約120年前のサイレント映画から、イタリア映画史を彩る名作、そして現代の大ヒット作まで、時代を越えてイタリア映画の魅力をたどる特別プログラム
「なら国際映画祭」は、奈良の平城遷都1300年にあたる2010年に、映画作家・河瀨直美をエグゼクティブディレクターに迎えて始まった、2年に1回開催される映画祭。インターナショナルコンペティションやNARA-wave学生映画コンペティションを軸に、「ユース映画制作ワークショップ」作品、また、なら国際映画祭オフィシャルパートナーであるベルリン国際映画ジェネレーション部門からの推薦作品や、カンヌ国際映画祭の短編作品、ショートショート フィルムフェスティバル & アジア優秀作品など、多彩な映画作品を上映してきた。
特別プログラムで上映されるのは、世界中の映画ファンから長く愛され続けてきた『ニュー・シネマ・パラダイス』、ヴェネツィア国際映画祭ディレクターのアルベルト・バルベーラ氏が推薦する1949年の名作『にがい米』、そして2024年にイタリアで大ヒットを記録したフェルザン・オズペテク監督の『ダイヤモンド 私たちの衣装工房』。さらに、映画がサイレントだった時代へとさかのぼり、1906年から1920年代にかけて製作された日本とイタリアの貴重なサイレント映画を、弁士・野村雅夫氏とともに楽しむ特別上映も行われる。そして本特集プログラムの一環として、ジョルジオ・アルマーニがリチャード・ギアの衣装を手掛けたことでも知られる映画『アメリカン・ジゴロ』が、世界遺産・春日大社の「感謝・共生の館」にて特別上映される。

映画黎明期のサイレント映画から、戦後イタリア映画を象徴する一本、世界中の観客の記憶に刻まれた名作、そして現代のイタリア映画まで、日本とイタリア両国が国交樹立160周年という節目を迎える2026年、イタリアが育んできた映画文化と日本の観客が、古都・奈良で時代を越えて出会う。
リチャード・ギアが大ブレイクを果たし、ジョルジオ アルマーニの名を世界に広めた『アメリカン・ジゴロ』を春日大社で特別上映!
1980年に公開されたポール・シュレイダー監督作『アメリカン・ジゴロ』で、リチャード・ギア演じる主人公ジュリアンの衣装を手掛けたのが、当時まだアメリカでは広く知られていなかったジョルジオ・アルマーニだった。
ジュリアンが身にまとうのは、それまでのアメリカにおけるダークカラー中心の硬質なスーツのイメージとは異なる、ベージュをはじめとするアースカラーや、肩の力を抜いたような柔らかなシルエットのジャケット。劇中では、ジュリアンが自室でクローゼットからシャツやネクタイを選び、自らスタイリングを心から楽しむ姿も印象的に描かれ、服を選び、着こなす男性そのものを映画の魅力として鮮烈に映し出した。

© 1980 by Pierre Associates. All Rights Reserved.TM, ® & Copyright © 2010 by Paramount Pictures. All Rights Reserved.
その存在感は、ポール・シュレイダー監督が「アルマーニが主役だ」と語ったと紹介されるほど。本作をきっかけに、アルマーニの洗練されたスタイルはアメリカの観客を魅了し、ギアとともに、その名を一躍広く知らしめることとなり、世界的な大ブームを巻き起こすきっかけとなった。
映画とファッションが交差し、一人のイタリア人デザイナーの美学が世界へと羽ばたく大きな契機となった『アメリカン・ジゴロ』。日伊国交樹立160周年の節目に、イタリアが世界の映画とファッションに与えた影響を象徴する一本として、古都・奈良の春日大社「感謝・共生の館」で特別上映。
世界中を魅了してきた『ニュー・シネマ・パラダイス』の感動が、スクリーンでよみがえる
なら国際映画祭のスタッフたちが、今回のイタリア特集にセレクトしたのは、1988年に製作された、イタリア映画を代表する感動の名作『ニュー・シネマ・パラダイス』。映画館という場所、スクリーンを通して生まれる人々の記憶、そして映画を愛することの喜びを描き、世代や国境を越えて現在まで愛され続けてきた。この映画愛あふれる本作を、日伊国交樹立160周年の節目に改めて上映する。

