阿部寛×内田英治監督のタッグでおくる映画『異動辞令は音楽隊!』の初日舞台挨拶が、8月26日都内劇場にて行われた。

第44回日本アカデミー賞で最優秀作品賞ほか数々の賞に輝いた『ミッドナイトスワン』を手掛けた内田英治監督の最新作『異動辞令は音楽隊!』が、8月26日(金)に全国公開を迎えた。
YouTubeで偶然目にした警察音楽隊のフラッシュモブ演奏の映像をみた内田監督は、そこから着想を得てオリジナル脚本を執筆。
主人公の警部補・成瀬司は、30年間現場一筋の鬼刑事。コンプライアンスを問われるこの時代に、犯人検挙には手段を選ばない行き過ぎた捜査を行なったことで、最前線の刑事から広報課内の<音楽隊>への異動辞令という青天の霹靂から始まる爽快なヒューマンドラマ。

主演は日本映画界・ドラマ界を牽引し、どんな役をもモノにする圧倒的演技力とお茶の間の
抜群の好感度、そして唯一無二の存在感をもって常にトップに立ち続ける阿部寛。わき目もふらずに一心不乱に働いてきたミドル・エイジの奮闘と生き様を体現する。
そして、清野菜名、磯村勇斗、高杉真宙と、光石研、倍賞美津子ら日本映画界の重鎮たちが脇を固める。

初日舞台挨拶

8月26日(金)、都内劇場にて『異動辞令は音楽隊!』初日舞台挨拶が開催され、主演の阿部寛をはじめ、清野菜名、磯村勇斗、高杉真宙、モトーラ世理奈、内田英治監督の総勢6名が登壇した。

一番好きなシーンについて

阿部寛「(好きなシーンとして自身が演じた成瀬が)段階を踏まえて、だんだん音楽を好きになっていくところで、教会に練習をしに行って、清野さんが演じる来島が泣いている姿を見て、このあたりから徐々に展開が変わっていきますが、そこは透明感があってすごく好きです」

清野菜名「(阿部寛との共演をふり返り)どのシーンの合間でも、ずっとドラムのスティックを持って練習をされていて、その姿に勇気をもらえたし、すごくカッコいいなと思えました。一番のお気に入りのシーンは、クライマックスでの全員での演奏のシーン。撮影の前にも、みんなで集まって練習してました。撮影前は緊張して『演奏する人たちはこういう気持ちになるんだ...』と緊張感とワクワク感があり、 会場を包む、(人々の心を)ひとつにする音楽の素晴らしさ感じたシーンで、大好きです」

モトーラ世理奈「私も大好きなシーンで、このシーンは、みんなで演奏して表現して、音楽の力をブワーッと感じました。ですが、(フラッグを回すパフォーマンスは、落としてはいけないという不安もあって、)あの日の撮影が終わるまで、ずっと手に汗を握っている感じでした...」

磯村勇斗「冒頭のシーンで、TVでバイきんぐさんのコントが流れてるんですけど、あれが気になって...。なぜバイきんぐさん...(笑)? 監督なりの狙いがあるのかなって気になりました」

内田監督「なかなか難しい質問ですね(笑)。普通の日常に流れているお笑いとかバラエティがいいなと思ったんですが、単純に (バイきんぐが)好きってだけです(笑)。悩んだ時は、なるべく自分の好きなものを使うようにしています」

高杉真宙「阿部さん演じる成瀬さんが、初めて音楽隊が練習する教会に来るシーンが好きです。雑多な感じがあって、こ れから音楽に出会っていくという感じが好きだし、卵のパックが並んでいるのにも感動しました」

ーーMC「高杉さん、主演の阿部さんの印象は?」

高杉真宙「背が高い(笑)!僕は斜に構えた役で、阿部さんに突っかかることが多かったので、(阿部さんに)近づいた時は『来た!』って緊張感が走る感じがありました」

阿部寛「(そのシーン)僕も好きです。(成瀬のような)こういうキャラの人に対して、(高杉さんらが) 反抗してくるのが好きですね。『よく来てくれた、若いのに』って思ってました(笑)」

