⽯川慶監督作品がカンヌ国際映画祭に選出されるのは初めて。カズオ・イシグロ⽒も、1994年にクリント・イーストウッドやカトリーヌ・ドヌーヴらと共にコンペティション部⾨の審査員を務めているが、出品者側として参加するのは初。広瀬すずは2015年に参加した是枝裕和監督作『海街diary』以来2度⽬、⼆階堂ふみは初参加となる。華やかなワールドプレミアに注⽬したい。
2017年にノーベル⽂学賞を受賞し、「⽇の名残り」「わたしを離さないで」など、映画化作品でも⾮常に⾼い評価を受ける作家カズオ・イシグロが、1982年に綴り、王⽴⽂学協会賞を受賞した⻑編⼩説デビュー作品「遠い⼭なみの光」。⾃⾝の出⽣地⻑崎を舞台として繰り広げられる本作は、戦後間もない1950年代の⻑崎、そして1980年代のイギリスという、時代と場所を超えて交錯する“記憶”の秘密を紐解いていくヒューマンミステリー作品となっている。

カズオ・イシグロ氏

『遠い山なみの光』カズオ・イシグロ/小野寺健訳(ハヤカワ文庫)
監督を務めるのは⽯川慶。カズオ・イシグロも⼤ファンだという『ある男』(22)は、⻑編デビュー作『愚⾏録』(17)以来再びヴェネチア国際映画祭オリゾンティ・コンペティション部⾨にてワールドプレミアを迎え、第46回⽇本アカデミー賞では最多13部⾨でノミネート、最優秀作品賞を含む最多8部⾨受賞という快挙を達成し、国内外で⾼く評価された。本作が『ある男』以来3年ぶりの映画作品となる。
近年の⽇本映画のカンヌ国際映画祭「ある視点」部⾨への出品作としては『あん』(15/河瀨直美)、『海よりもまだ深く』(16/是枝裕和)、『PLAN 75』(22/早川千絵)、『ぼくのお⽇さま』(24/奥⼭⼤史)などがある。映画祭の正式上映(上映⽇未定)に合わせての、⽯川慶監督に加え、広瀬すず、⼆階堂ふみの渡航は調整中となっている。
⽯川監督、主演の広瀬すず、⼆階堂ふみよりコメント
⽯川慶監督

⼀報を聞いて、まずは⼼からホッとしました。正直な気持ちです。
この歓びは、これから映画祭に向けて少しずつ実感が湧いてくるのだと思います。
キャスト、スタッフ、関係者の皆さま、⻑崎の⽅々、そしてカズオ・イシグロさんに、⼼から感謝いたします。
本当にたくさんの⼈の思いが込められた作品です。
その思いが、カンヌを通して世界中に届きますように。
広瀬すず

素直にとっても、嬉しく光栄に思います。ゾクゾク不穏な空気が漂っていて、その作品の空気にちゃんとのまれながら⽇々お芝居を楽しませてもらった現場でした。まだ私も完成を観れていませんが、監督たちと、この喜び、幸福感を共有できること、何より嬉しいです。
⼆階堂ふみ

この作品が⽇本に留まらず世界の⽅々に観て頂けること、とても嬉しく思います。
あの時代と今を繋ぐ、素晴らしい作品です。情熱を注いだ⽯川監督、全てのスタッフの⽅々へ、おめでとうございます!
『遠い⼭なみの光』
今夏 全国ロードショー
<STORY>
⽇本⼈の⺟とイギリス⼈の⽗を持ち、ロンドンで暮らすニキ。⼤学を中退し作家を⽬指
す彼⼥は、執筆のため、異⽗姉の死以来⾜が遠のいていた実家を訪れる。⺟の悦⼦は、
⻑崎で原爆を経験し、戦後イギリスに渡ってきていたが、ニキは⺟の過去を何⼀つ聞い
たことがない。夫と⻑⼥を亡くし、想い出の詰まった家で⼀⼈暮らしていた悦⼦は、ニ
キと数⽇間を共にする中で、最近よく⾒るという、ある「夢」について語り始める。そ
れはまだ悦⼦が⻑崎で暮らしていた頃に知り合った、佐知⼦という⼥性と、その幼い娘
の夢だった――。
配給:ギャガ
コピーライト:©2025 A Pale View of HIlls Film Partners