(撮影/藤本和典 取材・文/中村未来)
――ドラマ『埼玉のホスト』では、金髪のホスト・祥太郎を演じていました。役作りはどのようにされたのでしょうか。
「ホストの祥太郎よりも、‟人間としての祥太郎はどんな人物なんだろう?”ということをずっと考えていました。埼玉の鴻巣という街に育まれた祥太郎は、きっと地元が大好きで、街の人とも気軽に会話を楽しむような男だと思うんです。だから僕も、鴻巣で撮影するときは1、2時間早めに現場に入って、公園で子供に混ざってサッカーしたり、休んでいるおじいさんやおばあさんと世間話をしたりしました。街の人の生の声を聞いて、空気を肌で感じたことが、祥太郎を演じる上で役に立ったなと思います」
――積極的に街の人と話そうとする行動力がすごいです。
「地域の名前を使わせてもらっている以上、その街の人々にドラマを見てほしいし、好きになってもらいたいじゃないですか。そのためにはまず自分が街を知らなきゃと思って。それに鴻巣の方々は本当に温かくて、公園のベンチに座っていると自然に会話が始まるんです。ロケの最終日にはどこから聞きつけたのか、‟今日で最後なんでしょ”とわざわざ見に来てくれた方もいました。みんなで30分くらい雑談したかなぁ。そういう時間がとても心に残っています」
――祥太郎は陽気でおしゃべりなキャラクターですよね。ご自身と似ているところは?
「ふざけるのが大好きなところは似ています。あとは、身近な人のことをよく見ているところ。『エーイチ』のメンバーであるマモルの様子がおかしいと感じると、‟お腹が痛いんですか?”とすぐ聞く。僕も周りの変化に敏感なほうなので、きっと祥太郎と同じように声をかけると思います。ただ、視野は僕のほうが広いかも。祥太郎は、なぜかお客様のことは全然見えてないので、売り上げが上がらないんです(笑)」
――濱尾さんがもしお客様として『エーイチ』に来たら、誰に接客してほしいですか。
「コバトさんです。劇中でバースデーソングのようなものを歌うのですが、ぜひ僕にも歌って盛り上げてほしいです。と言いつつ、僕が(木村)了さんを好きなだけかもしれません(笑)」
――現場の雰囲気はどうでしたか?
「ものすごく楽しい現場でした。ずっとみんなで喋っていた気がします。本番直前まで喋って、お芝居をして、カットがかかったらまた元の話に戻って。役の延長でそのまま話し続けることもありました。ドラマでの『エーイチ』の盛り上がりは、現場のテンションそのままなんです」
――メンバーの皆さんとは、どんなふうにして親睦を深めたのでしょうか。
「セン役の中沢元紀くんには、劇中で『1000(セン)まで数えたらキスしてやるよ』というセリフがあったので、休憩に入るたびに彼の目を見ながら『1…2…』と数えていました(笑)。中沢くんは最初呆れていましたが、しばらくすると‟今どのくらい?”とカウントを聞いてくれるようになって(笑)。そのうち数えるよりも話しているほうが楽しくってやめてしまったのですが、最終的には200くらいまでカウントしたんですよ(笑)」
――第4話は祥太郎がメインのストーリーでした。自暴自棄になった祥太郎が、仲間の力を借りて立ち直るという展開ですが、濱尾さんも落ち込むことはありますか?
「僕は大きく落ち込むことはあまりないんです。毎日回復する時間をつくるようにしているからかもしれません。ちょっとしんどいなというときは、スマホを置いて散歩に出る。自然を見ていると癒やされるし、リフレッシュできます。仲の良い先輩に話を聞いてもらうこともあります。人に話すと自分の思考が整理されて、思っていたほど問題じゃないことに気づかされるんです。そんなふうに日々調整しています」
濱尾ノリタカ
1999年11月26日生まれ、東京都出身。
「仮面ライダージュウガVS仮面ライダーオルテカ」(23年4月~配信)ジョージ狩崎役
「ブラックポストマン」(8月18日スタート) 長谷祐介 役
朗読劇「極楽牢屋敷」(木下半太版四谷怪談)8月19日(土) サンシャイン劇場
濱尾ノリタカさんのインタビュー&グラビアは、8月31日発売の『SCREEN+Plus』vol.86にて掲載。