苦労したシーンについて

阿部寛「(ラスト近くでの磯村さんとのやりとりについて)監督が(磯村さんがセリフを言うところを)何回も粘って、10テイクを超える数をやったんです。僕のほうがだんだん緊張してきて、(磯村さんに対して) 『頑張れ』という顔になってきて(笑)、『抑えなきゃ!自分の芝居に入んなきゃ!』って思っていました」

磯村勇斗「1回目の芝居の後で、監督から『毛穴から感情を出してくれ』という演出をいただいて(笑)、 『“毛穴から”って初めて言われたな...。どうやって...?』と混乱しました。でもずっと阿部さんが目の前で芝居を受けてくださって、それを感じて、最終的にああいう芝居になりました。なかなか何回もやらせてもらえる現場ってないので、内田組は素敵だなと思いました。(10回を超えるテイクで)最初は『阿部さん、申し訳ないです』という気持ちだったんですけど、後半はそれどころじゃなくなって、周りが見えなくなって『ヤバイ!ヤバイ!』と焦っていました(苦笑)」

高杉真宙「成瀬さんのお母さんを演じた倍賞(美津子)さんをパトカーに乗せて、運転するシー ンは緊張しました!普段、運転はあまりしないので『倍賞さんを乗せて運転するのか!』って。倍賞さんは『事故ったときは事故った時よ!』って(笑)。カッコいいなと思いました」

内田監督「(運転したのは)5 メートルくらいですけど(笑)!」

会場「(笑)」

内田監督「ちょっと後ろめたかったんです...。僕が想定した演奏にまで持っていくのって、メチャクチャ大変なんです。阿部さんも清野さんも、すごく大変そうに毎日練習されていて。何もやっていない自分が後ろめたかったです(苦笑)。自分で脚本を書いといて、最後の演奏シーンを撮った時は普通に感動していました。“ミッション・インポッシブル”というか、楽器をやったことのない人たちで合わせるのは『不可能なんじゃないか?』と言われてたので、それが出来て感動しました」

ーーMC「阿部さんがトム・クルーズということですね?」

内田監督「そうですね」

映画にちなんで「なんで私(俺)が?」と思った経験について

阿部寛:(フリップに記入)なんで俺にドラム
阿部寛「楽器が苦手で、ドラムが一番苦手意識が強かったんです(苦笑)。自分に絶対に来てほしくない役だったので『なんで俺が?』と思いましたが、内田さんも音楽映画は初めてだったので、一緒に挑んでいけたら楽しいなと思ってお受けしました」

内田監督「もともと主人公はサックスかドラムかトランペットと思ってたんですが、阿部さんにお願いするとなったとき、ドラムだろうと思いました。ガタイが迫力あるし、阿部さんは叩いている感情が芝居に出てきて、顔が好きでした」

清野菜名:(フリップに記入)なんで私がトランペット?!
清野菜名「高校生の頃からギターを独学でやっていて、ドラムも習ったりしてたけど、吹く楽器を経験したことがなくて『何でトランペット?』と思いました。でも、いろんな音が出るようになって、すごく楽しくなってきて、もっとやりたいなってって気持ちになりました」

内田監督「清野さんは完璧主義で、ちゃんとやりたいというひと。(演奏シーンは楽器を持つ)手元がバレるので、ほぼ完璧にやらなくてはいけなくて、最後のソロは音楽をやってる人が不可能だと言うくらい、難しいシーンでしたが、ちゃんとやっていて脱帽です」

磯村勇斗:背の高い選手に
磯村勇斗「(強豪校を相手に、自分よりも背の高い味方のプレイヤーがいるにもかかわらず、なぜか磯村さんが相手の背の高いプレイヤーをマークするように指示され)阿部さんくらい背の高い相手で、ジャンプしても全くボールに届かなかったのは忘れられない思い出です...」

