hideの実弟・松本裕士の著書「兄弟 追憶の hide」(講談社文庫刊)をもとに、hideが遺した音楽を世に届けるため奮闘する弟と仲間たちの軌跡を描いた、映画『TELL ME 〜hide と見た景色〜』が 2022年7月8日(金)に全国公開。本作の主演を務めるhideの弟でありhideのパーソナルマネージャーを務める裕士役の今井翼と、hideと音楽制作をともにしたI.N.A.役の塚本高史の偉大なるロックスターhideを好きな同年代2人に、作品へのアツい想いをインタビューした。
撮影/稲澤朝博  スタイリスト/[今井]渡邊奈央(Creative GUILD)、[塚本]上井大輔 ヘアメイク/[今井]中谷圭子(AVGVST)、[塚本]YASU
衣裳/[今井]AKM 、[塚本]シャツ¥26,400(PaulSmith/Paul Smith Limited 03-3478-5600)ジャケット¥46,200、スニーカー¥35,200(ともにATTACHMENT/Sakas PR 03-6447-2762)その他スタイリスト私物

――出演が決まった時の心境を教えてください。

今井「お話をいただけた時は嬉しかったですね。僕自身、はじめてロックバンドに出会ったのが小学6年生の「X JAPAN」で、そこから好きで、hideさんも好きで、(塚本)高史くんほどそんなに、あの――」

画像1: 今井翼×塚本高史 『TELL ME ~hideと見た景色~』インタビュー「hideさんを近くに感じたんです。hideの魂はここにある(今井)」

塚本「同じくらいだと思いますよ」

今井「いやいやそんなに細かくは。わからないことのほうが多いんですけど、ただやっぱり元々ファンだったからこそ光栄でしたし、その反面裕士さんを演じるということに関しては、すごく身の引き締まる思いになりました」

塚本「(2015年にhideのドキュメンタリー映画のナレーションを担当していて)まさかまたhideちゃんの映画に携わると思っていなかったですけど、僕じゃなければ嫉妬していただろうし、ほかの人が演じていたら観ていないと思うので(笑)、嬉しかったですね。そして、ライブのシーンが再現できると思って楽しみにしていたんです。だけど、コロナ禍で撮影が1年延びてしまって今年は何があっても完成させるということでライブのシーンも細心の注意を払って撮影しました」

画像2: 今井翼×塚本高史 『TELL ME ~hideと見た景色~』インタビュー「hideさんを近くに感じたんです。hideの魂はここにある(今井)」

――実在の人物を演じることは難しいことだったかと思いますが、演じる上で意識したことがありましたか?どんな点を意識されましたか?

今井「僕が演じた裕士さんは表に出る方ではないので、原作「兄弟 追憶の hide」(講談社文庫刊)や、それに基づいた脚本を読んだ上で、正直、撮影現場に行ってみないとどういう気持ちになるのか、わからないなと思ったんです。役柄を決め打ちでいくと僕自身が、違和感を覚えると思いました。それは、兄弟でありながら、普通の兄弟ではあり得えない関係になって、突然アーティストhide、兄としてのhideを失って、そこでようやく気づく思いもあったと思うんです。そこからhideさんを亡くした芝居に重点を置いて進んでいく中では、このストーリーと同じように稲田(I.N.A.)さんという存在があって、裕士も人間として成長していくその過程も大事に丁寧に描きたいという思いで演じていました」

塚本「実在する人ということで、僕もいちhideちゃんのファンなので、ファン目線からして裏切りのないような描き方をしたかったです。I.N.A.という役を全うしたかったので、僕が見てきたhideちゃんや、hide with Spread Beaver、I.N.Aさん.、亡くなったあとの残された人たち、ファン代表ではないですが、ファンがみてもウソだよねと思われないような、ウソのないように描きたいなと、そこを一番に心がけながら演じていました。ある種ファン目線が8割くらいあったかもしれません、僕は。裏切りたくなかったですし、もちろん映画なので娯楽なのですが、エンタテインメントではないというか、hideちゃんのファンが観たいのか、観たくないのかを考えた時に、やるからにはファンが納得するようなものを作りたかったので、そこが一番自分の中では大きかったかなと思います」