© 1989 CristaldiFilm
120年前へタイムスリップ!
奈良とイタリア、知られざるサイレント映画を弁士・野村雅夫と楽しむ
今回のイタリア特集でひときわユニークなプログラムとなるのが、日本とイタリアの初期映画を紹介する「サイレント映画特別上映」だ。
上映される日本作品は、1922年に撮影された『吉野群峯 第2・3巻』。奈良最古のフィルム映像であり、文化財に指定されている大峯山形・大台ヶ原の登山記録映像から、世界で最も古い登山ドキュメンタリー映像(イタリア制作)とあわせて、20世紀初頭に製作されたイタリアのサイレント映画史に残る作品がセレクトされた。
上映当日は、100年以上の時を越えてスクリーンによみがえる映像を、ラジオDJであり翻訳家でもある野村雅夫氏が弁士として案内するほか、大淀町学芸員の松田度氏、楽士の鳥飼りょう氏などがゲストとして登壇し、作品を楽しく解説する。

『吉野群峯(第3巻)』
<サイレント映画上映作品>
『吉野群峯(よしのぐんぽう)』(1922年/第2巻(約16分)・第3巻(約9分)大淀町指定文化財(歴史資料)
『マッターホルン登頂』 (原題:Ascensione al Cervino/1912-1922年/14分) Mario Piacenza監督
『星旅行』 (原題:Un viaggio in una stella/1906年/12分)
『ツバは広くてなんぼ』 (原題:La moda vuole l'ala larga/1912年/6分)
『新馬鹿大将 モテる男はつらいよ』 (原題:Troppo bello!/1909年/4分)
『お花で、さようなら』 (原題:Buona sera, fiori!/1909年/1分)
ヴェネツィア国際映画祭ディレクター、アルベルト・バルベーラ氏が推薦
イタリア映画史に残る名作『にがい米』
1949年に製作・公開されたジュゼッペ・デ・サンティス監督によるイタリア映画『にがい米』(原題:Riso amaro)は、イタリア北部を横断している、イタリアで最も長いポー川流域の水田で働く出稼ぎ女性たち(モンディーナ)の過酷な労働と生態を描いた社会派ドラマ。
本作を今回の特集上映に推薦したのは、ヴェネツィア国際映画祭ディレクターのアルベルト・バルベーラ氏。「社会的なメッセージ性、エンターテインメントとしての娯楽性、そして優れた映画的価値を融合させる巧みな手腕により、今なお色あせることのない強い存在感を放ち続けています」と、本作の魅力を語る。

©︎Reporters Associati S.r.l
イタリアで220万人を動員した話題作
『ダイヤモンド 私たちの衣装工房』
現代のイタリア映画を紹介する一本として上映されるのが、フェルザン・オズペテク監督の『ダイヤモンド 私たちの衣装工房』。220万人を動員し、2024年イタリア映画最大のヒットとなった。1970年代のローマにある衣装工房を舞台に、それぞれに深い事情を抱える女性たちのヒューマンドラマ。イタリア映画界における最高の名誉とされるダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞(2025年・第70回)で、観客賞を受賞した名作。

© 2024 Greenboo Production – Faros Film - Vision Distribution
<マリオ・アンドレア・ヴァッターニ駐日イタリア大使 推薦コメント>
この度、日伊外交関係樹立160周年という節目の年に、なら国際映画祭にてイタリア映画プログラムを開催いただき、誠にありがとうございます。近年、日本とイタリアの文化交流は、かつてない活況に沸いています。2024年に締結された日伊映画共同制作協定により、映画界での日伊協力の機運がますます高まっています。今後とも大使館としてイタリア映画の魅力を発信するとともに、さらなる日伊協力の一層の発展を図っていきます。
「なら国際映画祭2026」
開 催 日 9月19日(土)~23日(水・祝)
開催場所 奈良市 奈良市ならまちセンター市民ホール/奈良公園バスターミナルレクチャーホール
東大寺総合文化センター金鐘ホール/春日大社 感謝・共生の館 等
実施内容 インターナショナルコンペティション/NARA-wave学生映画コンペティション
カンヌ国際映画祭招待作品上映/ベルリン映画祭スポットライトジェネレーション部門優秀作品上映
ショートショート フィルムフェスティバル & アジア優秀作品上映/NARAtive/NARAtiveJr作品上映/ユースシネマプロジェクト 等