モトーラ世理奈:学級委員に選ばれた
モトーラ世理奈「小学校の時に、投票で選ばれてしまって、全然、みんなをまとめるキャラじゃないのに、なんで私が学級委員に?って思いました。でも、意外とやっ てみたら、学級委員しか集まれない集まりとかがあったりして楽しかったです」

高杉、清野、内田監督も学級委員の経験あり。自ら立候補したという高杉、清野に対して、内田監督は。
内田監督「選ぶ日にズル休みしたら、次の日に学級委員に...(苦笑)」

高杉真宙:坊主になれない、なんで?
高杉真宙「(10代の頃から坊主頭にしたくて)取材でも言い続けてるんですけど、なんでか坊主の役が来ないんです。なんで俺が坊主になれない!? なりたいんですよ!」

阿部寛「(坊主頭が)似合いそう」

内田監督「じゃあ次の映画で!でもオファーし たら、『坊主は無理ですね」って言われそう。よくあるパターンですね(笑)」

高杉真宙「喜んでやりますよ!」

ゼロからのドラム

阿部寛「(ゼロからドラムを練習したことで、これからもドラムを続けたいという気持ちが芽生え、撮影が)終わった時、一瞬、(ドラムセットを)買おうかと思ったけど、家に置けないし...。いまだに悩んでます。機会があったら買いたいなと思ってます。せっかくやったんで」

最後にメッセージ

内田監督「日本は音楽映画が少ないので、もっと増えたらいいなと思います。音楽って、コロナ禍 のつらい時とかに勇気をもらえたり、気持ちが楽しくなるので、ぜひ多くの人にこの映画を観てもらいたいです。一緒に応援してください」

阿部寛「この映画をやって、いろんな挑戦がありました。最初は何で内田さんがこういう音楽映画を撮るんだろう?と思いましたが、内田さんの挑戦もあり、エンタテインメントとして笑って泣けたりする映画なんですけど、内田さんらしい人間ドラマ、繊細な部分も含まれていて、非常に好きな塩梅になっています。僕は、試写会で自分が知らないうちに涙が出たというのは初めてのことでした。『なんで俺はこんなに感動しているんだろう?』と。彼(成瀬)が変わっていく瞬間に感動しました。人生、何度でも挑戦できるし、ステージを変えても生きていける――それは僕のような年齢の人間だけでなく、若い人もそうだと思います。いま、生きづらさを感じている人もこの映画にヒントがあると思うので、ぜひ観ていただきたいです。応援してください」

会場「(拍手)」

日本中に活力と希望、そして人生を彩る音楽をお届けする爽快なヒューマンドラマ『異動辞令は音楽隊!』は8月26日(金)公開。

STORY

犯罪捜査一筋30年の鬼刑事 成瀬司は部下に厳しく、昭和さながら犯人逮捕の為なら法律すれすれの捜査も辞さない男。家族にもろくに構わず一人娘・法子からとうに愛想をつかされている。そんな成瀬は高齢者を狙った「アポ電強盗事件」が相次ぐ中、勘だけで疑わしい者に令状も取らず過激な突撃捜査をしていたが、そのコンプライアンスを無視した行動が仇となり、突然上司から異動を命ぜられる。刑事部内での異動だろうと高をくくっていた成瀬だったが、異動先はまさかの<警察音楽隊>だったーー。

映画『異動辞令は音楽隊!』

全国公開中

出演:阿部 寛
清野菜名 磯村勇斗
高杉真宙 板橋駿谷 モトーラ世理奈 見上 愛
岡部たかし 渋川清彦 酒向 芳 六平直政 光石 研/倍賞美津子

原案・脚本・監督:内田英治 (『ミッドナイトスワン』)
主題歌:「ChoralA」Official髭男dism
※主題歌読み:ChoralA =コラール・エー
配給:ギャガ

©2022 『異動辞令は音楽隊!』製作委員会

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