――同年代のお2人は今回が初共演になるのでしょうか。

画像3: 今井翼×塚本高史 『TELL ME ~hideと見た景色~』インタビュー「hideさんを近くに感じたんです。hideの魂はここにある(今井)」

今井・塚本「そうですねー」

塚本「もう6~7年くらい前ですかね、役者の先輩から呼ばれて行った場所に、翼くんとその先輩がいて。その時に初めて挨拶したのかなと思います」

今井「高史くんは覚えてないかもしれないけど、それより前にイベントのバックステージで、一緒にいた仲間が高史くんと話しているのを見かけていました。でもちゃんと挨拶してお話したのは、先ほど高史くんが言っていた先輩を介してですね」

塚本「その時を経て、今回はお互いがお互いの役を演じるというスタンスでしたので、プライベートで会っていた時とは違う感じはもちろんしました」

今井「高史くんはいろんな作品にたくさん出ていて、それは僕も観ていたし、今回高史くんが現場にいたことはすごく僕としても大きかったです」

画像4: 今井翼×塚本高史 『TELL ME ~hideと見た景色~』インタビュー「hideさんを近くに感じたんです。hideの魂はここにある(今井)」

――共演してみてお互いの印象や感じたことはありましたか。

塚本「お互いの役が、残された2人だったので、ファンやhideちゃん、XJAPANのことなどありますけど、各々が与えられた役で考えてきたもの、思っているものを現場で言葉を交わさなくても、お芝居の中で、“そういうふうに思ったんだ”ということを尊重しながら、リスペクトし合いながらできたなと、撮影中そう感じていました。“ああしよう、こうしよう”というような会話はなかったです。I.N.A.なりに思っているもの、裕士なりに思っているものがお互いに芯があって、そこに翼くんの想いや僕の想いがあるので、そこを尊重し合いながら進めていけたなという印象があります」

画像5: 今井翼×塚本高史 『TELL ME ~hideと見た景色~』インタビュー「hideさんを近くに感じたんです。hideの魂はここにある(今井)」

今井「まさに高史くんがいてくれたおかげで、迷いや悩みを抱えている裕士を、同じような経験を自分の中からつまみ出して演じられたと思います。丁寧に作っていきたいという想いの中で、I.N.A.さんを演じる高史くんが芝居を通して、どんな球を投げてもI.N.A.として裕士に言葉をかけてくれるということがあったから、僕は自己評価できないですけど、だからこそ成立したんだと思っています」

塚本「当初、初日にラストシーンを撮影する予定だったんです。晴れ晴れとした2人のシーンなんですけど、ラストシーンまでの葛藤がすっぽり抜けてるので、どういう感じで撮るのかなと思っていたんです。実際、現場で翼くんに会った時に、“どう、緊張する?高史くんは緊張しないでしょう?僕、すごい今緊張しているんだ”というのを聞いて、裕士っぽいなと思いました」

画像6: 今井翼×塚本高史 『TELL ME ~hideと見た景色~』インタビュー「hideさんを近くに感じたんです。hideの魂はここにある(今井)」

――撮影現場の雰囲気はいかがでしたか?

塚本「翼くんの役は“わー”っとするような役ではないので裕士に徹していましたけど、僕はhide with Spread Beaverの面々とのシーンも多いので、時にまとめたり、時に一緒になってふざけることもありました。そこを客観的に見ている裕士役の翼くんという印象的な感じがありました」

画像7: 今井翼×塚本高史 『TELL ME ~hideと見た景色~』インタビュー「hideさんを近くに感じたんです。hideの魂はここにある(今井)」

――役作りでもあったということでしょうか。

今井「役作りというわけではなく、みんなのことが好きですけど、特別そのhide with Spread Beaverを演じるキャストの輪の中に入ろうというよりも、自然とその芝居に向き合っているからこそ、客観的な見方をしていたのかもしれないです」

画像8: 今井翼×塚本高史 『TELL ME ~hideと見た景色~』インタビュー「hideさんを近くに感じたんです。hideの魂はここにある(今井)」

–––演出面で塚本監督と何かディスカッションしたり、リクエストされたりしたり印象に残っていることはありますか?

