「スパイダーマン」「X-Men」などを手がけ、「スパイダーマン」シリーズに登場するキャラクター、シルクもデザイン。近年は「ストレンジ・アカデミー」を共同制作し、現在は「ファンタスティック・フォー」を担当している。
Q. 日本のポップカルチャーは、あなたの作品に影響を与えていますか?
「私たちの世代は、多かれ少なかれ、誰もが日本のポップカルチャーから何らかの形でインスピレーションを受けていると思います。私自身はメキシコ出身なのですが、子どもの頃、メキシコではああいう美しいカートゥーンシリーズをたくさん放送していたんです。当時はそれが“アニメ”と呼ばれているなんて知らなかったけどね。
私には一緒に育った本当に大好きなキャラクターたちがたくさんいるんです。だから、“日本のポップカルチャーに影響を受けたか?”って聞かれたら、答えは間違いなくイエスです!」
自身が愛していたキャラクターとして、「白いライオン(ジャングル大帝)」「海のトリトン」といった、手塚治虫氏が生み出したキャラクターの名前を挙げたウンベルト・ラモス。彼の言葉からは、日本の「アニメ」がまだその名称で広く知られる以前から、すでに国境を超えて世界の子どもたちに影響を与えていたことがわかります。

クラシック・ディズニーが大切にするテーマとは──
ジェームズ・C・マリガン James C Mulligan
『リロ&スティッチ』『アナと雪の女王』『塔の上のラプンツェル』などのディズニーの長編映画作品やコミックス、ルーカスフィルム、ディズニー・ロルカナ、コカ・コーラ、レクサスなど多彩なブランドとコラボレーションして活躍中。
Q. 日本のポップカルチャーは、あなたの作品に影響を与えていますか?
「日本の文化、本当に大好きなんです。それに日本の皆さんは、クラシックなディズニー映画と同じようなストーリーテリング(物語の語り方)を、すごく愛してくれていると感じています。
クラシック・ディズニーというのは、“物語”や“家族”、そして“僕たちはみんな繋がっているんだ”っていうテーマを何より大事にしているんですけど、その感覚を――もしかしたら今のアメリカ以上に――日本の皆さんは深く理解してくれている気がします。だから日本に来るたびに、なんだか自分の家に帰ってきたような、そんな温かい気持ちになるんです」
日本のファンが「クラシック・ディズニー」が大切にする普遍的なテーマに深く共感してくれていることに、マリガンは強い親近感を感じているようでした。
PROFILE
若林優美果 Yumika Wakabayashi
石川県出身
Instagram:yumika.wakabayashi.kabayan

「普段ならお会いできないようなアーティストの方とお話ができてとても嬉しかったです。そして、日本のことを大切に思われているということが改めてわかったので、日本人としても、ディズニー好きとしても、嬉しい気持ちになりました。マーベルは、「スパイダーマン」のような一つの型があるイメージを持っていたんですけど、マーベルの編集長であるセブルスキーさんはそうではなく、“まだ自分が見たことのないものを探している”とおっしゃっていて、それも読者としては新たな発見でした。セブルスキーさんの(交流会の)待機列に並ばれている方は、雰囲気が違うというか、緊張されている方がいたのが印象的だったんです。セブルスキーさんは、世界中から才能ある人材を発掘されていて、そこからマーベルの作品に関わる方もいるということを知って、“そういうことか!”と腑に落ちました」
「私は普段、石川美少女図鑑に所属して、タレント活動だったり、モデル活動、ライター活動などをさせていただいています。また、「ミス・ワールド・ジャパン」という大会に7年にわたり出場して、2024年には特別賞をいただきました。今は“世界で活躍できる唯一無二の存在となる”“選ばざるを得ない人となる”という夢に向かって精進しています。ぜひ応援してください」



▲最後はSCREENのブース前で記念撮影!


