萩原利久×八木勇征 ドラマ「美しい彼」インタビュー

――作品の印象や脚本を読んでの印象をお聞かせください。

八木「まず、タイトルのインパクトが強い作品だなと。スクールカーストのお話から始まり、キングである清居と丁寧な平良の上手くいきそうでいかないドギマギする感じは、コメディー要素がありつつも真を突いたメッセージ性があります。現代の学校で起きている直接的なストーリーだからこそ、“これわかる！”と言ったような共感する部分もありながら、現実的には言い出せないことに、改めて気付かせられるストーリーだと感じました」

萩原「出演が決まった時は、初めてのジャンルなので、そこが自分の中での挑戦だと思いました。演じたことがない役というのは、どのように演じるか緊張しますし、考えたりもします。楽しみと緊張とチャレンジと……。どれかひとつが突出してというより、瞬間的にいろいろな感情が出てきました」

――モノローグも丁寧に描かれていますよね。

八木「モノローグも表面上の自分と自分の中の心情が伝わってくる感じがあり、僕自身も学生時代に思っていたこともたくさんあって、リアルだなと」

萩原「脚本を読んだ時、モノローグがあるので小説のようでした。発している言葉と思っている言葉が、平良は相反している場合が多くて、新鮮で面白かったです。台本にはモノローグの部分で、心の中でどのように思っているのか詳しく書いてあるので、よりリアルに空間を想像できました。監督と話をした時に、モノローグの部分は丁寧に描いていきたいとおっしゃっていたので、人に対して発するオンの言葉と内面で思っているモノローグの遊びの部分を使って、平良の真っすぐさを表現していきたいと台本を読んで感じました」

――なるほど。酒井麻衣監督の演出についてはいかがでしょう。

萩原「酒井監督とは三回目で、全面的に信頼を置いています。演者ファーストな現場を作ってくださって、感情的なシーンであっても、僕らが演じやすいような状態を作ってくださるところが酒井監督の好きなところですね。一番魅力的なのは、綺麗な画を撮影する時の酒井監督のイメージ力と作り方。僕らが思っている何倍も何倍も細かいところまでこだわりを持って作られているなと。特に“美しい彼”に関しては、酒井監督の、こだわりがたくさん詰まっている作品だと思うので、監督の発する言葉を聞いて、できるだけ監督のイメージするものに入っていけるようにしています」

八木「僕は演技経験が少なく、グループのメンバーと一緒にお芝居をしていたので、初めて
1人で外に出て撮影をすることが不安でした。そして、今までは自分自身を演じる役が多く、キャラクターとしての台本の読み方がわかっていなかった時に監督が感情の起伏など、カットがかかるごとに優しくわかりやすくアドバイスしてくださって。説明してくださるからこそ僕自身も勉強になり、監督が考えていることもわかるようになりました。短い期間の中でボリュームがあり濃いものを学ばせていただいています」

――演じているキャラクターとかけ離れている部分や、親近感が持てるような共感する部分を教えていただけますか。

萩原「共感できた部分は、清居をアイドルのような存在で見ているところ。クラスメイトでありながらも届かない人だと思った時に、僕の中で清居という人物がどれぐらいの位置にいるかが明確になってわかりやすかったです。僕はテレビでスポーツ番組をよく観ていて、スポーツ選手のファンでもあるので、それに近い感覚なのかなと。日々のモチベーションにしたり、生活の中に欠かせないぐらい好きなものが、近くに存在して生活が激変する気持ちが良くわかります。かけ離れている点は、僕は平良のようにストーカーのようには追えないですね……。あそこまで好きな人に突き放されたらメンタルが折れます（笑）」

八木「脚本や役の設定資料を見た時に、母親が夜遅くまで働いていて、家に独りで居る時間も多い寂しい幼少期を過ごしているなど、生い立ちや出身地、幼少期の過ごし方が細かく描写されていたんです。テレビの中のアイドルやキラキラした人を観て憧れを持つところや、僕も独りで過ごす時間が多く、それが嫌で友だちと遅くまで遊んだりしていたので、独りで居る時間を少なくしたいという気持ちはわかります。清居は学校でキングのように扱われているけど、心の中では寂しさやどこか虚勢を張っているところなど、共感できる部分がありましたね。かけ離れているところは、あそこまで人に対して強くは言えないです。“キモイ”とか絶対言えないですね……」

