映画『劇場』、『キングダム』、Netflixオリジナルドラマ「今際の国のアリス」など、枚挙にいとまがないほどの代表作を持つ山﨑賢人。6月25日(金)公開の『夏への扉 ―キミのいる未来へ―』(原作はアメリカのSF作家ロバート・A・ハインラインが1956年に発表し、ハリウッド映画にも影響を与えた不朽のSF小説)では主演として罠にはめられ全てを失った科学者・高倉宗一郎を演じている。以前からSF作品が好きだったという彼が思う本作の魅力とは。人間そっくりのロボット役を演じた藤木直人や猫との共演エピソードなど語ってもらった。
撮影/加藤 岳 スタイリスト/伊藤省吾(sitor) ヘアメイク/永瀬多壱(ヴァニテ) 文/内埜さくら

――本作への出演が決まった時の感想を教えていただけますか。三木孝浩監督とは再タッグですよね。

「とても嬉しかったですね。三木監督にはデビュー映画『管制塔』(2011年4月9日公開。橋本愛とW主演)でお世話になり、10年経ってまたお仕事がご一緒できるということで。しかも僕自身、タイムトラベルやロボットが出てくるようなSF要素が詰まった作品が好きなので、撮影前からワクワクしていました」

――原作は読みましたか?

「読みました。原作は1956年に発表された作品で時代背景が違うので古典的な感じはしましたが、とてもおもしろかったです。『時間旅行もの』のジャンルを確立させた作品だと聞いたので、この作品から僕が大好きな『バック・トゥ・ザ・フューチャー』や、『スター・ウォーズ』シリーズ、『エクス・マキナ』も続いているのかな、と。やはり時を超える作品はおもしろいですし、人気があるということは、僕だけではなくみんな、時を超えたいんだろうなと。ですが、技術が進歩しても、今も人間は時間旅行ができません。だからこそ憧れるんだろうなと思いながら拝読しました。タイムトラベルは、いつ実現するんでしょうね」

画像1: 《山﨑賢人》映画『夏への扉 ―キミのいる未来へ―』インタビュー

――山﨑さんも、時を超えたい願望を持っているということですか。

「過去に戻りたいとか、自分の未来を見てみたいとは思いますが、時間旅行ができないからこそ、こういう作品がおもしろく感じられるのではないかと思います。もし過去や未来に行くことができるようになったとしても、実現できる時に自分は実行するのかどうかを考えると思います。たとえば過去に戻りたいとしても、戻れなかったら悲しくて切ないので」

――人間そっくりのロボットを演じた、藤木さんと共演した感想もお伺いしたいです。

画像2: 《山﨑賢人》映画『夏への扉 ―キミのいる未来へ―』インタビュー

「めちゃめちゃチャーミングで、すごく魅力的な方でした。カッコいい藤木さんが演じられるからこそ、お茶目で親近感がわくキャラクターになったと思います。役者人生初のロボット役だったとおっしゃっていて、悩みながら演じられたそうで、その姿を僕はずっと興味深く見ていました(笑)。一番笑いそうになってしまったのが、藤木さんが走るシーン。“私は2025年型の、最新式のロボットですよ”と宣言しておきながら、走行する車に簡単に追い抜かれるんです(笑)。三木監督に、“これはギャグシーンですか?”と、聞いてしまいました」

――宗一郎の愛猫、ピートも作中で名演技を見せてくれていますね。

「現場にはパスタちゃんとベーコンちゃんの2匹がいたのですが、あの子たちの芝居には毎日、驚きの連続でした。プロ中のプロというか、すごくお利口さんで。猫のトレーナーさんに“この子、すごいですね!”と伝えたら、“これで食べさせてもらっているので”と真顔で言うので、笑ってしまいました(笑)。 猫のエサのニオイを手に染みつかせて呼び寄せたり、こちらに振り向いてもらえるように声がけして気を引くのは、撮影では初めての経験でした。映画は総合芸術だな、と改めて思った経験でもあります。猫はマイペースで、人に懐かないこともあると聞いていましたが、現場に猫がいるだけで癒やされました」

――ほかに動物を飼った経験は?

「保育園児の頃から15年間ぐらい、豆柴を飼っていました。最終的には柴犬よりやや小さめぐらいの体長になり、“豆柴にしては少し大きすぎない?”と言われてしまうほど成長しましたが(笑)。親に怒られた時に、“僕の気持ちをわかってくれるのはお前だけだよ”と話しかけると、僕の言葉を理解したかのように、ペロペロと舐めてくれるのがとてもかわいかった記憶があります」

画像3: 《山﨑賢人》映画『夏への扉 ―キミのいる未来へ―』インタビュー

――最後に本作の魅力も。

「コロナ禍というこの時代だからこそ、苦境に屈せず大切な人のために、前を見て突き進む宗一郎はみなさんに勇気を与え、共感していただける存在だと思います。個人的にはこういう時だからこそ、この作品を公開する意義があるのかな、と。同時に、作中で宗一郎は騙されてしまいますが、作品をご覧になると、騙されて逃げる側と騙される側、どちらが正解なのか価値観を問われると思います。完成作を観て僕は、どちらかを選ぶなら騙される側が正義だと感じました。人を騙したくないですし、自分がした行いは、いつか自分に返ってくると信じているので。藤木さん演じるロボットと宗一郎のバディ作品でもあるので、短期間で絆を結ぶ2人にも、劇場で注目してください」

PROFILE

山﨑賢人 KENTO YAMAZAKI
1994年9月7日生まれ、東京都出身。

第39回日本アカデミー賞 新人俳優賞受賞

〈近年の主な主演作〉
ドラマ「トドメの接吻」(2018年)
ドラマ「グッド・ドクター」(2018年)
映画『羊と鋼の森』(2018 年)
映画『キングダム』(2019年)
映画『劇場』(2020年)
映画『ヲタクに恋は難しい』(2020年)
Netflix オリジナルシリーズ「今際の国のアリス」(2020年)

〈待機作〉
映画『キングダム』続編
Netflix オリジナルドラマ「今際の国のアリス season2」

STORY

将来を期待される科学者の高倉宗一郎は、亡き養父である松下の会社で研究に没頭していた。ずっと孤独だった宗一郎は、自分を慕ってくれる松下の娘・ 璃子と愛猫ピートを、家族のように大切に思っていた。しかし、研究の完成を目前に控えながら、宗一郎は罠にはめられ、冷凍睡眠させられてしまう。目を覚ますと、そこは 30 年後の 2025 年の東京――。宗一郎は、研究もピートも、すべてを失い、璃子が謎の死を遂げていたことを知る。愕然とする宗一郎だったが、人間そっくりなロボットの力 を借り、未来を変えるために動き出す。璃子を絶対救うという、信念とともに。

映画『夏への扉 ーキミのいる未来へー』

2021年6月25日(金)全国ロードショー

山﨑賢人
清原果耶 夏菜 眞島秀和 浜野謙太 田口トモロヲ 高梨 臨 原田泰造 藤木直人

監督:三木孝浩
脚本:菅野友恵
音楽:林ゆうき
主題歌:LiSA「サプライズ」(SACRA MUSIC)
原作:「夏への扉」ロバート・A・ハインライン(著)/福島正実(訳)(ハヤカワ文庫刊)
製作幹事:アニプレックス 東宝
制作プロダクション:CREDEUS
配給:東宝 アニプレックス
©2021 映画「夏への扉」製作委員会

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