文/八杉裕美子
串田和美(演出)
「長い歴史の中で、お祭りというのは楽しい時だけにやるものではなく、一番人間が苦しい時にお祭りでそれを払おうとしたということがおおもとにあります。『つらい時こそ、お祭りのエッセンスをもう一度思い出そう』という思いで演出をしました」
中村勘九郎(団七九郎兵衛)
「この本当に大変な状況の中、幕を開けることができてとてもうれしいです。この祭りの火が消えなかったというのは、私たち役者、エンターテインメントの人間として、次に進むステップのひとつになったのではないかと思います。世の中、まだまだ油断できない本当に大変な状況ですけれども、いらしてくださったお客様一人ひとりの心の栄養になるように、一致団結して超楽しいお祭りをお見せしますので期待していてください」
中村七之助(団七女房お梶)
「夏祭はお祭りです。このお祭りの音を久しぶりに聞いて、腹の底に眠っている人間の魂の震えみたいなのがあるんですね。これを聞くだけで元気になります。安心安全に公演を行いますし、私たち一生懸命、楽まで務めますのでぜひお足をお運びください」
尾上松也(一寸徳兵衛/徳兵衛女房お辰)
「(夏祭浪花鑑のストーリーの)人は絆や支え合いで繋がっていける、信じあえる、愛し合えるということが、こういう状況下だからこそ、僕たちは全力で懸命にやらなきゃいけないですし、観ていただいたお客様に感じていただけるところがあるのではないかと思います」
取材会見の模様
舞台の模様
渋谷・コクーン歌舞伎 第十七弾「夏祭浪花鑑」
人気世話物「夏祭浪花鑑」、並木千柳・三好松洛・竹田小出雲らの合作により、延享二年(1745)に大坂道頓堀の竹本座で人形浄瑠璃として初演され、当時は人形浄瑠璃の最盛期にあたり、後世に残る数々の名作が生まれた。中でも、大坂の風土や季節感が色濃く反映されている本作は、人々の人気を集め、初演の翌月には歌舞伎として上演され、以来、歌舞伎・文楽の双方でたびたび演じられた。恩ある主人を守るべく奮闘する男だての心意気や、夫のために自己犠牲を厭わない女房の姿など、義理人情がふんだんに盛り込まれた物語。また、全身に鮮やかな彫物をした主人公の団七が、祭囃子にのって様々な見得を見せる「長町裏」は、歌舞伎随一の様式美溢れる場面として見どころだ。
ストーリー
血の気は多いが義理人情に厚い団七九郎兵衛(勘九郎)は、とある喧嘩が原因で牢に入れられていたが、国主浜田家の諸士頭・玉島兵太夫の尽力で解放され、女房のお梶(七之助)、息子の市松(長三郎)と再会する。後日、団七は恩人である兵太夫の息子・磯之丞(虎之介)と、その恋人琴浦(鶴松)の仲が悪人によって引き裂かれようとしていることを知る。そのため団七は、兵太夫にゆかりのある一寸徳兵衛(松也)と、その女房のお辰(松也)、釣船三婦(亀蔵)らと協力して助けようとするが、団七の義父・義平次(笹野高史)だけは彼らの義侠心を踏みにじる。夏祭りの夜、散々に悪態をつく義平次に必死に耐えていた団七は……。
渋谷・コクーン歌舞伎 第十七弾「夏祭浪花鑑」
出演:中村勘九郎、中村七之助、尾上松也、中村虎之介、中村長三郎、中村鶴松、中村歌女之丞、笹野高史、片岡亀蔵 他
演出・美術:串田和美
公演日程:2021年5月12日(水)~30日(日)千穐楽
会場:Bunkamuraシアターコクーン
主催・製作:松竹株式会社/Bunkamura
〈松本公演〉
第7回 信州・まつもと大歌舞伎「夏祭浪花鑑」
公演日程:2021年6月17日(木)~22日(火)
会場:まつもと市民芸術館 主ホール
松本公演主催:まつもと歌舞伎実行委員会
松本公演に関するお問合せ:まつもと歌舞伎実行委員会0263-34-3293(平日9:00~17:00)
◇渋谷・コクーン歌舞伎 第十七弾『夏祭浪花鑑』HP◇
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