水谷豊監督作として注目を集める6月3日より公開の映画『太陽とボレロ』。解散の危機に瀕した地方都市のアマチュア交響楽団を舞台に繰り広げられる物語で、町田啓太は交響団員のトランペット奏者・田ノ浦圭介役を演じている。「いつかご一緒したいと思っていた」という水谷監督との現場で感じたことや、吹き替え無しで挑んだオーケストラとの演奏シーンで得た特別な思いなどを明かしてくれた。また6月6日発売のSCREEN+Plus vol.79では、「布団をかぶって練習した」というトランペットの練習エピソードや、町田にとっての音楽とは?などの質問にも答えてくれた。
撮影/奥田耕平(THE96) スタイリスト/Eiji Ishikawa(TableRockStudio) ヘアメイク/Kohey(HAKU) 文/瀧本幸恵

–––水谷豊監督の作品に出演が決まった時の印象を教えてください。

「テレビなどで拝見していた印象も、これまでの監督作からも、温かみのある素敵なお人柄なんだろうなと想像していたので、いつかご一緒したいと思っていたんです。だから今回の出演が決まった時は本当に嬉しかったです」

画像1: 町田啓太『太陽とボレロ』インタビュー「プロの方と一緒の空間で演奏ができることなんて今後の人生でもうないだろうと思うと、本当にスペシャルな出来事」

–––実際にお会いしてみていかがでしたか。

「イメージそのままでした。僕らと同じ目線に合わせて会話をしてくださって、いつも寄り添ってくださいました。とにかく監督が作品を作ることが本当に好きなんだろうな、というのが現場にいて伝わってきて。毎日楽しそうにされているので、僕らも楽しくなりました。本当にこの仕事に対して愛があるんだなと。ご提案いただくアイディアも一つひとつが多彩で素晴らしいものばかりで勉強になりました。今回、コメディタッチなシーンがたくさんあるんですけど、そういうところの提案をしてくださる時とかは、“ふふふ”って含み笑いをしながら僕のところに寄って来られるので、“すごく楽しいことを思いつかれたんだろうな”という感じで(笑)。僕が言うのもおこがましいですが、すごくチャーミングな方だなと思いました」

画像2: 町田啓太『太陽とボレロ』インタビュー「プロの方と一緒の空間で演奏ができることなんて今後の人生でもうないだろうと思うと、本当にスペシャルな出来事」

–––その水谷監督からは具体的にどんな演出がありましたか。

「圭介は鶴間(石丸幹二)が社長の中古車販売センターで働いていて、課長役のHideboHさんとのやり取りが多いんですけど、ある時、車が壊されるという事件が起きるんですね。そこで課長と犯人捜しをする時の圭介のちょっと面白い反応は、現場で監督から“もうちょっと犯人捜しをやってみよう”と言われてできたシーンでした。あとは圭介が課長にお説教をされるシーンで、返事はするけど全然聞いてないみたいな態度も、監督からのアイディアでした。理子(檀れい)と鶴間の後をつけるシーンも、僕にはあんな動きをすることは台本を読んだ時点では全く想像していなかったです。監督はいつも実際に演じて見せてくださるんですけど、それが抜群に面白いんです。だからこちら側のハードルが上がって、自分が出来るかどうかプレッシャーもありましたが、そこに挑戦するのも楽しくて。笑いを堪えながら演じているシーンもたくさんありました」

画像3: 町田啓太『太陽とボレロ』インタビュー「プロの方と一緒の空間で演奏ができることなんて今後の人生でもうないだろうと思うと、本当にスペシャルな出来事」

–––キャストのみなさんが吹き替えなしで演奏したプロのオーケストラとのシーンはいかがでしたか。

「しびれましたね。本当に素晴らしい音がすぐそこにあって、客席で聴くのとは全然違いました。僕に指導してくださった先生も隣で演奏をしていて、プロの方と一緒の空間で演奏ができることなんて今後の人生でもうないだろうと思うと、本当にスペシャルな出来事でした。なんか変な自信もついてしまって(笑)。達観したような不思議な気持ちに陥っていました。映画の中の一シーンでお芝居をしているんですけど、芝居では感じられない高揚感と言いますか、リアルな感覚がとても上質でした」

画像4: 町田啓太『太陽とボレロ』インタビュー「プロの方と一緒の空間で演奏ができることなんて今後の人生でもうないだろうと思うと、本当にスペシャルな出来事」

–––完成した作品でそのシーンを観た時はどう思いましたか。

「気恥ずかしさはありましたけど、感動しました。序盤、僕は演奏を聴いているところから始まるのですが、そのシーンからもう鳥肌が立っていました。音楽の力ってすごいなと。音楽はマジックという言葉がありますけど、この映画もまさにそうだなと感じました」

–––クラッシックに触れてみての感想は?