今井「兄であり、アーティストhideが亡くなってどうしようもない想いを抱え警察から事情聴取を受ける芝居は、僕の中ではもっと“そうじゃなくて!”と振り絞ってもいいのかなと思ったところもあったのですが、監督とのディスカッションであのような形になりました。冷静に考えても見返してみても、その方が良かったと思いましたし、監督と僕の共通認識となるお芝居になったのかなと思います」

塚本「僕は監督とはドラマで何度もご一緒させていただいていたので、今回映画は初めてですが、現場で監督にわがままを言わせていただいたなと思っています。2人(裕士とI.N.A.)で会見に臨むシーンでは、用意されていた現場は残っている映像と入ってくる位置が左右逆だったんです。僕が見ていたのは逆だったので、“監督、どうにかならないですかね”とわがままを言わせていただきました。“塚本くんがそう言うなら”と、扉は本当にはその方向にはないんですけど、本物の会見の方向から登場するように、快く“いいよ”と言ってくださいました。そのシーンは印象に残っています」

画像9: 今井翼×塚本高史 『TELL ME ~hideと見た景色~』インタビュー「hideさんを近くに感じたんです。hideの魂はここにある(今井)」

――hide with Spread Beaverのみなさんは、ライブシーンの撮影に1年半かけて準備したとお聞きしています。撮り終えたライブシーンはどのように感じましたか?

画像10: 今井翼×塚本高史 『TELL ME ~hideと見た景色~』インタビュー「hideさんを近くに感じたんです。hideの魂はここにある(今井)」
画像11: 今井翼×塚本高史 『TELL ME ~hideと見た景色~』インタビュー「hideさんを近くに感じたんです。hideの魂はここにある(今井)」

今井「完成したものを観た時も、撮影したライブ会場でも、演奏する各メンバーの姿一人ひとりが、すごいカッコよくて!バンドとして1つになって音を奏でるということを超えて、リーダーであったhideさんに思いを馳せて、一人ひとりが同じ思いでやっている姿は、現場で観ていても映像で観てもそこに僕は何の温度差も感じなかった。それこそが、やっぱりみんなの結束力のすごみだと僕は思いました」

塚本「1度撮影が延期になった時、裏を返せばいい期間だったと思うんです。というのも、D.I.E.役のくぼ(ゆうき)くんは、普段はお笑い芸人をやっていて、楽器はピアノの経験があったようですが、その期間にキーボードの動きを研究したそうです。僕がリハーサルに参加させていただいた時、僕が今まで見てきた、好きだったhide with Spread Beaverの面々がもうそこにはいました。ライブシーンに挑む前の顔合わせみたいな時は、何の心配もなかったですし、逆に僕が“ああしよう、こうしよう”という前からこの時“I.N.A.ちゃん、こう動いていたよね”と言ってくれて、hide with Spread Beaver役のメンバーとはディスカッションをしながらあのライブシーンは作れました。そこには残っている映像、本物が残っているので、その映像と照らし合わせながらウソのないようにできたと思います」

――撮影中の印象に残っている出来事やエピソードがありましたらお願いします。

今井「いくつもあると思うんです。でも、ごめんなさい、答えになっていないかもしれないですけど、僕はこの裕士を演じる上で、これは裕士さんひいては高史くんも言っていたようにこれを観てくださる、観ようかなと思ってくださるhideさんファンの方々に対しても、きちんとした意思をもって務めたいという想いがあったので、かつ役柄的に自問自答や葛藤や思ったことが上手く進まないというシーンを演じるにあたって、余裕がなかったりで、芝居のことは覚えていますけど、どこで何があったかは記憶にないくらいだったんです」

画像12: 今井翼×塚本高史 『TELL ME ~hideと見た景色~』インタビュー「hideさんを近くに感じたんです。hideの魂はここにある(今井)」

塚本「そういう翼くんを見ているのは、すごく印象に残っています。撮影以来、久しぶりに翼くんにこの取材で再会したんですけど、“ここで撮影したね”と言ったら“覚えてないんだよ”と返ってきたので、それくらい裕士になって没頭していたということで、翼くんがいたからこそ、このI.N.A.と裕士の関係も、撮影も進んでいったんだなと思います」

画像13: 今井翼×塚本高史 『TELL ME ~hideと見た景色~』インタビュー「hideさんを近くに感じたんです。hideの魂はここにある(今井)」

――最後に作品の見どころを交えてメッセージをお願いいたします。

塚本「本当のファンの人だと観たい反面、思い出したくないという人もいるかもしれないですが、エンタメの世界にいる僕らからすると観てもらわないとしょうがないので、アピールするしかないんですけど、うーん、難しいですね。もし観るのを迷っているようであれば、観て賛否両論でいいと思います。僕は観た後に、僕が小さい頃に好きになった永遠のロックスターが亡くなって、残された人たちのファンに向けての1つの区切りに感じました。劇中にはhideを食いものにしたり、お金のためなのかと中傷するファンの姿も描かれていますが、そんなファンに向けて観終わった時に納得するようなそんな気持ちを抱いたんです。だから観たくないとか、hideを食いものに映画にと思っている人がもしいるのならば、観てくださいという思いです。当時ファンの人たちもどうしていいかわからない想いを持っていて、同じように身近にいた人たちも同じ気持ちだったんだよということがこの映画を通じてファンの人に届けばいいなと思っています。これからhideちゃんを知る人にもずっと好きだったファンの人たちにもウソ偽りなく伝わればいいなと思います」

