魔法使いや魔女が住む異世界“オズ”を舞台にした、壮大なスペクタクル・ファンタジー「エメラルドシティ」。今年1月から全米NBCネットワークで放送されたばかりの最新作を、日本ではHuluが独占配信する。
カンザス州で看護師をしている20歳の女性ドロシー(アドリア・アルホナ)は竜巻に巻き込まれ、謎の土地“オズ”にたどり着く。そこは20年前、“永遠の獣”と呼ばれる災禍に見舞われたが、その時人々を救った魔法使い(ヴィンセント・ドノフリオ)が支配者に。自分を元の世界に戻せるのは魔法使いだけだと知ったドロシーは、彼がいる“エメラルドの都”に向かって旅立つが、常識を超えた存在や予期せぬ危機が彼女を待っていた。
映画界の映像派監督ターセム・シンが全10話を演出し、スリリングな物語をエレガントに描いたのが見もの。名作童話『オズの魔法使い』を原作にしているが、大人が見ても楽しめるファンタジー大作に仕上がっている。
メーク、衣装、VFXすべてが刺激的
全話を監督したのは「ザ・セル」「落下の王国」「白雪姫と鏡の女王」など映画界でも活躍するターセム・シン。映像派として多数のCMや音楽ビデオも監督。インド出身ということで国際感覚豊かで、「エメラルドシティ」でもTVドラマのスケールを超え、ユニークな風景を求めてスペインやハンガリーでロケを敢行。独特のエキゾチックさをより高めるべく、俳優たちのメークや衣装、セットやVFXにも凝り、ファンの期待に応える。
『オズの魔法使い』の新解釈が楽しい
原作は1900年の発表以来、世界中で愛されている名作童話『オズの魔法使い』。主人公の少女ドロシーがオズの国に向かう導入部を始め、魔法使いや魔女たちが登場し、ドロシーに仲間ができていく展開はほぼ原作通り。しかし、ドロシーの相棒の犬トトが元々は彼女の飼い犬でなかったり、カカシなどの仲間たちが人間に変わるなど原作と異なる新解釈も多く、原作の愛読者は驚かされる。南の魔女グリンダも本作では北の魔女となっている。
前向きな主人公ドロシーが魅力的
原作より年上の20歳であるヒロイン、ドロシー。彼女も原作と異なり、実の母親がいながら、20年前に叔母夫婦に預けられた。母親がなぜそうしたかも本作の重要な鍵だ。大勢を救いたいという理由で看護師になったドロシーは、“オズ”で驚いたり迷ったりするが、母親や叔母夫婦を残した元の世界に戻ろうと常に前向きなのが魅力的。あるキャラとロマンチックな予感も?演じるのはプエルトリコ出身の新進女優アドリア・アルホナ。