劇中、どんどん闇に転落していく大学生・長田を演じた萩原護にドラマの見どころを聞いた。
(撮影・取材/SCREEN+Plus編集部)
――ドラマ『3000万』のお話をお伺いしたいです。今、ちょうど物語は後半へ向かっている頃ですね。
僕の演じる長田は、今は、坂本(木原勝利)の下で働いてます。最初に一緒に組んでいた蒲池(加治将樹)がなぜかいなくなって、坂本と一緒に行動しているんですが、いなくなった理由にはまだ気がついていないんですよ。
――ストーリーとしては徐々に、みなさん、悪い方向へと転落していて目が離せません。脚本からすでに面白かったんじゃないですか?
面白かったです! 脚本の開発の時点で、緻密に脚本開発チーム(WDRプロジェクト)の方々が話し合いながら、演出の保坂(慶太)さんを含めて進められていて、相当練られているし、読みごたえがありました。読んでいて緊張感が持続していました。そういう台本を読むのは、自分も初めてでした。
――安達祐実さんと青木崇高さん演じる佐々木夫妻だけではなく、それぞれの立場の方に緊張感ありますね。長田は、大学生ですが、何でこのバイトを選んだんでしょう?
単純にお金が欲しいというのがいちばんです。今、すごくニュースにもなっているような闇バイトの方たちって、本当にそうらしいですね。長田を演じるにあたって見せていただいた資料の中に、闇バイトに入ってしまうような大学生の映像もあって、本当にお金がほしいとか気軽なノリなのが衝撃的でした。
――単純明快すぎる理由ですが、びっくりする感覚ですよね。演じるにあたって、理解できました?
演じる上では割と理解はできるんですよ。目の前で起こっていることに反応して、それ以外の情報は取り込まない。それが故にどんどん自分も巻き込まれていったということなんだと思うんです。ドラマの中の長田も、本当に目の前のことしか考えてなかったです。
――彼の大学生活まで想像できましたか?
その背景まではできなかったですね。そもそも、長田は本当に大学に行っているのか、友達はいるのかと心配になりました。
――今、コンビだった蒲池がいなくなって、もっと上の坂本について……。長田の緊張感が増した感じがします。
そうですね。ただ、蒲池とはそこまでコンビ感を出してほしくない、他人だけど一緒に行動しているだけという感じで演じてほしいとリクエストを受けていました。普段の加治さんはとても優しい方で、撮影中は明るく話しかけてくださいました。
――この先、長田はどうなっていくんでしょう。
もっと闇に堕ちます(笑)。4話で、長田にとって転換期があるんです。一皮むけたというか、それで5話から調子に乗り始めるんです。目の前のことしか見えない者が調子に乗っちゃうと、どんどん堕ちていくんです。お金を手にすると変わっちゃうタイプで、本当に闇バイトに手を出してしまう人ってそんな感じなんだろうなと思いました。
――実際の事件も増えていますが、バイトする側の長田を演じたこともあり、役を通して覗いてみた闇バイトに関して教訓はありますか?
例えば、隙間バイトの情報を見ると、最近こそは減りましたが、怪しい案件って全然あるんですよ。イメージできる写真もなく「初心者大歓迎! 髪型自由」とか(笑)。
――怖い怖い怖い!
本当にそこら辺に落とし穴が潜んでいると思います。やたら時給も高くて、自由を強調。もしも自分がお金に困っていたら、もしかしたらやってしまうかもしれませんよね。やりませんけど! でも、“1日だけならいいか”とか、軽い考えでどんどんハマって抜けられない人も多いと思います。やっぱり想像力を持つことって大事だなと思いました。
――8話で完結とのことですが、幸せな結末が想像がつかないんですけど(笑)。どの立場の登場人物の弱さが理解できますか?
でも、やっぱり長田ですかね。ずっと怯えてる感じとか。それは共感できますね。
――ザワついて観ているドラマ視聴者の方に見どころを教えてほしいです。
シチュエーションがとにかく面白いので、毎週見てほしいです。登場人物が全員、諦めないんですよね(笑)。全員、底力があるがゆえに、変な方向に進んでいっちゃうっていう(笑)。
――たくましいんだか何だかですよね(笑)。
そうなんですよ(笑)。そこのエネルギッシュさを面白がって見てもらえたら、かなり楽しめるドラマだと思います。登場人物を面白がって見てほしいです。
――ちなみに、今、何のヒントも与えられずに3000万を自由に使っていいよと言われたらどうします?
何のヒントもないんですよね? いったん置いときますね(笑)。