今井「たくさんの方に支持をされたhideさんならではの思想というものが、この作品だからこそ再発見できます。hideさんが亡くなったあとに重点を置いて描かれていて、実際に関わっていたバンドメンバーやスタッフ一人ひとりが戦いながらも必ず実現するんだというあきらめない姿というのは観てくださる方に純粋に希望を感じてもらえたらありがたいです。どんな作品もそうですけど、役者陣もスタッフの方々も誠心誠意敬意を表して、またそれから賛否両論はあるかもしれないですけど、やっぱりhideさんのファンに観ていただきたいという気持ちをみんな強く思って作ってきたんです。僕は完成したものを観た時にhideさんを近くに感じたんです。この作品の中で、hideの魂はここにあると、劇中のレコード会社の代表が言う言葉にあるように。月日は流れていますが、あれだけ人に愛されたロックスターというのはそう簡単には出てこないと思いますし、hideさんが残した想いというのを残された人たちが、どんなことがあっても絶対かたちにするんだという想いで突き進んだように、今コロナでつらい思いをされている方もたくさんいると思いますが、僕たちの仕事はおこがましいけど、少しでも観てくださる方の何か気持ちにちょっとでもいいからプラスになれたら嬉しいという思いでやっています。だからこの作品で前を向いていこうという気持ちになっていただけたら嬉しいです。それからライブシーンにしても、ものすごく充実しているのでhideさんの魂、想いを感じながらこのhideさんの音楽をぜひ楽しんでいただきたいです」

画像14: 今井翼×塚本高史 『TELL ME ~hideと見た景色~』インタビュー「hideさんを近くに感じたんです。hideの魂はここにある(今井)」

PROFILE

今井 翼 IMAI TSUBASA
1981年10月17日生まれ、神奈川県出身

画像1: PROFILE

塚本高史 TSUKAMOTO TAKASHI
1982年10月27日生まれ、東京都出身

画像2: PROFILE

STORY

1998年5月2日、X JAPAN のギタリストとして、ソロアーティスト(hide with Spread Beaver/zilch)として活躍していた、日本を代表するロックミュージシャン hideが急逝。葬儀には約5万人が訪れ、日本中が早すぎる別れに涙し社会現象に。hideのマネージャーを務める弟・松本裕士(ひろし)は、兄hideと過ごした子供時代から今までの日々を思い返していた―。

制作途中だったアルバム、そして既に決定していた全国ツアー、hide の音楽を世に届けたい。兄の意志を継いだ裕士は、hideと二人で楽曲を制作していたhideの共同プロデューサーI.N.A.ら仲間たちとともに動き出す。hide 本人不在という異例の状況下で奮闘する裕士と I.N.A.だったが、彼らの前に様々な困難が立ちはだかる...。

画像15: 今井翼×塚本高史 『TELL ME ~hideと見た景色~』インタビュー「hideさんを近くに感じたんです。hideの魂はここにある(今井)」

『TELL ME ~hideと見た景色~』

7月8日(金)公開

出演:
今井翼 塚本高史
JUON津田健次郎 細田善彦
川野直輝 / SHINGO☆ 笠原織人 くぼゆうき 片岡麻沙斗
朝倉伸二 山下容莉枝/ 田島令子

監督:塚本連平 脚本:福田卓郎 塚本連平
原作:松本裕士「兄弟 追憶の hide」(講談社文庫刊)
原案協力:I.N.A.「君のいない世界~hide と過ごした2486日間の軌跡~」(ヤマハミュージックエンタテインメントホールディングス刊)
配給:KADOKAWA
製作:映画「TELLME」製作委員会

©2022「TELLME」製作委員会

公式サイト:https://movies.kadokawa.co.jp/tellme/
公式Twitter & Instagram:@tellme_movie

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