Jホラーを牽引し続けてきた清水崇監督の最新作『あのコはだぁれ?』が7月19日に公開。主人公の教師・君島ほのかを渋谷凪咲が演じている。渋谷は今作が映画初主演。「バラエティとホラーは違うようで同じ」という清水監督の教えを体感できる撮影となったようだ。

撮影/久保田 司
インタビュー・文/佐久間裕子

私にできるのは素直でいること、そして頑張ることだけ。そんな気持ちで現場に臨みました

──本格演技初挑戦にして映画初主演が決まった時の心境はいかがでした?

「NMB48卒業後こうして映画初主演させていただけるなんて、夢が叶った瞬間のひとつでした。ただ最初はまさか清水(崇)監督のホラー作品で映画初主演させていただくなんて思ってもみなかったので、自分なんかでいいんだろうかって不安でした。でも監督にホラーとバラエティは違うようで一緒だと教えていただいて。 “渋谷さんが今までやってきたそのままの感性と感覚でやってください”とおっしゃってくださったので、安心できました」

──主演を実感できたのはどのタイミングでした?

「台本をめくってもめくっても“ほのか”という役名が出てくるのは、やっぱり主役だなって思いました(笑)」

──初主演の現場にはどんな心境で臨みましたか。

「映画の現場には、その現場ならではのルールがあると思うんですね。私はお芝居の経験が浅く主演するのも初めて、映画の現場にも全く慣れていないので、全く知らないからこそ、皆さんにいろいろ教えていただいて学ぼうという気持ちでした。自分に何ができるできないかはわからないけど、とにかく目の前で起きることに全力でぶつかろう、頑張ることで認めていただけたら。作品を作る時もそうですけど、この仕事をする上で“この子のために頑張ろう”“この子のためやったら何かしてあげたい”って周りの皆さんが思ってくださったらスムーズに物事が進むじゃないですか。そのためには、とにかく皆さんに信じていただいて、自分は一生懸命やるしかないと思って。わからないことがあれば“わからない”と聞く。私にできるのは素直でいること、そして頑張ることだけ。そんな気持ちで現場に臨みました」

──実際に撮影が始まって、この作品の怖さ、面白さをどんなところに感じましたか。

「学校、家の中、帰り道、ゲームセンターと、みなさんの日常にもある普通の光景の中に潜む恐怖がたくさん描かれています。なので共感しやすくて、楽しめるんじゃないかと思いました。撮影して思ったのは、怖さや恐怖っていろんな種類があるんだなって、すごく感じました。キャラクターの怖さもあるし、普通に過ごしていると思っていたら、だんだん会話がおかしい、“あれ……なんやろ?”って違和感から感じる恐怖もある。そして違和感がいくつもいくつも積み重なり、その線が全部繋がった時に一気に恐怖が押し寄せてくると、“キャー!!”って悲鳴を上げるのではなく、胃が上がって来るような気持ち悪さを感じるんだって知りました。恐怖に体が反応して吐きそうになる。さらに怖すぎたら声が出なくなることもあるんですよ。そういういろんな種類の恐怖が描かれていくので、すごく怖いんじゃないかと思います。見てくださる方も気を抜くと恐怖にやられてしまうので、しっかり観ていてほしいです(笑)。私が演じる君島ほのかの視点で観ていただければ、違和感に気付いたり、恐怖に立ち向かって一緒に戦う面白さを感じてもらえると思います」

──教師役ということで、生徒役のみなさんを盛り上げようみたいなことは心がけていらっしゃったんですか?

「主演やから“現場を盛り上げるために……!”って気持ちは持っていたほうがいいのかなって思ったんですけど、そこはあまり気負わずに。共演者の皆さんとは、その現場でしか出会えませんからね。皆さんと過ごす時間が楽しかったし、今一緒にいる時間を大事にしたいと思いました。自分の興味のままに喋りたいことを喋っていましたね」

画像: 私にできるのは素直でいること、そして頑張ることだけ。そんな気持ちで現場に臨みました

人の心をこんな風に動かせる人に私もなりたいと思いました

──大人のキャストも個性的な俳優さんが揃っていますね。前作(『ミンナのウタ』)から引き続き出演なさっているマキタスポーツさん、恋人役の染谷将太さんとの共演はいかがでしたか。

「マキタスポーツさんは登場のシーンからめちゃくちゃ面白くて(笑)。撮影していても笑いをこらえるのが大変なぐらいで、コメディの才能をすごく持っていらっしゃるなって思いました。自由に演技されている感じが素敵で、カッコ良くて、こんなコミカルな人に私もなりたいなって思いました。そして染谷さんはご一緒できた時間が夢のようでした。染谷さんの目線ひとつでせつなさを感じられたし、指輪を大切そうにギュッと握り込むシーンは、その指だけでも感情が伝ってくるんです。繊細な、ほんの少しの動きだけで何かが伝わるって素晴らしいなって。それは経験ともともと染谷さんが持っていらっしゃる空気そのものによるものだと思いますが、人の心をこんな風に動かせる人に私もなりたいと思いました」

──この映画では、教室にいないはずの生徒が口ずさむ曲がみんなを恐怖へと誘います。最近、渋谷さんがよく聴く音や音楽はなんですか。

「私は魂がこもった歌が好きで、最近はちゃんみなさんをよく聴いています。ちゃんみなさんの想いや考え方が歌詞にすごく詰まっていて、ラップもテンポが良くて。激しい歌い方もすれば、ささやくような声やセクシーな声で歌ったりして、1曲の中に波のような押し引きがあるのも楽しいんです。そういうところにしびれるし、聴くと元気になれますね」

──音楽はどんな時に聴くことが多いですか。

「お散歩するのが好きなので、夜の帰り道はちゃんみなさんのせつない失恋系の曲を聴いて、しっぽり浸ったりしますよ。朝は最近なら森七菜さんの『スマイル』を聴いて元気をもらっています」

PROFILE

渋谷凪咲 NAGISA SHIBUYA

1996年8月25日生まれ、大阪府出身

画像: 渋谷凪咲 NAGISA SHIBUYA

作品紹介

画像1: 渋谷凪咲:映画『あのコはだぁれ?』インタビュー
画像2: 渋谷凪咲:映画『あのコはだぁれ?』インタビュー

『あのコはだぁれ?』

〈STORY〉
夏休み。臨時教師として補習クラスを担当することになった君島ほのか(渋谷凪咲)の目の前で、ある女子生徒が 突如屋上から飛び降り、不可解な死を遂げてしまう。
“いないはずの生徒”の謎に気がついたほのかと、補習を受ける生徒・三浦瞳(早瀬憩)、前川タケル(山時聡真)らは、“あのコ”にまつわるある衝撃の事実にたどり着く。彼らを待ち受ける、予想もつかない恐怖とは……!?
「本当に怖いホラー映画」として話題になった『ミンナのウタ』のDNAを引き継ぐ、清水崇監督の最新作。

出演:渋谷凪咲
   早瀬 憩 山時聡真
   荒木飛羽 蒼井 旬 今森茉耶 穂紫朋子
   松尾 諭 マキタスポーツ/染谷将太
監督:清水 崇
配給:松竹
7月19日(金)公開

©2024「あのコはだぁれ?」製作委員会

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