「これだけ長く多くの人に愛されているのにはやっぱり理由があるんだなと。僕は音楽に詳しくないですが、本当にちょっとしたことで演奏が全く変わるのを実感しました。演奏する側を経験したことで気づけたこともたくさんありました。“音楽ってこんなにも表情が豊かなんだ”、“情景もこれだけ想像できるんだ”と。例えば映画だったら1、2時間を使って一つの物語を見せる訳ですけど、音楽はもっと短い時間に凝縮して物語を見せることができるのがすごいなと。いかようにも想像できるし、自由度があるんです。クラッシックは自由度がないと思っていたのですが、すごく自由なんだって思いました」

画像5: 町田啓太『太陽とボレロ』インタビュー「プロの方と一緒の空間で演奏ができることなんて今後の人生でもうないだろうと思うと、本当にスペシャルな出来事」

–––映画『チェリまほ THE MOVIE ~30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい~』の監督の風間太樹さんが、町田さんは考え抜いて演じるタイプとおっしゃっていたのですが、今回も同じような手法で演じられたのでしょうか。

「毎回、いろんな手法を試しながらやっているので、違う部分はあると思います。統一してできるだけ考えようとはしますが、作風や演じるキャラクター、携わる人たちによってアプローチの仕方は違ってきます。特に今回は水谷監督の作品なので、そこにどれだけ自分の頭を共有させることができるか、ということが大きかったです。そこにアンテナを張ることはとても意識していました。監督の演出やアイディアに純粋に反応できるように、常に身軽でいることを考えていました」

–––基本的には思考派、感覚派というのはありますか。

「僕個人の考え方としてはどちらも絶対に必要だと思います。何も考えず出来てしまう人はすごいとは思いますけど、それにしてもセリフのことは考えたりするじゃないですか。アプローチの仕方は人それぞれだと思いますが、僕はノープランで現場に行けるほどの自信がないので、ちゃんと自分の中でいろいろ考えてから行きます。その上での感覚や本能だと思っています。インプットを左脳でして、アウトプットを右脳でするみたいなことを言ったりしますけど、やっぱりバランスが大事だと思うんです。頭でっかちになってしまっても膨らみがなくなるし、自由にやり過ぎたら作品を壊しかねない。だからバランスをみることは大事にしているかもしれないですね」

画像6: 町田啓太『太陽とボレロ』インタビュー「プロの方と一緒の空間で演奏ができることなんて今後の人生でもうないだろうと思うと、本当にスペシャルな出来事」

–––最後に本作を楽しみにしている方々にメッセージをお願いします。

「チャーミングなキャラクターたちが織り成す素敵な物語になっていて、どの年代の方が観ても楽しめると思います。そして、絶対に劇場で観ていただきたいです。音の環境の良いところで観ていただけるとより楽しんでいただけると思います。交響楽団の解散を機に登場人物たち一人ひとりのライフスタイルが変化していくのですが、そこでもがきながらも最後はポジティブな気持ちに変わっている。解散は、消極的なイメージがあると思いますが、それを自分たちの心持ちによってポジティブに変えることができる。そういうものがすごく伝わってくる作品なので、今の世の中にすごく良いと思います。ぜひたくさんの方に観ていただけたらと思っています」

画像: 町田啓太さん:映画『太陽とボレロ』コメント youtu.be

町田啓太さん:映画『太陽とボレロ』コメント

youtu.be

PROFILE

町田啓太 
MACHIDA KEITA
1990年7月4日生まれ、群馬県出身。

〈近年の主な出演作〉
ドラマ「西荻窪 三ツ星洋酒堂」(2021年)
ドラマ「JAM -the drama-」(2021年)
大河ドラマ「青天を衝け」(2021年)
ドラマ「SUPER RICH」(2021年)
ドラマ「僕を主人公にした漫画を描いてください!それをさらにドラマ化もしちゃいます!!」「ダメな男じゃダメですか?」(2022年)
映画『チェリまほTHE MOVIE 〜30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい〜』(2022年)
「漫画家イエナガの複雑社会を超定義」(放送中)

〈待機作〉
ドラマ「テッパチ!」(2022年7月より放送)

画像7: 町田啓太『太陽とボレロ』インタビュー「プロの方と一緒の空間で演奏ができることなんて今後の人生でもうないだろうと思うと、本当にスペシャルな出来事」

映画『太陽とボレロ』

“クラシックのオーケストラ”を題材に音楽を愛する普通の人々の人間模様を描いた洒脱なエンターテインメント作品。メガホンをとったのは、本作が3作目となる水谷豊監督。さらに監督自らが筆を執ったオリジナル脚本。アマチュア交響楽団の主宰者である主人公・花村理子を演じた主演の檀れいをはじめ、石丸幹二、町田啓太、森マリアらが出演。オーケストラメンバーは、本作出演にあたり演奏シーンに応えるため、楽器を猛特訓している。キャスト陣の演技とともに演奏にも注目だ。

画像: 映画『太陽とボレロ』

STORY

ある地方都市のアマチュア交響楽団。主宰者である主人公の花村理子(檀れい)は18年間、個性豊かなメンバーとともに活動してきた。みんな音楽を愛する普通の人々。しかし、楽団の経営は苦しく必死に奔走する理子だったが、ついに楽団の歴史に幕を閉じる決断を迫られる。そして、最後にして最高のコンサートがはじまる!

映画『太陽とボレロ』

6月3日(金) 全国ロードショー

出演:檀れい、石丸幹二、町田啓太、森マリア
   田口浩正、永岡佑、梅舟惟永、木越明、高瀬哲朗、藤吉久美子、田中要次
   六平直政、山中崇史、河相我聞、原田龍二、檀ふみ
   水谷豊

監督・脚本:水谷豊
制作プロダクション:東映東京撮影所 東映テレビ・プロダクション
配給:東映

©2022「太陽とボレロ」製作委員会
公式 HP:sun-bolero.jp

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