タイプロを経て成長した二人の新たな物語をインタビュー。
(撮影/久保田司 取材・文/佐久間裕子)

――おふたりは「timelesz project」(以下、タイプロ)でも、すごく注目されていました。オーディション中、反響の大きさは届いていましたか?
西山 感じていました。
前田 僕は「トイ・ストーリー」のウッディの真似が放送されて、一気にドーンっていった感じがしました。街中でも「ウッディだ!」って呼ばれました。「ウッディじゃないんだけどな……」って思いながら(笑)。それまでは全然映らなかったし、「こいつ、いたっけ?」みたいな。4次審査も12位だったし、自分では4次審査に通っていなかったら、状況が全然違っていたと思います。
西山 確かに4次審査を過ぎてから話題になっているなって感じるようになりました。4次は自分の中でも、髪型などいろんなことをチェンジしました。そして、これは最初からやっていたんですが、自分は振付とか自分のパートを結構イジるんですよ。元の形から自分オリジナルに変えて表現することが多くて。3次の「SHAKE」は基本の形から遠慮しつつマイナーチェンジしたけど、4次からは結構ガッツリ変えました。それは自分色に変えてやろうって気持ちからで、マイケル・ジャクソンの振りを取り入れたり、振り切って変えたら、それが話題になったんですね。そのおかげで自分のカラーがついて、5次のソロパートは自分色を落とし込めたので、4次で注目されたことはターニングポイントでもあり、自信が付くきっかけにもなりました。
――「タイプロ」を通して、成長を感じたのはどんなところでしか?
前田 僕はパフォーマンスをする上での自由さみたいなもの。それは「タイプロ」を通して完全に手に入れた気がします。それまでは真面目に型にハマってやってきたと感じていて、カラーがない、個性がないという言われ方をすることが結構ありました。ダンスの先生や韓国にいるときにも上の人たちにそう言われていて。それでずっと迷っていたんですけど、「タイプロ」の5次審査で、その部分がやっと解消されました。当時は「前田大輔、見つかったな」ってよく言われたんですが、自分でも見つけられた瞬間だったので、階段の一つ上に登れたのかなって思います。
西山 僕は自然体でいることの大切さを学びました。「タイプロ」中は24時間カメラがあったけど、徐々にカメラにも慣れていって、人ってこういう環境にも慣れていくんだなって思ったんです。そしてそういうときでも自分が自分のままでいられることが健康的だし、外側から見ても健康的に見えるんだってことを実感して。なぜなら、それを一番体現できた子たちがデビューしたんだと僕は思ったんですよね。それからはカメラが回っていたとしても、引かないことが重要、自分は一歩引くところがあるので、それをできる限り減らそうという風に変わった気がします。
——まさしくあともうちょっとって感じで、5次を終えたときの心境はどうだったんですか?
前田 落ちたときは、「何でだろう」ってすごく思いました。でも、今のtimeleszを見るとピッタリなメンバーだなってやっぱり思います。智樹も言っていたように、より自然体でいられるメンバーがグループを組んでいるんだなって感じて。だから今は納得してますし、こうしてホリプロで新しい道を歩めるので、ワクワクしています。
西山 漠然と音楽をやることが終わったなって感覚が、自分の中にはありました。ラストチャンスとして受けたオーディションだったので、それが途絶えた瞬間に目の前が暗くなってしまって。本当に目は開いているけど、目の前が暗くなったような感覚でした。歌やダンスをやりたくて、19からがむしゃらに頑張って目指してきたことが終わった。年齢を考えても、この先オーディションを受けることはないだろうなって、落ちたという結果と今までやってきた経験がフラッシュバックして、一気に消えていくような感覚でした。本当に映像化されていた。多分絶望でもなく、「うわぁ」って感じでもなく、スンッて終わった感じがありました。

――そして6月1日にホリプロ所属と、メンバーを探して新グループ結成のための活動をすることを発表されました。ホリプロさんから声を掛けられたときの率直な気持ちはいかがでしたか?
西山 自分が音楽をやりたい気持ちに一旦区切りを付けたほうがいいのか、チャンスはもうないのかなと思っていたときに、ホリプロを含め、たくさんお声掛けをいただきました。だから素直に「うれしい!」というより、選択肢の一つであり、自分が今後どうしたいかを考えるきっかけというか。何て言えばいいのかな……、本当に進路のひとつという感覚でしたね。
——最初から「グループで」というお話だったのでしょうか?
西山 ソロではなく、「グループでやりませんか」というお話でした。まだ他のメンバーも決まっていないので、未知だなって思いましたけど、これをきっかけにグループを作ることができたら面白いなと思いました。そんな感じで不安と期待が半分半分でした。
――メンバーを探すということで、真っ先に頭に浮かんだのが前田さんだった?
西山 正直に言うとそういうわけじゃないんです。それは大輔が浮かばなかったという意味ではなく、「timelesz project」で出会った人に声を掛けるのは、自分があのオーディションに参加した経験を違う形で消費することになるんじゃないかと思ったからです。最初それはあまり良いことではないのかなって思って。ちょうどその頃、NOSUKE(「timelesz project」のダンストレーナーを担当)さんからダンスのお仕事をいくつか紹介していただいて。その中で大輔と共同作業をすることになり、最後に一緒にやったのが「The Performance」というイベントでした。国内外のいろいろなアーティストやグループが出演するイベントで、今活躍されている先輩方のパフォーマンスを観て、「グループっていいな」って思っていたら、そのとき大輔も本当に同じことを言ったんです。その瞬間に「timelesz project」で出会ったけれど、「自分たちのグループを作る」という新たな繋がりの理由ができたからこそ、自分から声を掛けてみようと決めて。その日の帰りに声を掛けました。
――決めてからは行動が早い! 前田さんは「一緒にやろう」と言われてどう思ったんですか?
前田 正直乗り気じゃなくて。僕もいくつか選択肢があったので、その中のひとつという意識でした。でも僕もグループがやりたかったし、智樹がせっかく声を掛けてくれたので、1回お話だけでもちゃんと聞いてみようと思ったんですね。1回目にお話を聞いたのは、ちょうど今取材していただいているこの部屋でした(笑)。それでお話を聞いてみたら「おもしろそう」だなって。