W主演の山田孝之、仲野太賀をはじめ、尾上右近、鞘師里保、佐久本宝、千原せいじ、岡山天音、松浦祐也、一ノ瀬颯、小柳亮太、本山力ら賊軍11人が初めて勢ぞろいした。初日を迎えて、山田は「色んなキャラクターがあって、立場が違うと考え方もまったく違います。それぞれ自分の守るべき正義を通して戦っているなと感じました。これはいつの時代も変わらないことです」と、今、現代の世でも通ずるところが本作の見どころだと語った。また、仲野は、「撮影していた日々が、昨日のことのようにキャストのみなさんとお会いすると思い出します。雨にも負けず、風にも負けず、眠気にも負けず、本当に体力勝負でスタッフキャスト一同一生懸命作った作品」と公開できることの喜びを述べた。
本作で本格的な殺陣に挑戦したという仲野だったが、「殺陣に関してはほぼ初心者だったので、クランクインの少し前からアクション部のみなさんとびっちり練習させていただきました。やる前は“振ればなんとかなるだろ”と、正直甘く考えていたんですけど、当然そんなことはなくて(笑)。いかに積み上げていくことが大事なのか思い知らされました。アクション部のみなさんと賊のみなさんと力を合わせてできたので、ほっとしています」と振り返った。
仲野の見事な殺陣を間近で見ていた山田は、「本当にすごかった!」と絶賛するも、「あの時、(劇中で)指、飛んでたけど、治っててよかった! 現代の医療技術ってすごいなと思います」と仲野の指を手に取り真顔で。仲野も「繋がるもんだね~」と山田に同調して頷いていた。
賊軍の中で、紅一点。賊軍たちを支えるなつを演じた鞘師里保に、唯一の女性賊軍から見た現場の様子を尋ねたところ「最初は私自身が人見知りなので、ポツンとしてたんですけど、みなさんが“鞘師さん大丈夫?”と声を掛けてくださって輪に入れてくださいました」と話し、「撮影は過酷だったのですが、みなさんがぐだ~としながら過ごされてる瞬間や、夜を楽しく過ごそうとわちゃわちゃしながらガハガハ笑っている姿を見ていると、“あ、賊だ!”と思って見ていました。さっきも舞台袖ギリギリまでおしゃべりしていました」と、男性陣たちの仲の良い様子を明かした。
舞台挨拶には、賊軍だけではなく、官軍から玉木宏、新発田藩から阿部サダヲと野村周平、監督を務めた白石和彌も合流した。
千葉の鋸南町に作られた砦のセットの撮影現場近くに、山田が家を借りてキャストたちが出入りしていたそうだが、そこに野村が入り浸っていたとの報告が。そこで意気投合した山田と野村が「一緒に釣りに行ったよね~」「スーパーに買い物行ったね~」「調味料選んだね~」などと、思い出を話していると、仲野が「様子がおかしいんですよ、日に日に2人だけの家みたいな生活してて!」と暴露。「見つけたって思ったんだよね……」と山田、「出会っちゃった感ありましたよね!」と特に否定せずに受け入れていた。
また、会場には、町娘としておにぎりを配っていたゆりやんレトリィバァも劇中衣裳で駆け付けた。おにぎりならぬ、焙烙玉(と称したボール)を配ると、キャストたちはいっせいに客席へ投げ込み、そのプレゼントに会場は大喜び。
最後に代表して仲野が「ようやく公開を迎えることができて嬉しく思っております。この物語は斬って斬られて殺し合いをしながらも、なんとか生き抜こうとする人間たちの生き様であり、死に様が焼き付いている映画になっています。どうか大きい劇場で観ていただければいいなと思っております。みんなで頑張った撮影期間を監督が素敵な形に映画にしてくれたので、どうかたくさんの方に観ていただければ嬉しいです」と挨拶。
山田は「実際に阿部さんはひどい方なんですけど(笑)」と、敵である溝口役ではなく、演じた阿部をいじりつつ「役の方は、裏切りに見えるけど、周りから何を言われようと藩を守るんだということなので、溝口はいい人だったんですね。官軍も新政府軍も旧幕府軍もそうですし、十一人の賊軍たちもそうなんですが、それぞれ自分の正義を貫くことを信じている。見る方向によっては、悪人にも裏切りにも見えるんですが、ただただ信じているだけだと。それは現代においても変わらない。この映画に出てくる人のように、色々と大変な世の中ですが、相手の立場になるとどうなのかと、一歩考えてみたりするともう少し優しく穏やかに生きれるのかなと僕は思います」と改めて作品の見どころをアピールし舞台挨拶を締めた。