年が明ける前から次第に話題が膨らんでくるアカデミー賞。今度はどんな名作が生まれるのか? 
日本で新年早々から公開予定されているものを中心に、次のオスカー・レースの有力候補と噂されている新作を挙げてみよう。
※タイトルは原題・仮のものを含む

年明けから日本公開される有力作も続々!

年末年始のシーズンが近づくと映画界がにわかにざわつき始めるのが、アカデミー賞のゆくえ。2017年は2月26日に授与式の開催が予定(ノミネーション発表は1月24日)されているが、すでにハリウッドでは、有力候補の噂があれこれと出始めている。

いま最も評判がいいのが「セッション」のデーミアン・チャゼル監督によるミュージカル『ラ・ラ・ランド』

ラ・ラ・ランド

画像: ラ・ラ・ランド

ラ・ラ・ランド

駆け出し女優とジャズミュージシャンの恋を描く本作は、ハリウッド黄金期の輝きを思い起こさせると絶賛されていて、主演のライアン・ゴスリング、エマ・ストーンも演技賞候補確実と言われている。日本でも2017年2月公開予定だ。

沈黙 サイレンス

オスカー常連のマーティン・スコセッシ監督の新作『沈黙 サイレンス』も完成前から有力候補とされている。

沈黙 サイレンス

なにせスコセッシが20年以上前から映画化を熱望してきた企画が実現したもの。遠藤周作の小説を圧倒的な映像で描く。主演アンドルー・ガーフィールド、助演リーアム・ニーソンの演技賞だけでなく、浅野忠信、窪塚洋介といった日本人俳優もノミネートされるかもしれない。日本では2017年1月21日に公開。

ビリー・リンの永遠の一日

オスカー監督賞を二度受賞しているアン・リー監督の新作『ビリー・リンの永遠の一日』も注目されている。

ビリー・リンの永遠の一日

一夜にして英雄となった19歳の帰還兵。その彼が故郷に帰って見たものとは?リー監督が最新技術を駆使した3D映像で魅せる感動編で、2月日本上陸。

スノーデン

こちらもオスカー監督賞を二度受賞しているオリヴァー・ストーン監督の問題作『スノーデン』は、アメリカの監視システムを告発しロシアに亡命したエドワード・スノーデンの実録ドラマ。スノーデンを演じるのはジョゼフ・ゴードン・レヴィットで、そのなりきりぶりも期待したい。日本は1月27日公開。

画像: スノーデン

スノーデン

メッセージ/ライオン

こうしたベテランだけでなく、チャゼルのように気鋭の監督たちの新作も注目作が多い。「ブレードランナー」の続編も手がけているドニ・ヴィルヌーヴ監督の『メッセージ』は未知の物体が人類の前に現われるというSFながら感動的と評判。出演はエーミー・アダムズ、ジェレミー・レナーらで、演技賞にも絡むかも。

日本では初夏公開予定。新人だがガース・デーヴィス監督の『ライオン』は25年の時を経て迷子になった子供が母の元に帰るという実話を映画化し、感動を呼んでいる。出演はルーニー・マーラ、ニコール・キッドマンらで日本は4月公開。

脚本家ケネス・ロナーガンの監督進出作『マンチェスター・バイ・ザ・シー』も評価が高く、主演のケーシー・アフレックに演技賞の声がかかっているようだ(日本公開未定)。さらにニコラス・ウィンディング・レフン監督の『ネオン・デーモン』(1月公開)、モルテン・ティルドゥム監督の『パッセンジャー』(3月公開)、デレク・シアンフランス監督の『ライツ・ビトウィーン・オーシャンズ』(日本17年公開)といった話題作も着目したい。

今度はブラック・パワーが巻き起こし?

前回、多くの黒人映画関係者がオスカーをボイコットしたのは、2年連続でブラック・パワーが無視されたことに抗議したものだったが、今度はそうした騒ぎを阻止するためにも、優れた黒人監督、俳優たちがノミネートされるのは確実。その枠に入ってきそうなのが、ネート・パーカー監督の『バース・オブ・ネイション』とバリー・ジェンキンズ監督の『ムーンライト』

画像: サンダンス映画祭で二冠を得た力作で、黒人奴隷たちの初の蜂起を描き、パーカー監督が主演も果たしている(日本17年公開)。 バース・オブ・ネイション

サンダンス映画祭で二冠を得た力作で、黒人奴隷たちの初の蜂起を描き、パーカー監督が主演も果たしている(日本17年公開)。
バース・オブ・ネイション

後者はマイアミの麻薬戦争を背景に一人の青年の成長を描くドラマで、ブラッド・ピットが製作に名を連ねている(日本公開未定)。どちらも黒人だけでなく多くの観客の問題意識を揺さぶる作品だ。
監督はインド出身のミーラー・ナーイルだが、チェスの天才と呼ばれた黒人少女(ルピタ・ニョンゴ演)の実話を描く『クィーン・オブ・カトウィ』(日本公開未定)も絡んできそう。
ムーンライト

もう一人ブラック・パワーを牽引するかもしれないのがデンゼル・ワシントン。彼の長編映画監督作の第三弾となる『フェンシズ』が高評価されている。主演も兼ねた彼が50年代を舞台に人種差別と苦闘する黒人一家の葛藤を描き、ワシントンとヴィオラ・デーヴィスが名演を見せる(日本公開未定)。

ワシントンのように俳優と監督を両立している、こんな人たちの新作も要注目。

日本でも公開された「ハドソン川の奇跡」のクリント・イーストウッド監督は今回も評価が高いが、メル・ギブソン監督の10年ぶりの新作『ハクソー・リッジ』も沖縄戦で戦った兵士の実話を描き、上々の評判(日本17年公開)。またウォーレン・ビーティー久々の監督兼主演作『ルールズ・ドント・アプライ』(日本公開未定)なども無視できない。

名優たちの演技力が気になる新作

他に演技賞で候補に噂されている作品も少なくない。日本でも間もなく公開される「マダム・フローレンス! 夢見るふたり」のメリル・ストリープ、JFK暗殺から葬儀までの四日に迫る『ジャッキー』(日本17年公開)のナタリー・ポートマンらが有力視される中、まだオスカーを受賞していない名女優アネット・ベニング主演作『20thセンチュリー・ウーマン』(日本17年公開)やフランス・ベテラン女優イザベル・ユペールの『エル』(日本公開未定)などがついに主演女優賞?とも囁かれている。

また黒人女性と白人男性の結婚を描く問題作『ラヴィング』(3月公開)のルース・ネッガとジョエル・エドガートンや、『ノクターナル・アニマルズ』(日本公開未定)のジェーク・ギレンホール、『パターソン』(日本17年公開)のアダム・ドライヴァーらもノミネートが取りざたされていて、これから年末の賞レースの結果次第で、他にも新たな有力作が挙がってくるかもしれない。

アカデミー授与式前後に日本公開されるアメリカ映画は良質なものがいっぱい! こうした作品を見まくるチェックを今からしておきたいものだ。

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