原作・押切蓮介のホラー漫画「サユリ」が、『貞子vs 伽椰子』『不能犯』などで知られる白石晃士監督によって同名タイトル『サユリ』として映画化。8月23日(金)より公開する。
本作で主演を務める南出凌嘉は、2020年放送のドラマ「姉ちゃんの恋人」で、有村架純演じる主人公・安達桃子の弟・朝輝役に抜擢され、昨年放送されたNHK連続テレビ小説「らんまん」では、志尊淳演じる竹雄の少年期を演じた。話題作への出演が続く今注目の若手俳優・南出凌嘉にインタビューを行った。
(取材・文/SCREEN+Plus編集部)
画像1: 映画『サユリ』でホラー映画初主演を果たした南出凌嘉インタビュー

――ホラー映画で初主演をつとめると思っていましたか?

全然! お話をいただいたときは、ホラー映画を僕ができるのかな?と不安の方が大きかったです。まさか!という感じでした。

――白石晃士監督のほかの作品はご覧になったことはありましたか?

もちろん。『貞子vs伽椰子』は、公開されたときに興味があったのですが、勇気がなくて劇場に観に行けなかったのですが、その後、サブスクで改めて観ることができました。ほかにも、観たかったホラー作品を振り返ると、白石監督の作品が多かったです。監督の映画は、今回の『サユリ』に通じるものがあり、どれも、革新的な作品ばかりです。「それ、観たかったけど、誰もやってかったよね~」というホラーを作ってくださる監督だと思っています。

――私も、Jホラーの概念が変わりました(笑)。

今回もきっちりとサユリの背景が描かれてましたよね。復讐がベースになっていますが、それも、一石を投じた作品になっているので、新鮮で面白くなっていると思います。

画像: ――私も、Jホラーの概念が変わりました(笑)。

――家族を失ってからが、ガラっと主人公・則雄が変わっていきます。勝手ながらカンフー映画的な流れを感じました。

台本を読んでいて、最初は、下ネタと太極拳でどうやって霊を倒すのか?と思いました(笑)。でも、読むにつれ、監督の話も伺い、太極拳を練習し、その理由も分かり演じ切ることができました。

――結構、体力づくりはしたんですか?

減量や増量は、普段からお仕事関係なく、走ったりして調整していたんです。自分の中で、「これを1カ月やれば5キロ減る」とか。増減の目安が欲しくて、その経験を物差しにしたいなと思っていたんです。だから、筋力はないけど、体力は少しあるんです。撮影が早く終わったり、オフの日はホテルのまわりを走ったりしていました。

画像: ――結構、体力づくりはしたんですか?

――後半は根岸季衣さんと過ごす時間が多かったと思います。かっこいいお婆ちゃんはいかがでした?

クランクインした時が、強い婆ちゃんモードの根岸さんとのシーンでした。2~3日目に、少し認知症の症状があるお婆ちゃんで、その演じ分けがすごかったです。「え、しぼんでる!」って思いました。でも、同時に何かを感づいているような表現もしていて、長年演技をされている大先輩の技術の差を目の当たりにしました。

――根岸さんと印象的だったエピソードはありますか?

則雄は家族をみんな失って、落ち込んでいるんですが、婆ちゃんと二人で「復讐だ!」と立ち向かうシーンです。僕は感情を長く作っていたんです。気持ちをずっと高めたかったので、カットがかかってても泣くと決めていたんです。そのお陰で、怒りと復讐の顔ができたのかなと思いました。婆ちゃんとのそのシーンが終わった後に、根岸さんが僕の頭をポンポンってしてくれたんです。「よくやったね」って労ってもらえたようで嬉しかったです。

――リアルにお婆ちゃんと孫みたいな感じですね。

もともとお婆ちゃんっ子だったので、楽しくて頼りになる根岸さんと、お婆ちゃんと孫としてご一緒できて嬉しかったです。

画像: ――リアルにお婆ちゃんと孫みたいな感じですね。

――ほかの共演者の方とはいかがでしたか?

