撮影/久保田司
スタイリスト/山田莉樹
ヘアメイク/金光柚香(MASTER LIGHTS)
取材・文/佐久間裕子

――今作が映画初出演ですが、出演が決まったときは率直にどう思いました?
正直に言うととても不安でした。嬉しい気持ちもありましたが、それを上回るぐらい僕でいいのか、演技なんてやったことないぞって、結構な期間悩んだので、出演したいですと即答はできませんでしたね。でも周りの方の後押しもあって、「ここで断っても何も変化は起きないし、やってみよう」と思いお引き受けさせていただくことになりました。
――実際にお芝居してみていかがでしたか?
とても難しいです(苦笑)。まだスタートラインに立ってもいないのかもしれないけど、でもここからがスタートだなって思いながら挑みました。長い旅になる気がするけど、お芝居って狭いものではなく、すごく広くて自分が普段やっている分野にも繋がっていると感じました。とにかく勉強になったし、今後に活きる経験になりました。
――演技とグループでの音楽活動、どんな部分が繋がっていると思いましたか?
僕らのグループは様々なコンセプトでミュージックビデオを撮るんです。例えば、革命を起こす反逆者ややんちゃな男、スパイみたいなビジュアルで映像を撮るときもある。映画という一つの世界の中で、自分と違う人間になるのは、普段、自分たちがしている活動と通じる部分があるなと思いました。僕たちは歌うときも、意識して表情を作りながらパフォーマンスするので、カッコイイ顔や笑顔、苦しい顔など、見え方として勉強しなきゃいけない部分は一緒なんだなとも思いました。普段の活動の中でやっていることから持っていけるものもあったし、今回演技を経験して勉強になったから、グループに持ち帰ってパフォーマンスの中で発揮しようと思ったこともたくさんありました。

――今回演じた川中陽二は兄貴分っぽいところもありつつ、かわいさもある魅力的な不良ですよね。
陽二は僕がこうありたいと思うような人間です。一見、薄っぺらい感じの女好きなイメージなんですが、内側は義理人情に厚いんですよね。仲間を大事にして、大切なものを守る兄貴肌なところが超カッコイイ。僕は普段座右の銘にしているぐらい、まっすぐでありたいと意識していて。陽二みたいにまっすぐな良い感じのバカで、愛される人でありたいなって思っています。
――陽二を演じるにあたり、どんな役作りをしましたか?
路上に行ってケンカをすることはできないので(笑)、参考になるような不良モノの作品を観ました。陽二の雰囲気に合いそうな俳優さんの演技を探して、家で真似したり。自分的には「池袋ウエストゲートパーク」の長瀬智也さんが一番近いイメージかなって。
――確かにあの作品での長瀬さんは義理人情に厚くておバカで愛すべき不良です。
めちゃカッコイイですよね! 「うん、こうなりたい」って思いました(笑)。
――実際に演じてみてご自分と陽二に共通する部分や似ている部分は感じました?
まっすぐで義理人情に厚いところかな(笑)。そして僕もグループの中では一番くらいにメンバー愛が強い男なので、そこが一番似ていると思います。
――役柄や演技について西川達郎監督とはお話されましたか?
僕が右も左もわからない状態だったのでたくさんお話ししました。現場で「陽二はこういうキャラクターだからこのシーンはふざけていいかもね」、「このシーンで笑うのは逆に陽二らしくないから笑わずにいこう」など、いろいろアドバイスをいただきました。自分で台本を読んで噛み砕いていく中で、こういう心情なのかなと思ったら「こういう解釈であっていますか?」、「いいんじゃないかな」って確認し合ったりしました。監督とは相当たくさんやり取りして、いろんなことを教わりました。
――ご自分でもかなり台本を読み込んで現場に臨んだということですね。
読み込みました。すごく難しかったけど、家で一人で練習してセリフを覚えました。でも一度だけ本当にセリフが飛んでしまって……。周りのみんなが「どれだけ歴が長くても急に飛ぶことはあるから気にしなくていいよ。頑張って」と言ってくれたので焦らず落ち着いてできました。

――終盤には不良モノには欠かせない乱闘シーンもあります。アクションに挑戦した感想を教えてください。
難しかったです。そもそも人を蹴ったり殴ったりする動きをしたことがないので、たくさん練習しました。稽古場に行って、サンドバッグを使ってアクションの先生から習うんですけど筋肉痛になりましたね。筋肉痛のまま「いってー」って言いながら、次の日また稽古場に行って。横でまめちゃん(豆原一成(JO1))が練習している様子を見たら、早いパンチをビュンビュン繰り出してるんですよ。殴られる方もちゃんと練習しないといけないんですけど、まめちゃんは群を抜いて上手かったです。
――普段やっているダンスが役立ったり?
まめちゃんはダンスも上手いですからね。多分、体幹がしっかりしているんでしょうね。廣島Night’s(ナイツ)のトップ・ヒロ役の岩永丞威さんとまめちゃんがやりあうシーンのアクションは圧巻でした。生で見たら腰を抜かすくらい。本当に殴り合いしているような迫力がありました。
――殴るのと殴られるのどちらが難しいですか?
僕は殴る方の演技が難しかったです。カメラから見てちゃんと殴っているように演じなきゃいけないし、本当に相手の方に当てちゃったらまずいし。腕を大振りした方が映像として映えるけど、ダサくならないように調整したり、いろいろ大変でした。
――機会があればまたアクションに挑戦してみたい気持ちはあります?
めっちゃあります。まめちゃんや周りから刺激を受け過ぎて、そのことが頭から離れない日もありましたから。特に岩永丞威さんはレベル違いでカッコ良かったです!