――では、最後に見どころをお願いします。

萩原「モノローグが毒を吐いていて面白いです。“言っていることと思っていることが違うじゃん”という瞬間が多々あるのですが、モノローグはその分コミカルに演じているので、そのようなやりとりも見どころの一つです。清居と他のクラスメイトに対する平良のテンションの違いなど、平良の二面的な部分も楽しんでいただきたいです」

八木「映像がとにかく綺麗です。オープニングがコミカルで楽しそうな感じで始まるのですが、ドラマが始まるとコメディー要素もあれば、物語の世界観に入り込んで観入ってしまうシーンや共感する部分もたくさんあると思います。自分が物語に入っている感覚で見ていただけたら、より楽しめる作品になっているので、是非、1話から観ていただけると嬉しいです！」

ドラマ特区『美しい彼』

BLアワード 2015で第1位を獲得した凪良ゆうによる大ヒット小説「美しい彼」の実写ドラマ化。
思うように言葉を発せない「吃音症」を持ち、幼い頃から周囲に馴染めず“ぼっち”を極める高校3年の平良一成と、学校のカースト頂点に君臨する美しくカリスマ的魅力を持った同じくクラスの清居奏の対極な2人の分不相応な恋心の行方を描く。“青春の爽やかさ・儚さ・切なさ”に共感し、「性」の概念を超えて、もどかしくも、キュンとするストーリー展開に目が離せない。
無口で友達もいない“ぼっち”な高校生・平良一成を萩原利久が、そして平良がひそかに憧れる、学校のカースト頂点の「キング」・清居奏をダンス&ボーカルグループ・FANTASTICS from EXILE TRIBEのボーカルの八木勇征が演じる。高校編と大学編が描かれる本作には、大学編で高野洸ほか、高校編には坪根悠仁らが出演。

STORY

言いたい言葉がはっきり伝えられない「吃音症」に悩んでいた、高校3年生の平良一成(萩原利久)は、幼い頃から周囲に馴染めず、友達がいない。趣味に、と両親が買ってくれたカメラで、何気ない日常を写しては、自分の人生に半ば諦めを感じていた。そして迎えた、高校最後の新学期のクラス替え。平良はいつも以上に緊張し、自己紹介で「吃音」が出てしまい、自分の名前が言えなくなってしまう...。しかし、絶妙なタイミングで同じクラスの清居奏(八木勇征)が入ってきたことにより、クラスの空気が一変し、偶然にも助けられる。このことがきっかけで、平良は清居らのグループからパシリにされてしまうが、意外にも苦ではない様子で...!?というのも平良は、清居をひと目みた瞬間から、強烈に恋に堕ちてしまったのだった。
一方、クラスの中心人物である清居はクラスメイトには内緒で、ある夢を追っていた。しかし、平良に気づかれてしまい「2人だけの秘密」ができる。平良はそれに浮かれ、憧れを抱く清居への感情はいったい何なのか、自分の中でも分からなくなっていた。そんな中、グループ内での力関係が変わる出来事が起き、二人の関係は急展開!?純粋でまっすぐな初恋が動き出す―。

PROFILE

萩原利久　RIKU HAGIWARA
1999年2月28日生まれ、埼玉県出身。

〈近年の主な出演作〉
ドラマ「3年A組-今から皆さんは人質です
-」（2019年）
ドラマ「電影少女 –VIDEO GIRL MAI 2019-」（2019年）
ドラマ「大江戸スチームパンク」（2020年）
ドラマ「鈍色の箱の中で」（2020年）
ドラマ「#リモラブ～普通の恋は邪道～」（2020年）
ドラマ「ライオンのおやつ」（2021年）
映画『アイネクライネナハトムジーク』（2019年）
映画『恐怖人形』（2019年）
映画『花束みたいな恋をした』（2021年）
映画『Bittersand』（2021年）
〈待機作〉
映画『牛首村』（2022年公開予定）

八木勇征　YUSEI YAGI　
1997年5月6日生まれ、東京都出身。
FANTASTICS from EXILE TRIBEのボーカル

〈近年の主な出演作〉
ドラマ「マネキン・ナイト・フィーバー」（2020年）
舞台「BACK TO THE MEMORIES」(2021年)
EXILEデビュー20周年を記念した企画「EXILE TRIBUTE」
「FANTASTICS FROM EXILE」(2021年12月15日リリース)

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