石黒正数による傑作青春コミック「ネムルバカ」が実写映画化。大学の女子寮で暮らす後輩・入巣柚実を久保史緒里が、先輩・鯨井ルカを平祐奈が演じる。初共演した二人に、映画の話とともにお互いに想うことなどをたっぷり語り合ってもらった!
画像1: 『ネムルバカ』後輩・入巣と先輩・ルカをリアルに演じた久保史緒里×平祐奈の素敵な関係【インタビュー】

――お二人が『ネムルバカ』で顔合わせをしたのはいつ頃だったのでしょうか?

久保 最初、本読みでお会いしました。その時に、監督が「早いうちに会って、二人の会話の雰囲気を見て脚本を直したい」とおっしゃっていました。

 それが初対面でした。

久保 その時は、この主人公二人の間柄を演じるということもあり「仲良くならなきゃ!」と思っていましたが、私がなかなか壁をぶち破れなくて……(苦笑)。クランクインの前は焦っていました。私の初日は寮のシーンだったのですが、部屋に入った瞬間、そこにルカ先輩がいました。「ルカ先輩だ!」と思ったら、私も入巣になることができました。現場に入ってからは、ルカ先輩と入巣の関係性だったので仲良くなるのも早かったです。

 しーちゃん(久保)とインの前に会えたのが本読みの2回。そんなに喋れてもないし、(久保をチラ見して)人見知りだし~(笑)。

久保 そうなんです(照)。

 でもインすると自然とルカと入巣ができていたので、お互いに距離が縮まっていました。

――W主演で初共演。ともに過ごす撮影時間が多かったかと思います。お互いのお芝居の印象を教えてください。

久保 カメラが回っていない時も、ずっとルカ先輩でしたね。ルカ先輩と入巣の二人は、本当に不思議なのですが、独特の空気感を持っているのに同じ部屋で生活していてもまったく居心地の悪さを感じてないんです。むしろ居心地がいいと。果たしてこの二人が同級生だったら、仲良くなったか?と考えるとそうとも限らない。交わらなさそうな二人なのに、この部屋で共同生活しているのがすごく納得ができる。その関係性は難しいバランスですが、絶対に見せたい部分。それをたいちゃん(平)がルカ先輩でいてくださったからこそ、入巣は先輩を追いかけられたと思います。

 しーちゃんこそ、原作や台本をしっかり読んで、入巣のイメージを持って現場に入ってくれました! そこにしーちゃん自身のチャーミングな要素を入巣にも足していたので、私はルカとして「入巣を大切に守らなきゃ!」と思う気持ちが強くなりました。入巣のことになると熱くなっちゃうルカがいるんです。私の方こそしーちゃんが入巣だったから、安心して信頼して言葉を交わせていました。

画像: ――W主演で初共演。ともに過ごす撮影時間が多かったかと思います。お互いのお芝居の印象を教えてください。

――たいちゃん、しーちゃんって呼び合ってるんですね?

久保 早かったよね。

 「久保史緒里ちゃんのこと何て呼ぼうかな…」って考えてた時に「しーちゃんって呼びたいな~」って思っていたんです。女子寮の何日目かの撮影で「しーちゃんって呼んでいいですか?」って(笑)。

久保 そうだそうだ。逆に「何て呼んだらいいですか?」と聞いたら「たいちゃんって呼ばれることが多い」と言っていたので、「じゃあ、たいちゃん!」って(笑)。

 そうだったね(笑)。

――ご自身の役に対してのアプローチはどうされましたか?

久保 入巣の生き方って肯定派もいればそうではない方もいると思うんです。日々をなんとなく生きているところが羨ましく感じました。私は入巣とは真逆で1日の中に何か意味を見出さないと生きるのが難しいタイプ。この撮影期間は、入巣の生活に近づきたくて、いい意味で本当に何も考えずに過ごしました。目の前のことだけで生きることを意識していたので、だからこそルカ先輩を羨ましく思う気持ち、「自分にないものがあっていいな」と思う気持ちが生まれました。

 私の方は、今回、初挑戦のものが多すぎてやることがいっぱいありました。撮影前からバンド練習、ギター練習、歌も練習しました。劇中で4曲くらい歌ったのも初めての経験でした。プライベートで、「スタジオ、入りまーす」と言う経験がなかったので(笑)。普段もルカっぽい性格ではないので、すべてが新鮮でした。でも、夢を追いかけているルカの気持ちは理解できるし、私もこの世界で夢を追いかけている立場なので、ルカの気持ちは一度は通る道だと思いながら、共感できる部分と照らし合わせて演じました。バンドの練習期間で、ルカという人物のベースを作れていったと思います。

――阪元監督からはお二人に役についての説明はありましたか?

