実際にあった事故を描いているだけに、事故の経過の描写はリアリティーがあり迫力満点。ここではどんな点に注目してこの映画を見ればより楽しめるかのポイントをピックアップ!
メキシコ湾上の大規模な石油掘削施設ディープウォーター・ホライゾンで爆発・炎上事故が起こる。施設に詰めていた人々は火災を抑えようと努力するが、あまりの事故規模の大きさに消火をあきらめ脱出せざるを得なくなる。しかしその中でもエンジニアのマイクとその上司である施設主任ジミーはなんとか被害を最小限に抑え込もうと必死の努力を続ける。事故の原因は何だったのか、そしてその責任は誰にあるのだろうか……
Point 1 駆け引き
施設主任ジミー(カート・ラッセル)は任務に復帰した際、手順通り安全確認がなされているかどうかを確認しようとする。だが彼らの雇い主である企業BPから派遣されている管理社員ヴィドリン(ジョン・マルコヴィッチ)が、工期の大幅な遅れを取り戻そうと画策しているらしい。ジミーは徹底的な安全確認を主張するが、最後にはヴィドリンに押し切られた格好になってしまう。ジミーと同時に現場に復帰したエンジニアのマイクも、コンピューターから通信機器、エアコンまで、電気系統の故障のあまりの多さに頭を抱えている。安全が優先されるべきなのか、それとも企業としては工期順守に気を使い、利益を優先させるべきなのか……
Point 2 暴噴
ヴィドリンが掘削作業終了前に必要なテストの担当者を独断で返してしまったため、ジミーがテストを実施したものの良好な結果は得られなかった。だがヴィドリンの主張でテスト結果は問題なしということになり、掘削泥水の除去作業が開始される。作業員たちはもうすぐ家に帰れると上機嫌だ。ところがその夜、異変が起きる。海底のメタンガスが猛烈な勢いでパイプ内に噴き上げ、大量の原油が海上のドリルフロア上に噴出したのだ。作業員たちは一瞬にして吹き飛ばされて油まみれになり、施設内にはガス警報が発せられる。事態に対応しようとする作業員たちの的確な行動も、あまりにも圧倒的な暴噴の前には無力だった。
Point 3 火災発生
緊急防止装置は作動せず、施設のあちこちから原油が激しく噴出。管理室ではマゼンタ色の、最悪の事態を知らせる警告灯が点灯する。それに気づいた施設の位置保持のための女性オペレーター、アンドレア(ジーナ・ロドリゲス)は外部に救助を要請しようとするが、古株の作業員から勝手なことをするなと制止されてしまう。こんな時に上司の許可がないとか言っていていいのか?直後にガスや油がエンジン室に引火して大爆発が起こり、施設全体が火災に包まれる。マイクもジミーも、爆発が起きるまで事態に気づいていない。それほど暴噴から火災発生までは短時間だったのだ。熟練した作業員でもこの事態を止めるのは無理だっただろう。
Point 4 必死の消火活動
爆発の瞬間、自室で家族とスカイプで会話していたマイクは、事態を呑み込めないまま瓦礫の山と化した部屋からはい出し、通路で倒れていた血まみれの作業員を助け起こす。シャワー中だったジミーは爆発で全身にガラス片を受け傷だらけになり視界を失う。マイクは何とかデッキにたどり着くと、パニックに陥った同僚に重傷者を優先して救命ボートに乗せるよう指示し、再び居住区に戻ってジミーの救出に成功する。二人は操縦室に到達すると何とか電源の復旧を試みる。こういった危急の際にこそ、その人の本質が明らかになるという例だろう。マイクもジミーも、普段は他人と変わりない人間に見えながら修羅場でこそ力を発揮するのだ。
Point 5 脱出
連鎖的な爆発と大火災の勢いはとどまるところを知らず、施設はもう放棄せざるを得ない。脱出のタイムリミットは刻々と迫っている。冷静さを失わないマイクは、少しでも脱出できる人数を増やそう、タイムリミットをわずかでも伸ばそうと必死の努力を続ける。同僚の脱出に手を貸し、逃げ遅れた作業員がいないか確認するマイク。だがその間にも火勢は強まり、脱出路を失ったマイクとアンドレアは火に施設の上部へ上部へと追い上げられていく。そして上部デッキにたどり着いたマイクとアンドレアは、決死の覚悟で最後の脱出を試みるのだった。最後まであきらめないその精神こそが、マイクを真のヒーローにしたのだろう。
以上のポイントにぜひ注目して「バーニング・オーシャン」をお楽しみいただきたい。