1:ベルの歌声に引き込まれる圧巻のオープニング
映画の冒頭でいきなり心を奪われるのが、ヒロインのベルが歌う“朝の風景(Belle)”。150人以上のエキストラが登場する大掛かりなミュージカルが繰り広げられ、ベルを演じるエマ・ワトソンの美しさとナチュラルな歌声に引き込まれる圧巻のオープニングだ。エマはこれが初のミュージカル作品だったが、撮影までの3か月、週に3~4回のボイス・トレーニングで猛特訓を積んだ。ビル・コンドン監督は『エマの歌声は話し声に直結していて同じ表現力を持っている。だからすごく自然に聴こえるんだ』とその歌唱を絶賛!
2:“ディズニー音楽の神様”による感涙のミュージカル・ナンバー
ひとつの作品から同時に3曲がアカデミー賞候補になるなど音楽面でも圧倒的評価を受けた1991年のディズニー・アニメーション「美女と野獣」。今回もそのミュージカル・ナンバーがすべて採用されているのが大きな特徴だ。ビル・コンドン監督は『どれも完璧な音楽なのでカットすることは考えられなかった』と語っている。そして物語にさらなる深みをもたらすため、新曲も3曲加わっている。その一つ、野獣が歌うバラード“ひそかな夢(Evermore)”は、エマが『初めて聴いたときに泣いてしまった』と語る必聴の一曲だ。
3:最新のデジタル技術で命を吹き込まれた野獣
デジタル・キャラクターでありながら人間味を感じさせる野獣。観客が彼に感情移入できるのは、ダン・スティーヴンズの演技力の賜物だ。野獣には最新のモーション・キャプチャー技術で彼の動きや表情、声の演技が取り込まれているが、そのために彼に課せられたのはすべてのシーンを二度演じること。一度目は共演者を相手にボディスーツと高足を装着して演技し、二度目は身体を動かさず顔の表情だけで演じるという難しい演技をこなした。野獣の瞳に注目すると、そのブルーアイの奥に複雑な感情を読み取れるはずだ。
4:ベルの象徴ともいえる黄色いドレスの美しさ
アニメーション版「美女と野獣」の象徴となったベルの黄色いドレス。今回の実写版ではその色を残しつつ、踊ったときに最も美しく見えるようなデザインを追求。羽のように軽いサテンのオーガンザを黄色く染め、まるで雲のようなエアリーなドレスが完成した。衣装を手がけたのは「アンナ・カレーニナ」でアカデミー賞受賞経験を持つジャクリーヌ・デュラン。彼女によればベルの衣装のポイントは、繊細なプリンセス風ではなく、活動的なヒロインを印象付けるものであること。黄色いドレスに“コルセットが無い”のはそのためだ。
5:映画にユーモアをもたらす相性抜群の名コンビ
映画に絶妙なユーモアをもたらしているのが、自惚れ屋のガストンとご機嫌取りのル・フウの名コンビ。二人のあうんの呼吸による“強いぞ、ガストン(Gaston)”は、その圧倒的な歌唱力とあいまって、劇中で最も高揚感あふれるナンバーになっている。ガストン役ルーク・エヴァンズとル・フウ役ジョッシュ・ガッドは実際にうまが合ったようで、『この二人でスピンオフ映画が作られるよ』(エヴァンズ)『二人が現代にタイムトラベルする話だよ!』(ガッド)と冗談めかして語っている。本当に見てみたい!
6:城の舞踏室で繰り広げられるシンボリックなダンス・シーン
誕生から26年の時を経た今もスタンダード・ナンバーとして歌い継がれる主題歌“美女と野獣”。ポット夫人が歌うこの曲にのせて、ベルと野獣がロマンチックなダンスを繰り広げるシーンは、映画史上に残る名シーンとなった。1991年版のシンボルとなったこのシーンは、今回の実写版でも完全再現。二人のワルツを流れるように撮りながら天井に上昇していくカメラワークが印象的だが、これはオリジナル版にオマージュを捧げたものだ。さらに新しく、天井近くの楽器たちが命を宿して音楽を奏で始める様子も加えられている。
7:クライマックスで浮かび上がる希望のメッセージ
自分らしく前向きに生きながら、周囲には“変わり者”扱いされているベル。自らの恐ろしい外見に絶望し、心を閉ざしてしまう野獣。人との違いに葛藤し、不安や孤独を抱える二人が、それでも自分たちをありのままに受け入れていく姿からは、“かけがえのない自分の輝きを信じよう”という希望のメッセージが浮かび上がってくる。心を共鳴させた二人に奇跡が訪れるクライマックスは感動必至だ。エマ自身はこの映画のテーマについて『愛はすべてに勝つ、愛は奥深い、というのが最も深遠なメッセージだと思うわ』と語っている。