久保 本読みの段階でものすごく細かく方向性を定めていきました。入巣は酔ってるし本当に奇想天外な動きをするし、起伏がある役だったので、そのたびに細かくアドバイスしてくださいました。居酒屋のシーンで「急に大きい声出して!」とか。

 監督は入巣に対して指示を出す時、すごい楽しんでましたよね(笑)。

久保 はい。絶対、入巣で楽しんでました。

 監督がやってほしいことを入巣に詰め込みましたという感じ(笑)。急に吐いたりとか。

久保 そう! ありましたね(笑)。

画像: ――阪元監督からはお二人に役についての説明はありましたか?

――ルカに対しては何かありましたか?

 バンドの歌い方についてありましたね。監督もロック系のバンドがお好きで、普段からよく聴いてらっしゃるようなのですが。最初のライブシーンで歌う「脳内ノイズ」という曲の歌い方とか。色んなバンドさんのMVや動画をいっぱい見せてもらい組み合わせて要素を足していきました。バンド練習の時は、監督もスタジオに一緒に入って、自らカメラを回して試行錯誤していました。

――改めて久保さんから見たルカの魅力って何でしょう。

久保 セリフでもあるのですが、自分のやりたいことがある人なんで、入巣にとってはものすごく羨ましい存在でした。でも、ライブハウスで先輩がライブをしている姿を見るのは実はものすごく苦しい感情なんです。今まで寮でずっと一緒に生活してきた先輩が、こんなにたくさんの人の前で激しく歌っている姿を見ると、ルカ先輩がすごく遠い人間に感じてしまう。入巣にとって先輩は影響をもたらす人なんです。かといって、「私も夢を持とう」とならないのが入巣なんですけど(笑)。お互いに影響を受け合いながらも干渉しない距離感が二人の関係の好きなところでした。遠く感じたりものすごく近く感じたり、その距離の差がルカ先輩の魅力だと思います。

 入巣はルカと正反対で、「やりたいことが分からない」「自分に自信がない」のに、寝てる時に歌っちゃうような人。「君には自分が気づいてない才能があるんだよ」というところが、ルカからしたら羨ましいし魅力的。あと、入巣ってちょっとオバちゃん感というか、母性があるんです。ルカからしたら後輩なんですが寄り添って欲しい存在。だから心を開いていて居心地がいいんだろうなと。入巣は自分で気づいてないけど、とっても素敵な女の子なことをルカは気づいていると思います。

――お二人の作品愛を感じます。この「ネムルバカ」そのものの魅力を教えてください。

久保 映画の冒頭から、「この二人、一緒に生活してたっけ?」と思うくらいすっと入ってきて、それがずっと続きます。阪元監督の世界観が、この原作の世界観とすごくマッチしていてそれが大きな魅力になっています。そんな中で、マンガに描かれてない二人の寮での生活が、今回の映画の中で描かれているのが見ていただきたいところです。二人の気持ちは、絶対に誰もが通った道だと思うので色んな方に刺さってくれるといいなと思います。

 どの世代の人にも共感してもらえる刺さる言葉があるのかなと。このご時世、夢がある人・ない人もやりたいことができなくなった時期もあって、そういうなかでも必死にもがいている、悩みは違うんですけど、どこかしら共通している二人の日常劇。出てくるキャストもみんな魅力的で。自分がやってみたかった役のやりたかった世界観なので、入巣をしーちゃんがやってくれて本当によかったなと。作品との出会い、スタッフキャストとの出会い含めて、青春であり、宝物だなと思ってます。

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