僕は現場に入ったら、役名で呼んじゃうんですよ。「姉ちゃん」とか「父さん」と呼んだり、弟の俊役の猪股怜生くんにいたっては、ずっと僕と一緒にいたので、本当の弟みたい可愛かったです! そんな俊が死んだことが、則雄のトラウマになり、サユリに追い詰められていくのですが……。だから俊は自分にとって大事な存在だと思ってコミュニケーションを取っていました。

――「お兄ちゃん、お兄ちゃん」って引っ付いてきて可愛いですよね。

本当に可愛かったです! お芝居が終わってもずっと話しかけてくれるんですよ。

――そうなると、俊のかたきはとりたいよね!

はい!

――南出さんはご兄弟は?

弟がいるんですけど、俊ほど小さくないし、僕よりゴツくてでかい! 僕が守られる側かなって(笑)。

――余計に、劇中の俊の可愛さが……

そうなんですよ! でも、自分の弟もこんな可愛い時期もあったよな~って(笑)。

――ところで、ホラー映画はお好きなようですが、いちばん怖かった映画は何でしょう?

『ミッドサマー』ですかね。ヒトコワなのですが、結局、人間がいちばん怖い(笑)。お化けだと、自分は興味になっちゃうんですよね。物語的な考察をしたり。

画像: ――ところで、ホラー映画はお好きなようですが、いちばん怖かった映画は何でしょう?

――主演をするにあたり監督からアドバイスは?

役についてというより、「こう怖がってほしい」というのはよくお話されました。今回演じた則雄は、観客と同じ立場になって怖がってもらいたいとおっしゃっていたので、観ている方が一緒に怖がってくれるような演技を心掛けました。

――学校のシーンではまた違った則雄の印象を受けました。

サユリや幽霊の特性というか能力のようなもので、人を不安にさせて心を壊していくんですよ。それで弱っていく人が殺されてしまう。則雄は、元来は鈍感で、だから受け流す能力が長けてる。学校では、より則雄の素に近い感じで、鈍感だけど、自然と周りに合わせられるようなキャラになったのかもしれません。

――身近にいそうなタイプ。だから、一緒に怖がったり、一緒に闘う意識になりました。

画像: ――身近にいそうなタイプ。だから、一緒に怖がったり、一緒に闘う意識になりました。

フツーの男の子を意識しました!

――映画の媒体なので、お好きな映画作品についても伺いたいです。これまで観た映画で、自分に影響を与えた作品はありますか?

『ミッドナイトスワン』です。あの映画を見て、ものすごく自分の感情が動きました。切なかったり悲しかったり美しいと思ったり……いろんな感情を刺激させてもらった映画です。いまだに、初心に戻りたいと迷いが出た時に、繰り返し観ている作品です。

――名前は似ていますが、先ほど挙がった『ミッドサマー』は?

繰り返しは観ませんね(笑)。でも、この前、弟の友だちが泊まりに来た時に、オススメしてやりました(笑)! みんな「ギブ!」って怖がっていたんですが、途中まで進んだので、久々にラストまで観ましたね。

――最後に、『サユリ』のPRポイントを教えてください。

前半はJホラーの王道っぽいですが、婆ちゃんが覚醒してからの後半からは怒涛の展開が待ってます。色んな感情のジェットコースターに身を任せてほしいです。劇場に観に来ていただいて、婆ちゃんとサユリに振り回されてほしいです!

南出凌嘉

2005年8月10日生まれ、大阪府出身。

<主な出演作>

映画『あのこは貴族』(21年)

映画『糸』(20年)

映画『キングダム』(19年)

ドラマ「やさしい猫」(24)

映画『サユリ』
8月23日(金)公開

画像3: 映画『サユリ』でホラー映画初主演を果たした南出凌嘉インタビュー

監督:白石晃士
原作:押切蓮介
出演:南出凌嘉/近藤 華
梶原 善 占部房子 きたろう 森田 想 猪股怜生
根岸季衣
配給:ショウゲート
©2024「サユリ」製作委員会/押切蓮介/幻冬舎コミックス

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